人生100年時代においてどのように就労年齢の制限なく収入を確保していくのか。一旦入社した会社で定年退職まで、いやそれ以降のキャリアも安泰と考える人は今やまれです。
どんな時代が来ても自分自身の価値観を崩さず、キャリアアップできることこそが、本当にSDGs時代にあった生き方ではないでしょうか。弊社ではキャリアアップのための多くの機会を提供するとともに、企業からも受け入れられるWin-Winな状態を目指して早20年になります。
弊社は大手会計事務所デロイトからスピンアウトし、NASDAQに上場しているコンサルティング会社で、日本では2004年に創業されました。会社にとらわれず、そのうえでプロフェッショナルなキャリアを追求することは今の時代に合った生き方です。そのためには、テクニカルスキルだけでなく、ヒューマンスキルが重要です。履歴書や資格では見えてこないスキルですが、常にクライアントに支持されるコンサルタントはどんなヒューマンスキルを備えているのか。どのようにしたら、そのスキルを習得できるのか。具体的に解説します。
「プロフェッショナル集団」
リソース・グローバル・プロフェッショナル・ジャパン株式会社(以下RGP)は大手会計事務所のデロイトから、一部アメリカの経営陣がスピンアウトして成長させ、NASDAQに上場している会社の日本法人です。創業は2004年で、バイリンガルのコンサルタントを多く抱え、日本のグローバル案件や外資系企業の日本でのプロジェクトを支援しています。元の企業が会計事務所ということもあり財務会計が中心ですが、最近ではIT、SCM、HRなど多岐にわたりコンサルタントを派遣しています。
通常のコンサルティング会社と異なる点は、ほとんどのコンサルタントがフリーランスでありながらも大手のクライアントに長期的に支持されており、キャリアアップできる案件のみに従事する自由度があって、個人の成長やワーク・ライフ・バランスを実現しつつプロフェッショナル・キャリアを長年にわたり築けていける点です。また、フリーランス登録としては年齢制限がなく、若手にも中堅にも自分に合った働き方を提案できるため、一見リスクが高いと思われるフリーランスにも幅広くキャリアアップできる機会を提供することができています。
環境としてのサステナブルを語る前に、100年も生きるとしたら老後や収入の確保など、自分の人生における様々なリスクに対応しておくことが必要です。大学を卒業して一社に定年まで勤め上げ、ある程度の役職まで登りつめ、関連会社に天下り、というのはもはや形骸化した就労モデルです。このため、最初は仕事を覚えるべくテクニカルスキルを身に着け、管理職になったのでマネジメントスキルを備える、というのはもはや滑稽なモデルなのです。また、リスキリングしても、それが自分のプラスに累積していくのでしょうか。根本的な発想の転換が必要です。
このような時代において何歳になっても稼働できるようになるには、クライアントや同僚からその個人の価値があると実感されなければなりません。年齢や資格、さらには学歴も究極を言えば意味がありません。そういう意味ではどれほどリスキリングしても、気づきがなければ変われません。一個人でのみ達成できる仕事であれば、一定の成功は得られると思いますが、人とのコミュニケーションが前提となる業務では、テクニカルスキルだけで成長し続けることは困難です。このため、成長し続けるレールに乗っておく「ヒューマンスキル」がまず重要です。
弊社のコンサルタントでも、常にクライアントから支持される方もいれば、契約の終了とともに二度と声がかからない方もいます。その違いは何でしょうか。
これがわからないためにキャリアアップの方法がわからず途方に暮れている人を多く目の当たりにします。また、多くのコンサルティング会社では、そのスキルがあるなしでフィルターにかけられ、昇進する人と干されるコンサルタントに分けられてしまいます。しかし、これは回避すべきことで、全ての人がキャリアアップできる方法を示して、実践してもらうことが弊社としての社会貢献だと理解しています。
ヒューマンスキルを習得する4つのステップ
コンサルタントを例に説明しますと、何かしらのテクニカルスキルを習得しておくのが基本です。全くなにもできない場合は、時間やお金を投資し、基本的な作業や資格を習得することが重要です。一つの領域で基本的なスキルがあれば、まず最初に自分が貢献できる領域があるので、実践することでその価値を証明できます。
では、その範囲が限定的な場合、新しい領域の資格を取得しなければ成功に導かれないのでしょうか。大手コンサルタント会社では、ある程度の研修は提供してくれますが、あくまでも入口でしかないため、一旦入るためのドア・オープナーの役目でしかありません。
一旦中に入り、業務やプロジェクトに従事していると、当初契約で定義した業務範囲を超えた領域の情報に触れる人がほとんどです。契約範囲外とか、スキルがなく申し訳ないので、情報収集もしないとなれば、大変残念なことに自ら成長としての伸びしろを削いでいるようなものです。逆にこのようなチャンスを湧き水のように手繰り寄せる人はどんな人でしょうか。また、それらはこれまで培った性格に根付いていて、変更できないものでしょうか。
何人ものコンサルタントやステップアップしている人を見てきましたが、そんなことはありません。人格を変えるのではなく行動を変えるだけです。そのためには、以下の4つのステップがあります。
<ステップ1>:楽観的であること(Optimistic)
楽観的にふるまうことは人とコミュニケーションを取りステップアップしていくための基本的なスキルです。人は「できる」を前提に考えている人に不思議と情報提供しやすくなります。そうして新たなチャレンジやネタを吸い寄せる器量があるだけで、新規案件を濡れ手に粟で掴むことができます。
