
「地方創生を人の創生から」をミッションに掲げ、沖縄を拠点に人材紹介や地方創生事業、採用支援などを手がける株式会社Human Creation。独自のモデルを築き上げ、設立からわずか2年で約80社の採用を支援。成果を徹底的に追求し、期待を超える「感動」を日本全国へと届けている。
「もう一度、経済的に豊かな沖縄を作る」ことを目指し、地域に根差しながら全国・世界に挑み、イノベーションを起こす同社。会社設立の思いや目指す世界観、展望について代表の山川氏に伺った。
成果を追求する、新卒採用のプロ集団
「琉球再建」──。そんな思いをもとに、沖縄を拠点に全国で事業を展開するのが株式会社Human Creation(以下、Human Creation)だ。人材領域において、toB・toC・toGとアプローチが異なる3つの事業を展開している。
1つ目が、首都圏や関西の主要都市に就職したい地方の学生を支援するサービス「ガイカツ(県外就活)」だ。自己分析から面接対策まで就活生をサポートし、得られる情報やインターン等の機会が限られる地方の学生が、首都圏の学生と同じ土俵で戦える就活レベルまで育成することを目的としている。
2つ目が、地方創生型の採用プロジェクト「OFA(オファー)」だ。約10ヶ月のプログラムで、大学1・2年生と地域企業、行政が共にワークショップを行う。そして、地域の未来を担う人材として学生に当事者意識を持ってもらうことで、「将来この街で働きたい」という思いを醸成し、地域企業とマッチングするのだ。県外や都市圏でなく、まずは地域での就職に目を向けてもらうことで、地方の採用のあり方を大きく変える可能性を持つプロジェクトだ。
3つ目が、独自のノウハウとコンテンツ力によって、同社の最大の強みとなっている新卒採用支援事業だ。就活生の母集団形成から選考設計、内定辞退防止、内定者育成まで、採用戦略の上流設計から一貫してサポートしている。クライアントは関東を中心に全国へ広がり、リソースが不足している中小企業や、採用活動でより成果を出したい上場企業など、これまでに約80社の採用支援を行ってきた。採用支援に入ってから12ヶ月で学生の母数を800%まで改善した実績も誇る、同社の支援のあり方とは。
「採用において、企業側が打ち出したいことと、学生や求職者が知りたい情報とでミスマッチが起きているケースは少なくありません。また、上場企業・地方の中小企業・ベンチャー企業とでは見せ方が異なりますし、学生に刺さるポイントもそれぞれです。そこで、各社の強みやニーズを汲み取りながら、その企業の魅力を学生や求職者に響くよう変換するのが弊社の役割です」(山川氏)
例えば、「堅い・古い」という印象を持たれがちな老舗企業であれば、「時代に合わせてイノベーションを起こしてきた変化・柔軟性がある企業」という見せ方に「変換」する。そうして企業の魅力を学生・求職者へしっかり届けるのだ。
そのために同社では、人事だけでなく、ペルソナとなり得る若手社員などのインタビューを実施。企業側のメッセージと受け取り手にミスマッチがないかを見定め、学生・求職者に響くキーワードを抽出し、オーダーメイドで戦略設計を立てている。そして、何よりも重要なのが「PDCAを回し、成果が出るまでやり切ること」だと山川氏は話す。

そうして「プロとして成果を出すこと」こそ、同社が最も大切にしている価値観であり、大きな強みなのだ。そして、会社として成果を追求するプロであるため、成長を求める従業員が全力で働けるように良い環境を提供することも重視している。沖縄県では高い給与水準を維持し、インセンティブは最大4割まで支給。月によっては山川氏より給料をもらった社員もいたほどだという。また、フルリモート・フレックスで全国どこでも働くことができ、正社員か業務委託かを選ぶことも可能だ。そうした会社作りの背景には、従業員に「経営者思考」を持ってほしいという山川氏の思いがある。
