「虫だけに無視?」対応に疑問の声が噴出

広島市のファミリーレストラン「ココス白島店」で、食事中の客のもとに天井からゴキブリが落下するという事案が発生し、SNS上で大きな波紋を広げている。投稿主のX(旧Twitter)によれば、店員に状況を報告したところ本社スタッフが駆けつけて対応にあたったものの、話し合いの最中にまさかの離席。説明もなくそのまま席を立つという対応が「不誠実すぎる」として批判の的となっている。
投稿には「虫だけに、無視ってか?」と皮肉も添えられており、多くの共感と拡散を呼んだ。しかし、現時点で投稿された動画は断片的なものであり、やり取りの全貌は不明だ。映像の前後が欠けているため、撮影者がどのような態度で臨んでいたのか、もしくは店側に挑発的な行為があったのかなど、第三者が真相を判断することは難しい。
SNS上では「これは企業対応としてひどい」といった怒りの声の一方で、「これだけでは判断できない」「撮影者がおちょくっていた可能性も否定できない」と冷静な視点も見られる。ほかにも「衛生管理の問題だけでなく、対応の誠意が問われる」との声も。飲食店におけるリスク管理の重要性があらためて浮き彫りになった。
ゼンショーHD傘下の店舗 公式には「設備工事で休業」
ココスを運営するゼンショーホールディングスの公式サイトによると、当該の白島店は2025年6月26日13時より「店舗設備工事のため当面の間休業」とされている。突発的な店舗休業の告知はトラブル発生直後と一致しており、公式発表と実態の間に隔たりがあるのではないかと憶測を呼んでいる。
同店で実際に対応したとされる本社スタッフの行動について、親会社の責任者から謝罪があったとの情報も投稿内に記載されているが、ゼンショー側からの正式なコメントや事実関係の説明は確認されていない。
客の怒りと企業の裁量の狭間で
飲食店における異物混入や衛生トラブルは、企業側の信頼を大きく揺るがすリスクとなる。しかし、法的にはこうしたトラブルの対応は企業の自主的な裁定に任されている面が強く、客側が不満を抱く場合は被害届や民事訴訟などの手段に頼らざるを得ないのが実情だ。
一部では「客としては泣き寝入りするしかないのか」といった声も上がる一方、「誠意ある対応があればここまで炎上しなかった」とする冷静な意見もあり、企業の危機対応力の差が明暗を分けることがあらためて示された。
SNS時代の飲食店リスク 対応力がブランド価値を左右
今回の一件は、衛生面のトラブルそのものよりも、対応過程での信頼失墜がブランド全体に波及することを示す象徴的な事例となった。とりわけSNS上では、顧客対応の一挙手一投足がリアルタイムで拡散・評価され、数時間で企業イメージが激変することも珍しくない。
ゼンショーグループでは、すき家やはま寿司など複数の外食ブランドを展開しており、今回のココスでの対応が今後グループ全体のガバナンスやクレーム対応体制の見直しにつながるか、注視される。