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株式会社アイエムティ

https://www.navida.ne.jp/snavi/101007_1.html

〒252-0804神奈川県藤沢市湘南台2丁目7番地9湘南台ナリタビル302号

0466-54-9111

逆風の建設業界、人間力で再興を目指す

ステークホルダーVOICE 経営インタビュー
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アイエムティ HP
アイエムティ HPより

「仕事の大きい、小さいにかかわらず、求められていることをやる。それが安心感に繋がり、大きく化けて今がある」

そう語るのは、神奈川県藤沢市で鉄骨業者を営む柳生孝秀社長。柳生氏はメッキ会社から独立後、2年間個人事業を続けた後に「株式会社アイエムティ」を立ち上げた。同社は今年11期目を迎える。

鉄骨工事業といっても直接建設を請け負うわけではない。工事を取り仕切る建設会社と業務を請け負う鉄工所の橋渡しをする、いわば「建設業のプロデューサー」。

多数の業者や顧客との間を取り持つだけに、人との信頼関係構築が、次の仕事に繋がることもある。

新型コロナの蔓延、資源難に物価高と、建設業には未だ逆風が吹き荒れている。大波の渦巻く渦中に翻弄される建設業の今後と、同社の目指すものを、初代社長の柳生氏に伺った。

波乱続きの船出――「必要とされるなら、自分がやる」

まずは、株式会社アイエムティを立ち上げた経緯を教えてください。

柳生

30代後半から40代半ばまで勤めていたメッキ会社で、5部署が閉鎖されることになって。私のいた部署もなくなってしまったんです。

私はその会社を辞めて、会社にいたときの人脈とノウハウを活かし、現場とゼネコンの橋渡しをする事業を個人で始めました。

2年ほどフリーランス、というか、個人事業を続け、軌道に乗ったころで「株式会社アイエムティ」を立ち上げました。今年で法人化11期目です。

現場とゼネコンの橋渡しをする事業、というと、イメージするのが難しいですが、他にも同業他社はあるのでしょうか?

柳生

フリーランスの方はいますけど実はあまりいないんです。だから自分は、青森から九州まで営業で走り回って仕事をいただいています。協力工場も全国あちこちにありますし、そこがうちの強みです。

また、弊社にやってほしいと依頼いただく方がいれば他が面倒くさがってやらないような、細かい仕事までどんな小さな仕事でもやります。

小さなことを拒まずにやっていたら、それが大きなビジネスに繋がったこともあります。

ときにはお人好しが仇になり、大きな痛手を受けることも。

現在、従業員は何人いるんですか?

柳生

今は2人で会社をやっています。取引先が突然夜逃げして、数千万の債務が残されたんです。会社にとっても大打撃でした。さらにそのキズが癒えないうちに、2020年4月に新型コロナの問題が発生したんです。

会社の売り上げは10分の1まで落ち込んでね、その後も1年半は全く仕事がない状態でした。

大変だったんですね…。

柳生

今でも大変ですけどね (笑) ようやく今、仕事が増えてきたんですよ。というか、コロナの間に止まっていた仕事が今動いているんです。でも、まだトンネルの出口がちょうど見えてきたところじゃないですか。

サプライチェーン問題に加え、急激な物価高と建設業に逆風が続く

新型コロナウイルス蔓延による建設業界への影響は大きかったと聞きました。

柳生

はい。コロナ渦で、大手ゼネコンからの仕事がなくなり、一気に売り上げが落ちた。その後現場が少しずつ動き出したんだけど、3密回避で三交代制になりました。

今までは1日に300人入って回していたところ、50人までしか入れなくなったんです。当然工期は伸びますよね。工期が延びれば、入金の時期も遅くなってしまいます。

その後もサプライチェーン問題で資材が届かなくなって、工事が先延ばしになったり…。ようやくコロナが収まったと思ったら、今度は急激な物価高が来た。

今はようやくコロナ前に実施する予定だった工事をやっている状態です。当然契約もコロナ前に交わしています。

しかし、急激な物価高で材料費が高騰してしまった。今は請負代金の65%が材料費です。辞めてしまう会社も当然多い。売り上げなんて、以前の10分の1になりましたから。

まあ、大変ですよ。みんなによく続けてるねって呆れられるくらい。

それでも、今自分が辞めてしまったら、困る方がいるでしょ。今までにお世話になってきた会社に迷惑をかけたくないんです。それだけかな。

誰もやりたがらないことなら、自分がやる。「お人好し社長」だからこそ集まる信頼

経営方針として、どういったことを大切にしていらっしゃいますか?