「私は7年間サラリーマンとして働き、個人事業を立ち上げ法人化したのですが、独立して初めて、普段どれくらいの税金を払っているかを実感しました。自分で稼ぐ・納税するということを経験して、自分の未来を主体的に考えて意思決定する人を育てていきたい。そして、そういう人が日本全体へと広がれば、もっと強い経済になるとも思っています。それをまずは社内から実践しています。
また、私には50歳で年商100億企業を作るというビジョンがあります。となると、今の採用領域以外にも様々な事業を展開しなければなりません。そのためにも、経営者思考を持ったメンバーを育てていきたいと考えています」(山川氏)
「琉球再建」の実現を目指して。高校生の原体験
「もう一度、経済的に豊かな沖縄を作る」。山川氏は、高校生の頃にそう決意したと話す。当時、父親が会社の連帯保証人だったために、多額の借金を背負うことに。山川氏は学業と部活に励みながら、夜はアルバイトをして家計を支えていた。しかし、働いても働いても経済的に豊かになれない。一方で、周りの友人たちとの生活レベルもあまり変わらない。そんな状況に違和感を感じたことをきっかけに、全国的に見て沖縄の経済や生活のレベルが低いことを知ったという。
沖縄は元々琉球王国があり、東アジアのハブとなり中継貿易で経済も活発だった。そんな沖縄を取り戻すことを目指して、「故郷である沖縄の経済に貢献する経営者になる」と決めたのだ。「経営者」という道を選んだ理由について山川氏はこう語る。
「祖父が県議会議員、父が経営者だったんです。それぞれ異なる方法で沖縄に貢献する2人の姿を見て、この2つの選択肢だったらどうやって沖縄を再建できるかと考えました。沖縄は日本に属しながらも、歴史上アメリカや中国などとも関わりが深く、複雑な環境にあります。となると、政治という切り口で私一代で理想の世界観を実現するのは難しいと感じ、そこで、経営者になろうと決めました」(山川氏)

そして「30歳で起業する」と目標を定め、宮崎産業経営大学経営学部へ進学。新卒では東証一部上場のブライダル企業であるアイ・ケイ・ケイホールディングスに入社した。山川氏は「経営者になったら、ビジョンや思想を大事にした共感による組織を作りたいと思い、当時九州で最も理念経営に力を入れていた企業を選びました」と話す。
入社後はBtoCの営業としてキャリアをスタートし、24歳で最年少支配人に昇進。その後、26歳で北部九州エリア統括の総支配人、27歳で全店舗の営業部隊統括を兼任した。その後、28歳には人事戦略イノベーション室の室長として人事責任者を務め、2022年新卒のマイナビ人気企業ランキング九州沖縄部門で1位を獲得するなど、ハイスピードで成長した。
そして、30歳になる年に退職。人事責任者を務めていた経験を活かして、新卒採用のコンサルティング事業を個人事業主として立ち上げた。しかし当時はビジネスモデルが曖昧で、人材に関する「なんでも屋」のような仕事をしていたという。半年後には資金が底をつきかけ、危機的な状況に。「公庫さんの300万円の融資がなければ今はなかったと思います」と当時を振り返る。
その後、関東のプライム上場機械系メーカーの新卒採用の支援が大きな転換点となった。導入4ヶ月で前年比300%を達成。その成果から取引社数も徐々に増え、全国で様々な業界・業種の企業の支援をするほどに成長を遂げたのだ。その基盤は、前職で培われた「お客様に感動を届ける」という考えがつないできたのだという。
「ブライダル業界での仕事を通じて、『感動体験の価値』を学びました。結婚式はたった数時間ですが、数百万ものお金がかかります。これだけの時間価値のものは、他にはそうありません。なぜその時間に対して大金を払うかといえば、大きな感動という体験があるからだと思うんです。心が動き、自然と涙が出る。そういう内側からこみあげるものが感動であり、それを提供することこそサービスの最高到達点だと思いました。そういうサービスを提供したいという考えが、現在のコンテンツ設計や学生・求職者の感動体験、クライアントへの手厚いサービス提供の基盤になっています」(山川氏)
思いをつなぐ、沖縄人としての誇り
——山川様の「感動」の定義とは?
