ログイン
ログイン
会員登録
会員登録
お問合せ
お問合せ
MENU

法人のサステナビリティ情報を紹介するWEBメディア coki

「データ入力」求人装う高額コンサル詐欺の手口 消費者庁がLinks、Excellent oneなど詐欺事業者5社を開示

ステークホルダーVOICE 地域社会
コラム&ニュース ニュース
リンクをコピー
消費者庁が在宅ワークの求人情報を悪用した詐欺事業者を開示
消費者庁よr。在宅ワークの求人情報を悪用した詐欺事業者を開示

「完全在宅」「未経験OK」。スマホ一台で、家事や育児の合間に月数万円。そんなささやかな願いを抱く人々を、底なしの泥沼へ引きずり込む卑劣な罠が牙を剥いた。消費者庁は12月19日、求人サイトを隠れ蓑に高額契約を迫っていた合同会社オアシス、合同会社Links、株式会社クラウドエージェンシー、TOEI株式会社、株式会社Excellent oneの5社を実名公表し、異例の注意喚起を行った。

だが、その手口を知れば知るほど、誰もが他人事ではいられない巧妙な実態が浮かび上がってくる。

 

「未経験OK」の甘い言葉で誘い出し、面接で突きつける残酷な現実

被害の入り口は、大手求人サイトに掲載された、一見すればどこにでもある魅力的な「データ入力」の募集広告だ。時給1,150円から1,300円といった、在宅ワークとしては手堅い報酬 。藁をも掴む思いで応募した人々を待っていたのは、採用への期待を逆手にとった非情な「選別」だった。

いざオンライン面接が始まると、担当者は求人票に書かれた仕事内容をいきなり全否定し始める。「データ入力は今どきAIがやるから稼げない 」「全員に平等に仕事を回せない 」。そう突き放し、絶望した応募者に「救済策」として提示されるのが、月々数万円の支払いを伴う「WEBマーケティング」という名の高額コンサル契約だ。

 

被害者「面接のはずが、いつの間にか借金の話に」

現在、Webライターとして活動するAさん(30代)は、かつて在宅ワークを探し始めた際、まさにこの巧妙な罠に直面した一人だ。

「今はライターをしていますが、数年前、育児の合間に仕事を探し始めた頃、時給1,150円の『データ入力』案件に応募しました。でも、面接で『その仕事はAIに奪われるから稼げない』と言い放たれたんです。代わりに勧められたのが50万円近いコンサル契約でした。『指導に従えば確実に稼げる』と畳みかけられ、気がつけばクレジットカードの分割払いの説明を熱心に聞いてしまっていた。仕事を探しに行ったはずなのに、なぜ自分がお金を払う検討をしているのか。冷静な判断力を失わされていたんです」

さらに、一度は返金に合意しながら、結局一円も振り込まれなかったという被害事例も報告されている。そんな被害者たちの悲鳴をあざ笑うかのように、この5社は裏で密接に繋がっていた。

 

巧妙に仕組まれた「5社連携」の闇のネットワーク

なぜ、これほどまでに多くの人が騙されたのか。その背景には、法人の皮を被った組織的な「役割分担」があった 。消費者庁の調査によれば、これらの法人は独立しているように見えて、実は一つの巨大な網のようにリンクしていたのだ。

たとえば、合同会社オアシス合同会社Links(大川 赳史が代表者)が求人サイトに情報を出すためだけに設立した「客寄せ用」の看板に過ぎない。また、株式会社クラウドエージェンシーTOEI株式会社も、株式会社Excellent one(戸上 祐一が代表者)が設立し、求人掲載や契約名義として使い分けていたものだった 。面接の場にはこれらの法人が共同で現れ、組織的な包囲網で逃げ場を奪っていたのである。

 

「確実に元が取れる」という嘘と、逃げられない高額契約

業者は、44万円から52万8,000円という高額な費用に躊躇する消費者に対し、逃げ道を塞ぐ「殺し文句」を浴びせかける 。「我々の指導に従っていればこれ以上確実に稼げる 」「早い人なら数ヶ月で元が取れる 」。

こうした根拠のない「断定的判断」を信じ込ませ、クレジットカードを切らせるのが彼らの常套手段だ。しかし、アフィリエイト報酬は不確実なものであり、実際にはコンサル料を上回る収入など得られないケースがほとんどだった 。お金を稼ぎに行ったはずが、残ったのは毎月のカードの支払いと、裏切られたという心の傷だけだった。

 

被害に遭わないための防衛策と「188」への相談

消費者庁は、こうした「簡単に稼げる」という「うまい話」をうのみにせず、お金を稼ぐための面接で高額な支払いを要求された場合には、立ち止まって慎重に判断するよう強く警鐘を鳴らしている。

もし少しでも違和感を覚えたり、トラブルに巻き込まれたりした場合には、迷わず消費者ホットライン「188(いやや!)」へ電話すべきだ。働き方の多様化を悪用する卑劣な罠から身を守るためには、情報の裏側を見破る冷徹な目を持つことが、何よりの自衛手段となるだろう。

Tags

ライター:

ライターアイコン

寒天 かんたろう

> このライターの記事一覧

ライター歴26年。月刊誌記者を経て独立。企業経営者取材や大学、高校、通信教育分野などの取材経験が豊富。

関連記事

タグ

To Top