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濵田酒造株式会社

https://www.hamadasyuzou.co.jp/

〒899-2101鹿児島県いちき串木野市湊町4丁目1番地

0996-36-3131

フィロソフィで従業員の心をひとつにする濵田酒造

ステークホルダーVOICE 社員・家族
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濵田酒造株式会社の開発部長の竹迫大地さん(左)と人材育成チーム長の五反田侑士さん(右)
濵田酒造株式会社の開発部長の竹迫大地さん(左)と人材育成チーム長の五反田侑士さん(右)(画像提供:濵田酒造)

企業にとって、自社の価値を高めてくれる従業員は、かけがえのないステークホルダーです。

明治元年の創業以来、味・技・心を大切にして本格焼酎を造り続けている濵田酒造株式会社(鹿児島県いちき串木野市)は健康経営優良法人認定、グッドカンパニー大賞「優秀企業賞」受賞など、対外的な表彰をいくつも受けています。

そのように”いい企業”と言われるまでになった理由のひとつが、「濵田フィロソフィ」の存在です。

濵田フィロソフィの存在意義、仕事上の効果について、開発部長の竹迫大地さんと人材育成チーム長の五反田侑士さんにお話を伺いました。

「全員参加の経営」実現へ、人間教育に通じる心構えを結集

まずは、お二人の自己紹介をお願いします。

五反田

2018年、濵田酒造株式会社(以下、濵田酒造)に中途入社しました。キャリアアップを見据え、さまざまな企業にエントリーさせていただきましたが、濵田酒造に決めた理由は経営理念です。

面接時に経営層から「『全従業員の物心両面の幸せを追求すると同時に、人類・社会の進歩発展に貢献する』ことを目指し、『全員参加の経営』に取り組む」という信念を直接聞き、「この会社で仕事をしたい」と強く思いました。

入社後は主に社員教育に関わる業務に従事し、現在も人材育成チームに所属しています。

五反田侑士さん
人材育成チーム長の五反田侑士さん(画像提供:濵田酒造)
竹迫

もともとは他社で技術系の仕事をしていましたが、濵田酒造の現副社長である父に呼ばれる形で2014年に入社しました。

当初は工場の増設工事の現場管理に携わり、現在は2021年に発足した開発部の部長を務めています。

竹迫大地さん
開発部長の竹迫大地さん(画像提供:濵田酒造)

御社は社是や理念の素晴らしさもさることながら、「人間として何が正しいか」を判断する「濵田フィロソフィ」の考え方が高く評価されています。改めて、フィロソフィの趣旨をお聞かせください。

五反田

ベースとなったのは、京セラ創業者の稲盛和夫さんが提唱された「京セラフィロソフィ」です。

創業150年余りの歴史をつないできた濵田酒造の先人たちの思いを形にし、従業員が仕事に取り組む上での心構えをまとめた哲学で、幼い頃に両親から受けたような人間教育にも通じると考えています。

フィロソフィの体現者と他者行動の称賛者を表彰

「濵田フィロソフィ」を全社的に浸透させる上で、どのような取り組みをされていますか。

五反田

2014年に手のひらサイズの「濵田フィロソフィ手帳」を発刊し、従業員に配布しました。フィロソフィの項目に目を通してもらう機会をより増やすため、毎日の朝礼で輪読しています。

フィロソフィを体現した従業員を表彰する推薦制度も設けており、社内の各現場の従業員を集めた「濵田フィロソフィ実行委員会」ではフィロソフィを浸透させる取り組みについて協議を重ねているところです。

実行委員会には分科会のような組織もつくり、さらにいろいろな話ができるようになりました。

推薦制度の被表彰者は、どんな基準で選ばれているのですか。

五反田

1年間を通してフィロソフィを体現する行動が多かった従業員と共に、他者の優れた行動を見つけて積極的に称賛した従業員も表彰しています。

また、実行委員会ではフィロソフィをテーマにした論文を従業員に書いてもらい、自分の内面としっかり向き合った秀逸な作品を表彰しています。

フィロソフィ論文発表会での表彰式
フィロソフィ論文発表会での表彰式(画像提供:濵田酒造)

