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下長内科クリニック

https://www.simonagacl.com/

〒039-1164 青森県八戸市下長3丁目21-19

0178-28-5040

「19」という数字が表すものとは。下長内科クリニックが導き出した、優しさの計算式

ステークホルダーVOICE 経営インタビュー
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下長内科クリニック 三上信久院長
下長内科クリニック 三上信久院長(提供:下長内科クリニック、以下同)

「より専門的な検査や治療が必要ですので、大きな病院へ紹介状を書きますね」

かかりつけ医でのこの一言は、医学的に見れば、患者にとってより適切な選択肢を提示する誠実な対応だ。高度な設備を持つ基幹病院との連携なくして、地域医療は成り立たない。しかし、その一方で、生活者としての患者やその家族が、通院の負担に悩む現実があることもまた、否定できない事実だ。

 

紹介状の正しさと、家族が抱える現実

遠方の病院への通院に伴う移動時間、長い待ち時間。入院ともなれば、着替えや日用品を届ける家族の生活リズムは大きく変化する。特に高齢化が進む地方都市において、医療機能の集約化は効率的である反面、患者を支える家族の生活時間をも圧迫しかねない側面がある。

青森県八戸市にある「下長内科クリニック」。ここで院長を務める三上信久氏は、開業から30年もの間、ある一つの数字に対し、頑ななまでのこだわりを見せてきた。

「19」。

これは、診療所(クリニック)が保有できる病床数の法的上限であり、法律上「病院」へと区分が変わらないギリギリのラインだ。経営的な視点で見れば、病床を増やし「病院」へと拡大する道もあったはずだ。なぜ彼は、それを拒み、あえてこの「19」という数字に留まることを選択したのか。工学部出身という異色の経歴を持つ医師が設計した、地域医療のあり方。その根底には、効率化の名の下に見過ごされがちな家族の生活までをシステムとして守ろうとする、合理的優しさがあった。

 

拡大路線へのアンチテーゼ。責任のサイズを定義する

19と20。わずか1の違いだが、医療法においてこの境界線は、組織のあり方を決定的に変える深い溝となる。20床を超えればそこは「病院」となり、求められる人員配置も管理体制も、組織としての重厚さが一気に増す。三上院長にとって、そうした組織の拡大は、患者一人ひとりと向き合う密度を薄めてしまう懸念があった。

三上
「19床というのは、一人の医師が責任を持って、患者様一人ひとりの顔色や経過を細かく把握できる、人間的な限界値であり、同時に理にかなった規模感なのです」

午前中に70人近い外来をこなしながら、入院患者の容体変化にも目を配る。もしこれが50床、100床の大病院となれば、物理的に一人の医師の目は届きにくくなる。組織図が必要になり、報告書での管理になり、患者は「生きた人間」から「カルテ上のデータ」へと変わっていく可能性がある。

「自分で診断し、自分で治療方針を立て、その経過を自分の目で見届ける。これが医師としての責任であり、私がやりたかった医療の形なのです」

三上院長がここまで自分の目で診ることにこだわる背景には、医師としての原点である救急医療での強烈な体験がある。かつて勤務した札幌徳洲会病院は、断らない医療を掲げる救急の最前線だった。24時間365日、次々と搬送されてくる重症患者たち。「専門外だから」「設備がないから」という言い訳は一切通用しない。その瞬間の判断と処置が、生死を分ける戦場のような現場だ。

そこで叩き込まれたのは、どんな症状であってもまずは受け入れ、原因を突き止め、命をつなぐというプライマリ・ケア(初期診療)の凄まじい覚悟だった。

「いざという時に何もできない医者では、患者様の命を守れません」

その現場で培った胆力と技術があるからこそ、三上院長は19人の入院患者の命を一人で背負うことを恐れない。19という数字は、彼にとって妥協の産物ではなく、自らの手で責任を全うするための譲れない一線なのだ。

 

洗濯物を届ける時間も、医療の一部である

三上院長が19という数字にこだわるもう一つの、そして最大の理由は、患者を支える家族の生活を守ることだ。
地域医療の現場では、外来患者の容体が急変し、集中的な治療が必要になることは日常茶飯事だ。もちろん、高度な手術や専門治療が必要な場合は速やかに連携病院へ送る必要がある。だが、「自宅で見るのは不安だが、大病院へ行くほどでもない」というケースは、現場では少なくない。その時、生活圏内に入院できる場所があるかどうかが、家族の生活を左右する。

「遠くの病院に入院することになれば、お見舞いに行くのも一苦労ですし、着替えや洗濯物を届けるだけでも一日仕事になってしまいます」

三上院長は、患者本人の病状だけでなく、その背後にある家族の日常を見ている。高齢の夫が入院し、老老介護の妻がバスを乗り継いで遠方まで洗濯物を届けに行く。その負担が積み重なれば、今度は支える側の家族が倒れてしまうかもしれない。家族が共倒れすれば、患者は帰る場所を失い、地域医療を維持することは難しくなる。

