
フリー株式会社(以下、freee)は、従業員の健康管理と健康経営に関する実態調査を実施した。調査結果からは、多くの企業が健康経営の必要性を認識しているものの、実際には十分な取り組みが進んでいない現状が明らかになった。
健康経営の実施状況と課題
調査は、2024年9月16日から18日までの間、従業員規模51名から500名の経営者および人事責任者1,000名を対象にWEBアンケート方式で行われた。
「健康経営に取り組んでいますか」という質問に対して、「既に取り組んでいる」と回答した企業は32.6%にとどまり、「取り組みたいができていない」と回答した企業は47.3%、「取り組む予定がない」とした企業は20.1%だった。つまり、健康経営に取り組んでいない企業の割合は67.4%に達し、そのうちの大半が「取り組みたくてもできない」状況にあることが浮き彫りとなった。

健康経営の取り組みが進んでいない理由としては、「既存業務で手一杯」「人員・体制不足」「予算不足」「知識・情報・ノウハウ不足」が主な要因に挙げられた。特に、推進担当者の不在が課題となっており、人材定着や育成に関する専任・兼任担当者がいない企業は約3割に上った。
働きやすさと採用の関係
調査では、企業の「働きやすさ」と「採用成功率」に関するデータも示された。
「あなたの会社は、従業員が働きやすいと思いますか」という問いに対し、「自信を持って働きやすいと言える」(16.8%)と「働きやすいほうだと思う」(60.8%)を合わせると、77.6%の企業が「働きやすい環境である」と認識していることが分かった。
しかし、「予定採用人数を満たすことができた企業」は27.2%にとどまり、「募集したが予定人数に達していない、または継続募集中」という企業は56.1%に上った。つまり、「働きやすさ」を訴求するだけでは、採用の成功には直結しない現実が見えてくる。
健康経営はコストか投資か?
企業が健康経営に本格的に取り組めていない背景には、コスト面や業務リソースの不足が大きな壁となっている。しかし、健康経営がもたらすのは単なる「福利厚生の充実」ではなく、「生産性の向上」「医療費負担の軽減」「離職率の低減」といった経営メリットである。
例えば、健康経営を積極的に導入している企業では、従業員の健康診断受診率やストレスチェック実施率が高まり、それに伴い業務効率の向上や病欠率の低下が見られる。また、健康意識の高い企業文化が形成されることで、従業員のエンゲージメントも向上する。
日本では、経済産業省による「健康経営優良法人認定制度」などが整備されており、企業の健康経営を推進する環境が整いつつある。それにもかかわらず、多くの企業が「実施したいができない」という状況にあることは、制度の運用や支援体制の見直しが求められることを示唆している。
freeeの提供する健康経営支援策
freeeでは、健康診断やストレスチェックの進捗管理、労働基準監督署への電子申請などを一元管理できる「freee人事労務 健康管理」を提供しており、企業が手軽に健康経営を推進できる環境を整えている。また、福利厚生サービス「freee福利厚生 ベネフィットサービス」を通じて、従業員の健康促進を支援している。
健康経営の成功には、「コスト」ではなく「投資」としての意識改革が不可欠だ。企業の持続可能な成長のために、今こそ健康経営の本質的な価値を再考すべき時ではないだろうか。