想像してみてください、いつも悲観的な人と楽観的な人がいたとして、まだ決まっていない構想やコメントをどちらに聞いてみたいですか。情報収集能力が格段に上な楽観的な人の方ではないでしょうか。
ちなみに、悲観的でもテクニカルスキルが高い方は、ほどんど青写真が固まった段階で、念のため担保するために意見を聞かれることがあります。しかし、それは時期的にはかなり遅れており、撤回できない状態であることが多いので、本流となるメンバーのサブやコマとして使われるケースが大半です。
<ステップ2>:好奇心を持つこと(Interests)
楽観的であることはあくまでも周りの人にアピールする雰囲気です。仮に何か情報共有された場合、「まるっきり関心がない」という人と「それってどういうことですか?」と興味を持つ人では大きく異なります。まず関心がなければ、相手も時間の無駄に思え、話題は途切れます。ここで十分わからなくても好奇心を持つことで、相手に受け入れられるのがポイントです。
<ステップ3>:共感すること(Empathetic)
好奇心だけでは、情報収集で終わってしまいます。ここでさらに共感して「いいね」と回答することが情報収集方法や意見交換、さらには仲間意識の土壌形成に大きく寄与するステップです。相手から、「ですよね」と回答されればこの段階での関与度は合格です。
ちなみに、「共感」という言葉にはマイナスの事象を共感して慰める意味もあります。英語では、Sympathyですが、これはEmpathyではありません。つまり、マイナスをゼロに戻す共感(Sympathy)ではなく、ゼロをプラスに持ち上げる共感(Empathy)が重要なのです。プラス思考でなければ、物事は動かず、新たなムーブメントに繋がりにくいからです。
<ステップ4>:協働すること(Collaboration)
冒頭でテクニカルスキルが必要と説明しましたが、それはあくまでもドア・オープンのためで、一旦入り込んだら、次に新領域に進出することが必須です。新領域では情報としてのテクニカルスキルも重要ですが、実は組織や人間関係、これまで討議してきた内容を共有してきたことがムーブメントのコアになるので、その方向性を理解していなければなりません。
この段階ではテクニカルスキルよりもいかにプロジェクトを組成するかや、開始するかの方が重要です。テクニカルスキルはいつでも調達できるので、キャリアのステップアップには、コアメンバーに入ることが一番の近道です。そのための中心メンバーとの協業を通すことで、認められ、ポジションの一角をしめ、はがれない人として格上げされます。この領域に入ることがキャリアアップの登竜門です。
日系企業でも外資系企業でもどんな企業でも、このプロセスは変わりません。言語が異なっても同じです。コアメンバーにすぐに入れる人と一生入れない人がいますが、この違いはひとえにこれらのことを実践できるヒューマンスキルがあるかないかなのです。
実践できているフリーランス
5年前に弊社に入社した際は、採用モデルが通常の日本の企業と大きく異なっていました。このため、コンサルタントの採用には大変苦労しましたが、当初200名だったフリーランスコンサルタントは、現在450名まで増えました。。まだまだ大手のコンサルティング会社とは桁違いですが、コンサルタントと育成していくためのクライアント層は引けを取りません。
これが弊社の強みであり、コンサルタント育成の鍵です。
当然育成は、一度でうまくいかない人もいるので、指導しながら継続して人材育成を行います。また、受け入れて頂くクライアントには「自社でほしかった人材を育てるには時間がない、成長機会の提供ができない」とコメントされる方もいらっしゃいます。それを励みに実践し続けたい考えです。
グローバル・コンペティションでの日本
日本に限らず、優秀な人は世界中で引く手あまたです。グローバル化が進むにつれ、たとえ後進国で生まれた人でも先進国の平均給与の何倍も稼ぐ人が続出しており、この傾向はとまりません。今後日本はどうなるのでしょうか?
先進の技術をうまく使いこなし続ける優秀な人もいますが、それらを理解しヒューマンスキルを惜しげもなく発揮している人は鬼に金棒で、国籍が違っても世界中でひっきりなしに活躍する場をつかみステップアップしていくことでしょう。最近は特に変化のスピードが速いので、この傾向は10年で大きく進展するはずです。
そのような波に乗れる日本人が一人でも多くなることを切に望んでいます。
◎会社概要
会社名:リソース・グローバル・プロフェッショナル・ジャパン株式会社
URL:[グローバルコンサルティング] RGPジャパン (rgp-jp.com)
www: https://www.rgp-jp.com
代表者:島田 嗣仁(カントリー・マネージャー)
設立:2004年
資本金:1000万円(RGP USの100%子会社)
従業員数:50名(登録コンサルタントは450名)
事業内容:主に会計、人事、SCM、IT関連の業務コンサルティング、プロフェッショナル人材の派遣
◎執筆者プロフィール
島田 嗣仁
早稲田大学卒業後、日本IBMに勤務するもののアメリカでの勤務を目指し、米国にてMBA(サンダーバード国際経営大学院)を取得。取得後はロサンゼルスの大手会計事務所デロイトの日系担当部門で監査およびコンサルティングに従事。米系ERPパッケージの日本語化プロジェクトを機会に、日本で初の導入プロジェクトのため帰国。KPMGやアクセンチュアなどで日系のグローバル企向けに、日本だけでなくアメリカ、欧州、アジア、中国と財務会計およびIT関連のグローバル案件に従事。コンサルティングだけでなく、外資系企業では6年間CFOを全うした。2019年からRGPの日本及び韓国のカントリー・マネージャーとして勤務。趣味は筋トレとゴルフ。