
2025年8月から食品の大規模な値上げが始まる。帝国データバンクの調査によれば、調味料や乳製品を中心に1010品目が対象となり、値上げ率は平均11%に達する。物価高が家計を直撃するなか、政府は給付金や公共料金の補助などを通じ、暮らしを支える支援策を拡充している。
止まらぬ食品値上げ 主要品目とその背景を解説
帝国データバンクが7月31日に発表した調査結果によると、2025年8月に値上げが予定されている飲食料品は1010品目に上る。対象企業は195社に及び、前年同月の661品目から約1.5倍に増加した。1000品目を超える値上げは、5月以降これで3か月連続となる。
品目別では、「調味料」が470品目と最多で、だし製品、ポン酢、たれ類などが含まれる。「乳製品」も281品目に上り、牛乳、チーズ、ヨーグルトのほか、一部のバターや生クリームも対象となる。このほか、加工食品(109品目)、冷凍食品、冷菓、パン類なども含まれている。
値上げの主な要因は、多岐にわたるコスト上昇だ。企業の回答によれば、原材料価格の高騰が97.2%、物流費が80.0%、光熱費が66.5%、包装資材費が59.4%、人件費が53.9%と、複数のコスト項目が同時に値上げ圧力を生んでいる。また、為替相場の円安傾向も、輸入原材料の調達コストを押し上げている。
こうした物価上昇が家計に与える影響は深刻である。帝国データバンクは、2025年の年間値上げ品目数が「2年ぶりに2万品目を超える可能性が高い」との見通しを示している。
支援策と政府対応
政府は、物価高による家計負担の軽減を図るため、いくつかの支援策を実施・検討している。
● 物価高騰対応臨時給付金
2025年度も継続されており、住民税非課税世帯を対象に1世帯あたり3万円が支給される。さらに、18歳以下の子どもがいる世帯には子ども1人あたり2万円が上乗せされる仕組みも導入されている。自治体によっては申請不要での自動給付も行われている。
● 電気・ガス料金支援
資源エネルギー庁によると、2025年夏(7〜9月)には電気・ガス料金の負担軽減を目的とした補助金が全国的に展開される。家庭向けでは月額最大900円、都市ガスは300円の割引が見込まれ、3か月で最大3000円程度の軽減効果が期待されている。
● 現金給付を含む追加経済対策
政府・与党は、電気料金や燃料費補助に加え、全国民を対象とした一律2万円の現金給付を含む補正予算を検討中である。特に、低所得者や子育て世帯に対しては重点的な支援策の追加が想定されている。
● 賃上げ支援や中小企業対策
中長期的な視点から、最低賃金の引き上げと中小企業の賃上げ支援、さらには物流コスト抑制策や円安対応の強化も進められており、構造的な負担軽減を目指す姿勢がみられる。
生活者への影響と展望
食品価格の上昇は、日常生活に直結する。特に、調味料や乳製品は家庭の常備品であり、少しの価格改定でも月々の支出に積み重なる影響を与える。家計管理においては、スーパーの価格比較やPB(プライベートブランド)商品の活用、まとめ買いなどの工夫が求められる。
一方で、政府や自治体による支援策を活用することで、一定の緩和効果も期待できる。給付金や公共料金補助に関する正確な情報を把握し、必要に応じて申請を行うことが重要だ。