前職では感動とは「ここまでするのか」という体験だと定義されていて、弊社でもそういう体験を強く意識しています。学生や求職者にとっては、弊社が提供する感動体験が今後の人生をも左右する可能性があります。だからこそ、単なる「体験」でなく「感動」まで提供できるサービスを追求しており、コンテンツを体験して心が動くことで行動に移すまでが私たちの仕事だと思っています。
企業のお客様においては、期待を上回る成果を出すことによって「うちの会社にこんな採用の可能性があったのか」と自社の採用における希望を見出していただくことが感動だと考えています。
——沖縄への強い愛を感じますが、特にどのようなところに沖縄愛を持っていますか?
海や自然、独自の文化など純粋に地元が大好きな思いもありますが、歴史的な背景による沖縄人としてのアイデンティティが大きいです。かつて沖縄は一つの国で、独自の経済圏を作り大国と渡り合ってきた歴史があります。また、戦争の過去や他国との関係性など、様々な環境要素も詰まっています。そういう歴史的な部分も含めて、沖縄人としてのアイデンティティや誇りを持っていて、「沖縄人として頑張らなきゃ」という思いがあるんです。
——仕事を通じて沖縄に貢献することを楽しんでいることが伝わってきましたが、山川様にとっての「働く楽しさ」とは?
私の中で仕事は、自分を表現できる最高の「舞台」だと思っています。自分の世界観や価値観をビジネスを通じて表現し、それを評価してくれる人がいるという最高の舞台なんです。もともとダンスをしていたこともあり、自分のアウトプットを見てくれる人がいる場が好きなのもあるかもしれません。

「出逢えてよかった」と思われる会社・人でありたい
——採用領域で働く中で、人に関わることの魅力をどんなところに感じていますか?
大きく2つあると思っています。1つは、やればやるほど結果に結びついて、目に見えて成果が出ること。採用は打った施策に対して反響がきちんと出るので、支援会社としてやりがいがあります。
もう1つは、「こうすればこうなる」という理論だけではないところです。人の可能性というものは、資産としてプラスにもマイナスにもなるものだと思います。お金であれば、誰にとっても1万円は1万円ですが、人は人によってもたらすものが異なり、それがプラスになることもマイナスになることもあります。そして、その振れ幅も大きいため、人や企業に合わせた施策が求められるのです。
さらに、人がもたらすプラスをどれだけ大きくできるかが、その企業の今後にも影響します。そういう、人が持つ可能性に触れられる点も魅力ですし、私たちの施策によってどれだけそれを波及させられるかも面白い点です。
——人と関わる上で大切にしていることは何ですか?
まずは、人との出会いやご縁を大切にすること。沖縄の言葉に「いちゃりばちょーでー(一度会えば皆兄弟)」という言葉があります。この言葉のように一つ一つの出会いを大切にし、出会った人にとって何かのきっかけになったり、「出逢えてよかった」と思ってもらえたりする関わり方をしたいと考えています。
また、「点火人(てんかびと)」でありたいとも思っています。自分自身が種火を燃やし続け、人に火をつける存在でありたい。私との出会いで人生に火が付いたり、前向きになったりする人を増やしたいと思っています。
沖縄から世界へ羽ばたき、イノベーションをもたらす会社へ
Human Creationが生み出す感動は、沖縄、地方、そして日本全体へと広がりつつある。そして、「沖縄から世界へ」を掲げ、今後は海外展開も目指す山川氏に、展望を伺った。
「新卒採用支援全国No.1、就活生支援九州No.1を達成し、『新卒といえば“Human Creation』と言われる存在になりたいです。また、5期目には海外展開も目指しています。そのために事業拡大・多角化を予定しており、毎期ごとに新規事業・M&Aを行い、更なるチャレンジをしていきたいと考えています。そして、沖縄の様々なビジネスのゲームチェンジャーとなり、あらゆる業界で沖縄のビジネス慣習をイノベーションしていく会社を作り沖縄経済を活性化させる存在になりたいですね」(山川氏)
◎企業情報
会社名:株式会社Human Creation
所在地:沖縄県宜野湾市宇地泊3-7-1 宜野湾ベイサイド情報センター2F Gwave Incubate
設立:2023年
代表:山川勇之丈
URL:https://humancreation.co/
◎インタビュイー
株式会社Human Creation 代表
山川勇之丈



