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アセチレンガスボンベの危険性と法的管理 江戸川区爆発事故から見える盲点

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アセチレンガスボンベ
DALL-Eで作成

東京都江戸川区の住宅建設現場で発生した爆発事故により、作業員や近隣住民ら10人が負傷し、周辺の建物38棟にも被害が及んだ。現場からは腐食の進んだ可燃性ガス「アセチレン」のボンベが地中から見つかり、損傷によるガス漏れと火花の引火が原因とみられている。このボンベはおよそ50〜60センチの深さに埋められていたとされ、警視庁は火災発生の経緯とともに、使用済みボンベの不適切な放置の可能性を視野に捜査を進めている。高圧ガスの取扱いと処分を定める法律の下で、業界全体に問われる安全意識と管理体制の在り方が改めて浮き彫りとなっている。

可燃性ガスボンベ、その利便性と危険性

工事現場や製造現場など、産業のさまざまな現場で用いられている「可燃性ガスボンベ」。特にアセチレンガスボンベは、金属の切断や溶接などで不可欠な存在だ。だが一方で、取り扱いを誤れば、深刻な事故を招く危険性をはらんでいる。

アセチレンガスは空気と混合すると極めて爆発性が高く、わずかな火花や熱で引火する可能性がある。燃焼温度は3000度を超えるとも言われ、利便性と同時に、高いリスクを併せ持つ。とりわけ、ガス漏れやボンベの損傷が発生した場合、状況によっては爆発事故に至ることもある。

今回、東京・江戸川区で起きた爆発事故でも、まさにこの危険性が顕在化した。地中に埋まっていたボンベが、地盤補強工事の際に損傷し、漏れたガスが引火して爆発したと見られている。

 

使用後のボンベは「回収・適正処分」が法的義務

高圧ガスボンベは、「高圧ガス保安法」により厳格に管理される対象であり、使用後のボンベは必ず持ち帰り、回収・返却・適切な処分を行う義務がある。

ボンベが「自社所有」の場合は持ち帰って適切に処理し、「リース品」や「借用品」の場合は返却が原則だ。ところが、現場での扱いが不適切な場合、こうしたボンベがそのまま埋められるなどして放置されるケースが後を絶たない。

業界団体「関東高圧ガス容器管理委員会」によると、地中からボンベが発見される例は東京都内でも年に数件あり、いずれも過去の工事現場の対応の不備が原因と見られている。再開発が進むなかで、過去に「不適切な廃棄」を行った事業者の行為が、数十年を経て今になって事故として表面化している可能性がある。

 

【江戸川区爆発事故】現場で見えた3つの重要ポイント

今回の事故からは、以下のような課題が浮き彫りとなった。

① 地中の「埋設物」の調査精度と限界

事故現場では事前に地盤調査が行われていたが、ガスボンベの存在は確認されなかった。調査は地盤の固さを測るもので、ボンベなどの埋設物を完全に検知できるわけではなく、現行調査法の限界も示された。

② 処分義務の不履行による長期的リスク

可燃性ガスボンベをそのまま埋設した可能性がある過去の施工業者の行為は、高圧ガス保安法に反する。その結果、40年を経て大規模爆発という形で社会的な影響を与えることになった。

③ 現場での火花と可燃性ガスの危険な組み合わせ

作業員が何かに接触した直後に白煙が出たとの証言があり、重機の作動により損傷→漏洩→火花による引火という爆発の流れが強く疑われている。工事現場における火気・摩擦の管理も再検討が必要だ。

 

安全のために、今できること

地中に埋設されたままになっているガスボンベの存在は、爆発リスクの「時限爆弾」とも言える。適切な調査方法の普及と、過去の施工記録の精査、そしてなにより業界全体で「処分の徹底」を再認識することが求められる。

 

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SHOEHORN くつべらマン

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児童養護施設の職員。特に中学~新卒年齢の若者の生活・医療・福祉・自立支援に従事している。勤務時間外では、様々な職業の方へ取材活動を実施しており、大人になる若者たちへ情報を提供している。

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