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Abalance粉飾決算の衝撃実態!「小菅(拘置所)行き」を恐れた経営陣の隠蔽メールと社員の悲鳴

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再生可能エネルギー業界の風雲児として脚光を浴びた東証スタンダード上場のAbalance(エーバランス)が、組織的な「粉飾決算」に手を染めていたことが第三者委員会の調査で判明した 。

12月17日に公表された報告書には、これまでひた隠しにされてきた経営陣の生々しいやり取りと、独裁体制の下で使い捨てにされた社員たちの悲痛な叫びが克明に刻まれている 。

 

刑事罰への恐怖が生んだ「小菅」メールの戦慄

2024年初頭、不適切会計の疑いが社内で表面化した際、経営陣が最も恐れたのは真実の露呈による「逮捕」であった。財務を統括していた常務(当時)が自らに宛てて転送したメールには、「第三者委員会設置されると刑事事件に繋がり小菅(東京拘置所)が現実になります。勿論、上場廃止に」という、上場企業の役員とは思えないほど追い詰められた文言が並んでいた。

彼らは、外部の目が入る独立調査が行われれば、単なるミスでは済まされない意図的な粉飾が決定的となり、上場維持や刑事責任に重大な影響が及ぶことを明確に自覚していたのだ。

 

経営陣は、決算発表の遅延や上場廃止という最悪のシナリオを回避するため、組織ぐるみで「誤謬(ごびゅう)」という名の嘘を構築し始める。常務は内部調査メンバーに対し、対外的には「経理部の知識不足」として監査法人を納得させるという、いわば「誤謬ストーリー」での乗り切りを指示していた。

驚くべきことに、本来経営を監視すべき監査等委員までもが「第三者委員会を入れられたりの最悪の事態は是非、免れたい」と呼応し、監視役が隠蔽の共犯者と化す異常事態に陥っていたことが判明している。

 

「経理部がバカでしたで頑張る」捨て駒にされた社員の悲哀

隠蔽工作の過程で、経営陣が社員に向けた視線は冷徹そのものであった。ある打ち合わせで当時の経理部長は、「有償支給の件の不正っていうかさ、粉飾ですよ」と本質を認めながらも、「有償支給とかこの関係は『みんなバカでした』で頑張るしかない」と言い放った。

実際に現場の経理担当者は、上司である経理部長から、本各案件の原因を「経理部門の知識不足による誤謬」であると説明するように口裏合わせの指示を受けていた。たとえ不正の可能性を認識していても、組織的に形成された偽りのストーリーに沿った証言を強いられることになったのである。

報告書に寄せられた社員たちの声からは、こうした強引な隠蔽が現場にどれほどの苦痛を与えていたかが伝わってくる。経営トップである龍潤生氏に批判的な意見を述べれば給与が減額されるとの恐怖があり、人事考課を恐れて「おかしいと思っても、龍氏には言えなかった」という忖度と委縮が蔓延していた。

実際にガバナンスの欠如や不正の可能性を指摘した誠実な社員たちは、職務上の不利益を受け、不安と不満の中で会社を去らざるを得ない状況に追い込まれていた。社員たちは「龍商店」と化した独裁体制の中で、不正を正そうとする自浄作用を完全に奪われていたのだ。

 

海外ブラックボックスと議員陳情にすがる歪んだ経営

Abalanceの闇は、国内だけにとどまらない。グループ売上の約95%を占めるベトナムなどの海外事業は、龍氏や特定の人物以外には中身が全く見えない「ブラックボックス」となっていた。関連当事者取引の注記漏れが長年放置され、役員の個人会社への不透明な資金流出が疑われる事態は、上場企業としての体をなしていない。さらに、FIT認定の失効という事業の根幹を揺るがす事態に際し、彼らが選んだのはルールの遵守ではなく、行政処分を免れるための「議員への陳情」や、バックデートによる書類偽造の相談であった。

 

第三者委員会は、これら一連の不祥事の根源がA氏の影響力にあると断定し、同氏の経営退任と株式保有による支配力の排除という、極めて重い勧告を突きつけた 。投資家を欺き、社員を泥船に乗せ続けた「Abalanceの冬」は、まだ終わる気配を見せていない。

今後、刷新される経営陣がこの「隠蔽の連鎖」を断ち切り、失墜した信頼を回復できるのか、市場は厳しい目を向けている。

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寒天 かんたろう

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ライター歴26年。月刊誌記者を経て独立。企業経営者取材や大学、高校、通信教育分野などの取材経験が豊富。

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