「しかし、近くのかかりつけ医に入院できれば、ご家族も気軽に来られますし、患者様も知った顔のスタッフに囲まれて安心して治療に専念できるのです」

コンビニに行くような距離感で、必要な入院ケアを提供する。下長内科クリニックが目指すのは、いわば医療のコンパクトシティ化だ。生活圏内で完結する医療こそが、患者と家族の生活時間を奪わず、地域全体の暮らしを無理なく維持する。19床という数字は、そのための答えとして導き出されたサイズなのだ。

待合の様子
 

たらい回しにしない。よろず屋としての機能美

19床のクリニックという形態は、入院の利便性だけでなく、外来診療の質にも影響を与えている。それは、三上院長が目指す、何でも診るというスタイルだ。

一般的に、医療は専門分化が進んでいる。お腹が痛ければ消化器科、湿疹が出れば皮膚科、頭痛がすれば神経内科と、患者はそれぞれの専門医を回らなければならない。これこそが、患者と家族の時間を奪う見えないコストとなっている。

しかし、下長内科クリニックでは、内科はもちろん、皮膚科領域のアトピーや水虫、さらには神経内科的な症状まで幅広く対応している。これもまた、札幌徳洲会病院時代に培った何でも診る経験と、独自に磨き上げた漢方治療などの武器があるからこそ成せる業だ。

「田舎では、『専門外だから診られません』なんて言っていたら、患者様は行き場を失ってしまいます」

風邪のついでに皮膚の相談もできる。持病の管理と一緒に、急な不調も診てもらえる。一つの場所で複数の悩みが解決するなら、あちこちの病院を回る必要はなくなり、家族の送迎負担も激減する。巨大な病院が機能特化へ進むのに対し、下長内科クリニックはあえて多機能化へ進む。19床というコンパクトな箱の中に、地域住民が必要とする機能を限界まで詰め込む。その姿は、かつての技術者としての三上院長が設計した、極めて効率的で、かつ人間的な地域医療の最適解と言えるだろう。

 

医療が守るべき日常とは

本来あるべき医療の姿とは、何だろうか。
高価な最新医療機器を導入することだろうか。建物を豪華にして、アメニティを充実させることだろうか。
三上院長の答えは、もっと本質的で、泥臭い。それは、患者を回復へと導き、日常へ戻すことだ。そして、そのプロセスにおいて、家族の生活を破壊しないことだ。だからこそ、拡大路線は取らない。その19床のベッドには、効率化の波に流されない、人間としての尊厳が守られている。

「自分の症状をちゃんと診てくれて、原因と向き合ってくれる医者を探してください」

インタビューの最後に三上院長が語ったメッセージは、現代の医療システムに対する静かなる問題提起であり、同時に、すべての患者への力強いエールでもある。高度な医療を担う大病院と、生活を支える地域医療。そのどちらもが、私たちの健康には欠かせない。
だからこそ、もしあなたが日々の不調や通院の負担に悩んでいるのなら、選択肢の一つとして思い出してほしい。巨大な組織にはない機動力で、あなたの家族の顔まで覚えていてくれる、19床のプロの仕事場があるということを。

▲画像をクリックすると、三上先生のインタビューの完全版を読むことができます▲

医者なら結果にこだわるのが当たり前。工学部出身という異色の経歴を持つ三上信久院長が、30年の歳月をかけて磨き上げた、漢方・血流改善・カルシウムという3つの武器。標準治療では救えない不調の根本原因にアプローチし、19床のベッドを守り続ける下長内科クリニックのあくなき探求心と医療哲学は、医療系メディア『ウィズマインド』の特集記事をご覧ください。
特集記事:『医者なら「結果にこだわる」のが当たり前。下長内科クリニックが30年の挑戦で磨き上げた3つの武器と医療哲学

ウィズマインドは、あなたの悩みに寄り添った美容クリニック・医療機関を発見するために、医師・スタッフの「想い」をお届けするメディアです。

【クリニック情報】
下長内科クリニック
院長:三上 信久
所在地:青森県八戸市下長3-21-19
URL:https://www.simonagacl.com/
診療科目:内科・消化器科・神経内科・皮膚科
19床の入院設備を有し、外来から入院まで一貫した診療を提供。「漢方・血流改善・カルシウム」を軸に、原因不明の不調にもアプローチする。

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ライター:

株式会社Sacco 代表取締役。一般社団法人100年経営研究機構参与。一般社団法人SHOEHORN理事。株式会社東洋経済新報社ビジネスプロモーション局兼務。週刊誌・月刊誌のライターを経て2015年Saccoを起業。 連載:日経MJ・日本経済新聞電子版『老舗リブランディング』、週刊エコノミスト 『SDGs最前線』、日本経済新聞電子版『長寿企業の研究』

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