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ビットコインの税制が変わる?金融庁が暗号資産を金商法に移行へ 本格審議入りで「換金ラッシュ」の可能性も

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ビットコインの税制が変わる?

金融庁は6月25日、暗号資産(仮想通貨)を現行の資金決済法の枠組みから金融商品取引法(以下、金商法)へ移行することを正式な検討対象とする方針を明らかにした。金融審議会総会に提示された資料には、制度見直しを本格化させるためのワーキンググループの新設も盛り込まれている。

この制度変更の背景には、暗号資産の取引量と保有者数の急拡大がある。2025年1月時点での国内の利用者口座数は延べ1,214万口座、預託金残高は5兆円を超えた。機関投資家による参入も進み、米国では年金基金や大手金融機関がビットコインETFへの投資を進めるなど、世界的に資産クラスとしての位置づけが強まりつつある。

 

金商法移行で「分離課税」導入の可能性 税制改革が焦点に

制度が金商法に移行すれば、現在最大55%にも上る所得課税が、株式と同様に約20%の申告分離課税となる可能性がある。これは投資家にとって極めて大きなインセンティブであり、暗号資産に対する見方が「投機」から「健全な資産形成」へと変化する契機になり得る。

金融庁関係者は「報告書は11月末までにまとめ、12月の税制改正大綱に盛り込むことが必要」とし、来年の通常国会での法案提出が視野にあると述べている。

 

「ビットコイン換金ラッシュ」起きるか?富裕層への課税機会に

税率が下がることへの期待感から、一部では早くも「ビットコイン換金ラッシュ」が起きるのではないかとの観測も出ている。すでに暗号資産で莫大な含み益を持つ“ビットコイン長者”たちが、税制変更を好機と捉え、合法的な換金を進める可能性が指摘されている。

これは個人投資家にとっては出口戦略の整備であり、国にとっては税収の獲得チャンスとも言える。現在の制度では高額課税がネックとなっていたため、納税行動が先送りされる傾向があったが、制度変更により“納税の動機付け”が高まる可能性がある。

 

国策としてのWeb3支援 海外事例との整合も

本件は、2025年6月13日に閣議決定された「新しい資本主義実行計画」にも明示されており、NFTやWeb3領域の発展を後押しする国家戦略の一環だ。今後の制度整備では、詐欺的な投資勧誘や情報開示義務、インサイダー取引への対応なども金商法の網に含める方向で議論が進むと見られる。

暗号資産を「資金調達型」と「非調達型」に分けて規制を柔軟に設計し、交換業者や発行者に適切な情報提供を求めるスキームも検討されており、今後の実務的な設計にも注目が集まる。

制度移行の議論が本格化する中、日本は果たしてビットコイン時代の“資産大国”になれるのか。投資家の期待と市場の動きが交錯する。

 

今後の焦点は審議会の結論と法案提出時期

金融審議会では今後、暗号資産に関するワーキンググループの設置も予定されており、議論の本格化はこれからだ。報告書が年内に取りまとめられれば、来年の通常国会での法案提出が視野に入る。

今回の動きは、単なる制度見直しにとどまらない。暗号資産を“投機”から“資産形成”の一環へと昇格させるための、国家レベルの政策転換でもある。株式と同じフィールドで戦う準備は整うのか──投資家、業者、そして政策当局の真価が問われる局面が始まろうとしている。

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ライター:

金融機関と不動産会社での勤務経験を経て2014年より金融関係や不動産関係を中心としたフリーライターとして活動。金融関係をはじめ不動産やビジネスのジャンルを中心に執筆しています。

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