柳生

経営方針というのかわかりませんが、来るもの拒まずやっています。小さなことを嫌がらずに積み重ねることが、大きなビジネスに育つこともありますから。

うちみたいな会社は、とにかく小回りの良さが取り柄です。大手ゼネコンなんかと比べても、もろもろの経費が安い。融通も利きますし。

それに、僕は同じ業界にずっといるので、それなりに知見やコネクションもあります。

そこが大手と差別化できるところですね。たとえば、工事中の駐車場で、一部樹脂が剥げてしまったとするでしょう?大手ゼネコンに交換を頼むと、10万、20万円はかかってしまう。

樹脂自体の値段は400円程度でも、大手に頼むとどうしても付属費用が高くなりがちなんです。ちょっとした工事でも各部署の日程調整などで時間もかかりますし。

そんなんだったら、うちなら4万円程度でやっちゃいます。実費と、自分の日当、高速代ぐらいで十分です。赤字にならなきゃそれでよし、ですよ。

だから、中小企業の経営者の方でも、気軽に声をかけてくれます。自分の工場を増設したいとか、新築で建てたいとか。声さえかけてくれれば、あとは丸投げしてもらって構いません。

屋根・壁・電気、全部やります。大手と違って、うちは敷居が低い。バリアフリーなんです。

逆境の続く建設業界で、なんとか法人11期目を迎えられたのは、柳生社長の人柄にあるのでしょうね。

柳生

自分のいいところっていっても、わからないですよ。人柄っていうのも、どうかな(笑)でも、困っている人を見捨てられないっていうところはあります。一日に2人もヒッチハイカーを拾ったこともあるし。

日本でヒッチハイカーですか?

柳生

そう、けっこういるんです。兵庫県に出張に行った帰り、南米系の男性がプラカード持ってじっとこっちを見てたんですよ。

どこ行くのか聞いたら名古屋っていうし、ちょうど帰り道だから乗せました。高速を降りて、名古屋駅の向こうまで連れて行きましたよ。

それだけじゃなく、高速に戻ったらまた一人、プラカードもった男の子がいて。乗せていきましたよ。何度も目が合うんだもの、無視できないじゃないですか。

暗いトンネルの先に出口の光が見えてきた今

今の仕事の状況と、今後の目標について教えてください。

柳生

今、ようやく、おかげさまで、7月、8月って少しずつ仕事が増えてきて。というか、戻ってきたんです。このままいけば、コロナ前まで戻るんじゃないかって。

今後は、新しいことにも挑戦しようと思っています。

今までは鉄骨工事の骨組みだけだったんですけど、今後は解体工事の請負にも事業を広げていきたいですね。建てるだけじゃなく、壊す方もやっていこうと。

また、今まで手を出さなかった1棟全体を受注するようにもなったら、仕事が取りやすくなりました。鉄骨工事だけじゃなく、全部まとめてやっています。あそこもできない?って言われたら、嫌がらずに。

それがうちの強みですから。

他の会社が手間を惜しんで避けるような仕事も積極的に受けることや、目先の利益にとらわれず、長い目で関係を構築していくことで、今までブレずにやってきました。

今はまだ、5年、10年先までは見えないけれど、今のまま、続けていきたいですね。

◎プロフィール
柳生 孝秀
神奈川県川崎市出身。学業終了後は自動車部品メーカーに就職し、4年間にわたり技術職に従事する。その後、事務機器メーカーで3年、メッキ加工を手掛ける企業で14年、営業職に就いてノウハウを磨いた。更に、別のメッキ会社にも勤務して技術を磨いた後、2010年に独立。実績と信用を積み重ね、2012年に法人改組し現在に至る。

◎企業概要
名称:株式会社アイエムティ
代表者名:柳生 孝秀
住所:〒252-0804神奈川県藤沢市湘南台2-7-9湘南台ナリタビル302
業種:建設業
資本金:1000万円

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ライター:

フリーライター・リーガルライター。静岡県浜松市在住。 立命館大学法学部卒。2008年から2021年まで13年間パラリーガルとして法律事務所に勤務。破産管財から刑事事件まで、各分野の法律事件に主任として携わる。独立後は主に法律メディアでの執筆やインタビュー取材などを中心に活動中。

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