インドでは、企業が持続可能性のあるビジネスに向けてますます積極的に取り組んでいるため、グリーン債やESG(環境・社会・ガバナンス)債の発行額が2021年に急増している。インド企業は、2020年に14億ドル、2019年に40億ドルを調達したのに対し、2021年にはESG債とグリーン債を通じて70億ドル近くを調達し、前年の2倍近くに迫る勢いを見せた。
企業は通常の資金調達手段ではなく、ESG投資を活用することで通常より有利な資金調達を行うことができる。市場関係者は、インドがCOP26サミットでNarendra Modi首相が掲げた5項目のビジョンに向けて取り組み始めたことから、ESG債やグリーンボンドの発行が今後さらに増加すると予想している。バンク・オブ・アメリカは、インド企業によるこれらの債券による資金調達額が、2022年から2024年の間に250億ドルに達すると予想している。
バンク・オブ・アメリカは、2030年までに世界で15億ドルのファイナンスを実施することにコミットしており、これは国連の持続可能な開発目標に沿うことに焦点を当てている。バンク・オブ・アメリカのグローバル・キャピタル・マーケット部門のインド担当責任者であるスブラジット・ロイは、「ここ数年、インドの企業は、自社の二酸化炭素排出量や、自社の事業がすべてのステークホルダーに与える影響をますます意識するようになっており、より持続可能な事業活動に取り組む中で、ESG関連商品の検討に熱心に取り組んでいます」と述べた。またロイは、「投資家の考え方は、ESG指標を単なるデータセットと見なすことから、企業のビジネスモデルの重要な一部と見なすことへと進化しています。そのため、ポートフォリオのフットプリントを積極的に管理することで、貸し手や投資家は、環境や社会、ガバナンスに関する懸念から生じる法的リスクや風評リスクに直面している企業へのエクスポージャーを減らすことができます」と述べている。
ほとんどの企業は、環境への影響や社会的責任への意識が高まっていることから、ESG債やグリーンボンドの活用を始めている。投資家の注目度が高まったことで、入札額の増加、注文数の増加、プライシングレバレッジの向上、投資家の質の向上にもつながっている。データによると、2006年以降、グリーンローンやクレジット供給を通じて1.3兆ドルが調達されており、そのうち1兆ドルは企業がグリーンビジネスを実践する中で2016年以降に調達されたものである。