
世界的グミブランド「ハリボー」の製品から大麻成分が検出され、オランダで全量リコールが実施された。子どもの体調不良も報告され、当局は摂取を控えるよう警告している。
オランダで健康被害、子ども含む複数の体調不良報告
世界的な人気を誇るドイツの製菓ブランド「ハリボー(HARIBO)」の一部製品から、大麻成分が検出されるという衝撃的な事件が発生した。オランダ食品消費者製品安全庁(NVWA)は5月29日、コーラ瓶型グミ「ハッピーコーラF!ZZ」において大麻成分を検出したと発表し、同製品を全量リコールする措置を取った。
発端は3袋の異常検出と体調不良の報告
NVWAの報告によると、大麻成分が検出されたのは3袋のみであるが、予防措置として「ハッピーコーラF!ZZ」シリーズすべてのリコールを決定した。検出された成分が健康被害を引き起こす可能性があることから、当局は「絶対に食べないように」と強く警告している。
リコールのきっかけは、消費者からの「グミを食べたあとに体調不良を感じた」という通報であった。オランダ国内では、子どもを含む数人がこの商品を摂取後にめまいなどの症状を訴え、現地警察とNVWAが調査に乗り出した。
ハリボー社「非常に重大な問題として認識」
この事態を受け、ハリボー社のマーケティング担当副社長パトリック・タックス氏はAFP通信に対し、「消費者の安全が最優先事項であり、今回の事案を非常に重大なものとして受け止めている」との声明を発表。さらに、「このリコールはオランダ東部地域で限定的に発生した事例に対する措置であり、現在、オランダ当局と密接に協力して調査を進めている」と述べた。
大麻成分はどのように混入したのか?
今回のリコール対象となった「ハッピーコーラF!ZZ」は、炭酸のような刺激感と爽やかな味わいで人気のグミ菓子であり、特に子どもから大人まで幅広い層に親しまれている商品である。それだけに、消費者への影響は大きい。
混入が確認された大麻成分の正確な種類や濃度、混入経路については現在も警察が捜査中であり、ハリボー社も調査への全面的な協力姿勢を示している。
ハリボーとは? 世界120カ国以上で販売されるブランド
ハリボーは1920年、ドイツ・ボンで創業された老舗菓子ブランドである。創業者のハンス・リーゲル氏は、自身の名前と故郷ボンの頭文字を取り「HARIBO」というブランド名を作り上げた。わずか一室の洗濯室からスタートした同社は、今や全世界に7000人を超える従業員を抱え、年間売上は約4200億円に上る。
同社の代表商品である「ゴールドベア」はクマの形をしたフルーツグミで、世界中で親しまれている。製品のバリエーションは国や地域ごとに異なり、地元の嗜好に合わせた味や形状の製品も数多く開発されている。
安全性への信頼が問われる時代に
今回のリコールは、食品安全性に対する信頼がいかに重要であるかを改めて浮き彫りにした。特にハリボーのような子どもをターゲットにした商品であれば、なおさらリスク管理の厳格さが求められる。
NVWAは「健康被害の可能性がある商品が流通している事実そのものが問題であり、企業は早急に原因を特定し、再発防止策を講じる必要がある」としており、調査の行方が注目される。
消費者にできる対策は?
現在のところ、問題が確認されたのはオランダ国内のみであるが、同商品が輸出されている可能性も否定できない。ハリボー製品を購入・所持している消費者は、パッケージに記載されたロット番号や製造地を確認のうえ、該当商品であれば摂取を控え、販売店や製造元に連絡を取るよう求められている。
特に子どもが誤って摂取しないよう、保管場所や取り扱いには十分な注意が必要だ。
まとめ:信頼回復に向けた課題
世界的ブランドであるがゆえに、今回の事件の影響は小さくない。ハリボーは調査結果を公表し、信頼回復に向けた明確な対応策を打ち出すことが求められている。また、食品業界全体としても製造・流通の透明性とトレーサビリティ(追跡可能性)の強化が急務である。
消費者としても、商品選択時に安全性や企業の対応姿勢をしっかり見極める目が求められている。甘いだけでは済まされない、グミ業界の新たな課題が突きつけられている。