ログイン
ログイン
会員登録
会員登録
お問合せ
お問合せ
MENU

法人のサステナビリティ情報を紹介するWEBメディア coki

年金法案修正で野党分断狙う与党 内閣不信任案は可決の現実味

コラム&ニュース ニュース
リンクをコピー
内閣不信任案
DALL-Eで作成

2025年5月現在、年金制度改革をめぐる与野党間の対立が、ついに内閣不信任案提出という政局の節目にまで発展する可能性を孕んでいる。政争の表層では各党の駆け引きが目立つが、根底にあるのは国会運営における“信頼の欠如”だ。

与党の受け入れは不信任封じか 背景に見える「牽制と懐柔」

政府・与党は、野党第一党・立憲民主党が提示した年金法案修正案に歩み寄る姿勢を見せている。その真意には、制度的調整よりも、内閣不信任案提出の回避という政治的意図が色濃くにじむ。実際、石破茂首相が率いる現政権は、自公両党だけでは衆院の過半数を割り込んでおり、野党が一致すれば内閣総辞職や衆院解散の可能性も現実味を帯びる。

年金改革という国民生活に直結するテーマを前にしても、議論は制度の中身より、政党間の牽制と懐柔が前面に出る。この構図は、政策を“材料”として利用し、政局の主導権を握ろうとする永田町の常道を象徴している。

 

れいわ新選組の去就がカギ 維新は「条件闘争」へ

衆議院の採決構造に目を向けると、現時点で与党勢力(自民・公明)は220人にとどまり、過半数の233には13人不足している。これに対し、野党系議員は244人。不信任案提出と同時に結束すれば、可決は確実な情勢だ。

だが、れいわ新選組は近年、不信任案の採決で棄権を続けており、今回も姿勢は不透明だ。仮に9人全員が棄権すれば、採決参加議員は455人、過半数は228に下がる。れいわを除いた野党系でも過半数を維持できるが、それでも与党側には「分断の余地」が生まれる。

注目されるのは日本維新の会の動きである。社会保険料の引き下げを条件に自民党との協議継続を求めるなど、実務面での成果を重視している。与党はこれを受け、維新に不信任案賛成を断念させるための環境整備を急いでいる。

 

“成功体験”がもたらす緊張 与党の過信、野党の高揚感

今回の不信任案がこれまでと異なる重みを持つ背景には、江藤拓前農林水産相の辞任がある。主要野党5党が一致して辞任を迫った21日の動きは、与党の譲歩を引き出したという成功体験を野党にもたらした。一方で、自民党はこの動きを過小評価しがちで、対応を誤れば連鎖的な求心力低下に繋がりかねない。

こうしたなか、立民はあえて内閣不信任案の提出を「適時適切に判断する」と含みを持たせる。焦点は、野党が政策本位ではなく政局の機微で意思決定を行うのか、あるいは制度改革という課題に向き合えるのかという点にある。

 

“否定の政治”を超えられるか 国民不信の根源に光を

日本の国会では、与野党が議論のたびに互いを否定し合い、建設的な対話よりも“足の引っ張り合い”に終始する場面が目立つ。与党は少数野党を分断し、不信任案の否決を狙う。野党は政権への反発を優先し、制度よりも政局を語る。

その構造的原因は、政策協議の場が本質的な合意形成よりも、政党の立場表明や支持基盤へのアピールに傾いていることにある。

国民の視点から見れば、必要なのは「どちらの政党が相手を否定したか」ではなく、「どの政党が何を前進させたか」だ。不信任案の行方を見守る今こそ、国会のあり方そのものが問われている。

 

Tags

ライター:

ライターアイコン

SHOEHORN くつべらマン

> このライターの記事一覧

児童養護施設の職員。特に中学~新卒年齢の若者の生活・医療・福祉・自立支援に従事している。勤務時間外では、様々な職業の方へ取材活動を実施しており、大人になる若者たちへ情報を提供している。

関連記事

タグ