デジタルエージェンシーの株式会社FUSION(東京都・渋谷)は、2025年の年賀状に海洋プラスチックを再利用したオリジナル年賀状を作成した。同社は「社会の発展と、人々の幸せを一緒に実現する。」というビジョンを掲げ、持続可能な社会の実現を目指している。
今回の年賀状作成もその一環で、環境問題への意識向上を図る狙いがある。
海洋プラスチック問題への意識啓発
年賀状の素材には、海洋プラスチックゴミを再利用したものが使用された。これは、毎年800万トン以上のプラスチックゴミが海に流入し、海洋生物の生存を脅かしているという深刻な問題に対する啓発活動の一環でもある。FUSIONは、プラスチックの使用量削減やリサイクルの推進など、一人ひとりの行動変容の必要性を訴えている。
福祉施設との連携
年賀状の作成は、鹿児島県南さつま市の福祉施設NPO法人ふうが運営するブランド「fuuno」とのコラボレーションで実現した。「fuuno」は、障がいのあるクリエイターが海洋プラスチックのアップサイクルに取り組むブランドである。
材料集めから洗浄、成形、仕上げまで、特性に合わせて作業を分担し、製品を製作している。FUSIONとの協業は、障がいのあるクリエイターの活動支援にもつながっている。
FUSION代表・前田氏のキャリア
FUSION代表の前田遼介氏は、自身のnoteでキャリアについて発信している。同氏は、学生時代は「意識高い系」で、何者かになりたいという強いコンプレックスを抱えていたという。祖父の経営者としての姿に憧れを抱きながらも、会社を継ぐことができず、自力で道を切り開く必要性を感じていた。
大学時代にはNPO活動や企業インターンに積極的に参加するも、周囲の優秀な学生と比較して劣等感を抱くことが多かったという。変わるきっかけは、リクルートのインターンで優勝したことだったそうだ。
「圧倒的なカリスマ性やリーダーシップは、自分にはない。でもアイデアがよければ、みんなついてきてくれるんだ、と。『これなら勝負できるかもしれない……』と思えたのです」と、自分にもできることがあると自信を持つようになった経験を語っている。
サイバーエージェントとチョコレイトでの経験
こうした経験をもとに、前田氏は、大学中退後にサイバーエージェントに入社。新規事業開発に携わり、子会社の経営を経験した。その後、チョコレイトに転職し、プランナーとしてのスキルを磨いたことが伝えられている。経営とクリエイティブの両面で知見を深めた段階で、起業への決意を固めて2020年にFUSIONを創業している。
広告業界の枠を超える挑戦
FUSIONは、従来の広告の枠にとらわれないビジネスモデルを展開している会社だ。ダイレクト広告とブランド広告を融合させ、顧客にとって最適な投資対効果を実現する施策を提案。同社のコーポレートサイトで開示されているWORKSを見ると、ANAの東京2020オリンピック・パラリンピックキャンペーンを担当したり、キリンホールディングスの縦型動画やクレディセゾンのCM制作などを行っているようだ。
社会課題の解決にも貢献しながら、成長を続けるFUSION。同社の挑戦が、社会にどのような影響を及ぼしていくのか。その歩みを見守り、私たちもまた行動を問い直すべき時が来ている。