創造的な仕事をするため、業務の改善・改良を自問

竹迫さんは「常に創造的な仕事をする」というフィロソフィを掲げているとお聞きしました。

竹迫

技術系の仕事をしているので、現状に甘んじることなく、良い意味での変化をもたらせる発想を日々追求しなければなりません。

それを自分に落とし込むため、「常に創造的な仕事をする」という項目を選びました。

そのフィロソフィを実践するため、普段から意識されていることはありますか。

竹迫

常に「本当にこれでいいのか?」と自問するようにしています。現状のままでうまくいっていたとしても「もっと優れた方法はないか?」と考え続け、業務の改善・改良に日々力を注いでいるところです。

現状を変えるためには、新しいことにも興味を持たなければなりません。だから、情報の重要性に対する意識も高まりました。

何事も自分から行動し、周りとの信頼関係を築く

考え続けることが習慣化されているのは、「全員参加の経営」の一助になっていると感じます。五反田さんは「信頼関係を築く」という項目を掲げているとお聞きしましたが、なぜなのでしょうか。

五反田

歴史のある会社の中で、社歴が浅く何も知らない人間がフィロソフィのお題目を唱えても、単にテキストを読み上げるだけになってしまいかねません。

だから、まずは何でも真面目に一生懸命やってみて、周りの方々と信頼関係を築かなければ何も始まらないと思いました。

「信頼関係を築く」と口頭で言うのは簡単かもしれませんが、いろいろな築き方があると思います。五反田さんは、どんな方法を心がけてらっしゃるのですか。

五反田

まずは何事も自分から動くということです。意識せずともできた行動に感謝してもらえたときは、普段から心がけていることを実践できて本当に良かったと思います。

苦しいときに思い返せば勇気が湧く感謝の言葉を得られたのは、自分にとってすごくプラスになっていると感じることが多いですね。

従業員の能力、熱意を活かせる組織力が強み

お二人はフィロソフィを社内に浸透させる立場ですが、どんなときにフィロソフィが定着していると実感されますか。

竹迫

一番分かりやすいのは推薦制度です。ここ数年はフィロソフィの各項目に対する従業員の理解度が高まり、他者の行動を称賛する推薦文の質も一気に上がってきました。

フィロソフィの文面に書かれている行動を挙げるだけでなく、実際に現場で起こった出来事について「このフィロソフィの項目に当てはまる行動があった」と自分なりに考え、言葉で表現できるようになっています。

五反田

仕事を通じて表彰されることで実感するのは、自分の日々の行動が誰の役に立っているかということです。

表彰された他者の行動を見て感化され、それがまた自分の行動に反映されるという好循環も生まれており、全社的に仕事の理解度が深まっていると感じます。

個々の従業員が日常的にフィロソフィを体現する上で、組織はどのような役割を果たしているのでしょうか。

五反田

フィロソフィには「人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力」という項目もあります。従業員の能力、熱意がどれだけあっても、組織全体の考え方がマイナスに向いてしまうと決してプラスにはなりません。

当社は能力、熱意がある従業員に事欠きません。組織としても自分たちが成すべきことを明確に理解し、プラスの考え方で一致しているのが、ものすごい強みになっていると感じますね。

トップが積極的に信念を発信し、新入社員にも浸透

御社は2020年から3年連続で経済産業省などの健康経営優良法人に認定されていますが、従業員を大切にした企業姿勢に定評がありますね。

五反田

「全従業員の物心両面の幸せを追求すると同時に、人類・社会の進歩発展に貢献する」「本格焼酎を真の國酒へ、更には世界に冠たる酒へ」といった信念を、トップ自らしっかりと発信してくれているのが大きいと思います。

