日本マクドナルドは12月17日、東京ガス、東京ガスエンジニアリングソリューションズ(TGES)と環境負荷低減に向けた包括連携協定を締結したと発表した。マクドナルドの事業活動におけるCO2排出量削減を加速させる狙いだ。
東京ガスグループは、法人顧客の脱炭素化支援を成長戦略の柱に据えており、今回の提携は両社にとってメリットのある取り組みとなる。
太陽光でCO2削減、75店舗で実質ゼロ電力へ
今回の協定に基づき、東京ガスとTGESは、マクドナルドの関東エリア75店舗に対し、2,250kWの太陽光発電を活用したオフサイトコーポレートPPAスキームによるCO2排出量実質ゼロの電力供給を開始する。これにより、年間約1.1万tのCO2排出量削減が可能となる。オフサイトコーポレートPPAとは、需要家が直接太陽光発電所などを所有するのではなく、電力会社を通じて再生可能エネルギー由来の電力を購入するスキームだ。
マクドナルドの脱炭素戦略
マクドナルドは、「2050年までに、店舗、オフィス、サプライチェーン全体でネット・ゼロ・エミッション達成」という目標を掲げている。日本国内では、既に東北、中部、関西、九州エリアを中心に約450店舗でCO2を実質排出しない電力で店舗運営を行っている。今回の提携は、この目標達成に向けた重要な一歩となる。
東京ガスGの成長戦略
東京ガスグループは、経営ビジョン「Compass2030」で「CO2ネット・ゼロへの挑戦」を掲げ、天然ガスの高度利用とガス・電気のカーボンニュートラル化を推進している。法人向けソリューション「IGNITURE」を通じて、顧客企業のサステナブルな事業運営を支援する方針だ。今回の提携は、この戦略を具現化する一つの事例となる。
これまでの協業と今後の展望
日本マクドナルドと東京ガスグループは、これまでも省油性能に優れた専用調理機器の共同開発・導入などを通じて、環境負荷低減に取り組んできた。今回の協定締結により、両社は再生可能エネルギーの利用拡大、エネルギー効率の向上など、より広範な分野での協業を推進する。
マクドナルドのサステナビリティ活動:子どもと地域社会への貢献
マクドナルドは環境問題への取り組みだけでなく、社会貢献活動にも力を入れている。病気の子どもとその家族のための滞在施設「ドナルド・マクドナルド・ハウス」の運営はその代表例だ。全国12カ所のハウス運営に加え、募金活動や地域イベントを通じた支援活動も展開している。2023年のサステナビリティレポートによると、約154億円を募金で集めていることが開示されている。
また、ハッピーセットではおもちゃのリサイクルを実施しているとのこと。全国の店舗でおもちゃを回収し、累計約1,900万個をリサイクル。約512,500枚のトレイが作成されたことを開示している。
2023年のレポートのなかで、マクドナルドCEOは、「おいしさと笑顔を地域の皆さまに」という企業理念のもと、持続可能な社会の実現に向けて積極的に取り組む姿勢を示してもいる。多様な人材の活躍を推進する「オープンドア!チーム」の設置など、ダイバーシティ&インクルージョンにも注力しているようだ。
今回の東京ガスグループとの提携は、マクドナルドのCSR活動全体を強化するものであり、持続可能な社会の実現に向けた、企業の責任を果たすというマクドナルドの強い決意を示すものと言えるだろう。