各部署が取り組みを発表する毎月の朝礼や毎年7月の創立記念日の式典など、折に触れて信念を共有できるので、従業員が思いをひとつにしやすいのが我々の強みです。

部の経営層だけでなく、全従業員がトップの発信に耳を傾ける機会がこれほど多い会社は珍しいのではないでしょうか。

竹迫

新入社員を置いてきぼりにしないためには、フィロソフィの考え方を分かりやすく伝え、日常の中で手帳を使ってもらいやすくする環境づくりが大切です。

いくら「手帳を読め」と言われても、無理強いをされれば誰も読まないでしょう。

でも、普段の会話の中で身近な先輩に分かりやすく説明してもらえば、自然と理解できるはずです。フィロソフィを実践して成功したと示せる事例は、いくらでもありますから。

そうした取り組みが少しずつでもうまく回っているからこそ、会社として強くなれているのだと感じます。

濵田フィロソフィで社員の成長を支えるために必須な手帳
濵田フィロソフィで社員の成長を支えるために必須な手帳(画像提供:濵田酒造)

フィロソフィをベースにチャレンジできる会社

「濵田フィロソフィ」の実践を通し、お二人が仕事のやりがいを感じるのはどんなときですか。

竹迫

フィロソフィの考え方は、上から押し付けられているものではありません。フィロソフィのベースを理解した上で自発的に考え、行動すれば、いろいろなことにチャレンジできます。

そういう姿勢を理解してくれる人たちもいるので、この会社で働くのは本当に面白いと思います。

五反田

新入社員にフィロソフィの神髄を説明するときは、「できるだけ『ありがとう』の言葉を積み重ねてほしい」と伝えています。

相手に伝えたいと思った「ありがとう」の根底に何があるのかを考える手段として手帳を読み、どの項目が一番近いのかを考えてほしいということですね。

そうして導き出した答えに誤りはなく、ひとつの項目にしか当てはまらないということも絶対にありません。だから正解など気にせず、自分なりに考える時間が一番大事だという話をしています。

新入社員が現場に配属され、先輩方から推薦された文章を読んだときはうれしいですね。「頑張っているな」「良かった」と安心します。

推薦された行動の実践者として、どんな思いで仕事をしているかという本人のコメントを読むのも格別です。

新入社員研修の一元的なレポートより何倍もリアルな思いを感じ取れるので、「この仕事に就いて良かった」とやりがいを感じます。

「みんなで一緒に、会社を良くしたい」という志を共有

ありがとうございます。最後になりますが、お二人にとって濵田酒造は、どんな会社ですか。

竹迫

「みんなで一緒に」という気持ちと「会社のために」という気持ちが共存する会社です。

上司と部下の間でも「だめなことはだめ」と言い合える関係を築けているのは、全ての従業員が「みんなで一緒に、この会社をさらに良くしたい」という志を共有できているからだと思います。

五反田

揺るがない信念を持った会社です。「そんな素晴らしい会社の一員です」と胸を張れるようになりたいですし、「この仕事が天職です」とも言えるように頑張っていきたいですね。

◎会社情報
会社名:濵田酒造株式会社
URL:https://www.hamadasyuzou.co.jp/
代表者名:代表取締役社長 濵田雄一郎
事業内容:焼酎製造販売
所在地:(本社)〒899-2101鹿児島県いちき串木野市湊町4丁目1番地
電話番号:0996-36-5771

◎プロフィール
五反田 侑士
地元企業での接客業、人事担当を経て2018年に濵田酒造へ入社、社内における濵田フィロソフィの推進施策の企画・運営を担当。2022年より人材育成チームチーム長として、フィロソフィを根幹とした人材育成全般の企画に携わる。

竹迫 大地
造船会社の設計士を経て、2014年に濵田酒造へ入社。主力工場である傳藏院蔵の増設工事の現場管理を担当。2021年より開発部長として、商品開発や技術開発に携わる。

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ライター:

十勝毎日新聞社(北海道帯広市)元記者。編集局社会部遊軍キャップ、本別支局長、編集局政経部デスク、東京支社次長、編集局政経部長などを歴任し、多くの政財界人の取材に携わった。在職中、月刊誌「都市問題」に論文「自治体の政策形成と市民参加 米国ポートランド・メトロの市民参加制度 広域的なまちづくりに向けて」を寄稿。現在は電子書籍、Web記事・コラムなど企業コンテンツのライター、編集者として活動している。

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