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SBIホールディングス子会社、34億円の申告漏れ 中国関連会社に経費を過大計上

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東京国税局
PhotoACより

ネット金融大手のSBIホールディングスの子会社が、東京国税局の税務調査により約34億円の申告漏れを指摘された。指摘されたのは、国内で計上すべき利益の一部が中国の関連会社に移転されていたというものだ。背景には、関連会社の人件費を通常より3倍以上も高く設定する手法があった。国税局は「移転価格税制」を適用し、SBIホールディングスに対して約2億円の追徴課税を行った。SBI側はこれを受け入れ、修正申告と納税を済ませたという。今回の指摘は、企業の税務戦略に警鐘を鳴らす事例となりそうだ。

 

SBIホールディングス子会社が34億円の申告漏れと指摘

SBIホールディングス(東京都港区)の子会社が、東京国税局の税務調査を受け、2022年3月期までの3年間に約34億円の申告漏れを指摘されたことが関係者への取材で明らかになった。

指摘の背景には、子会社が中国の関連会社に対して人件費を通常よりも3倍以上高く設定し、国内での利益を減らしていた点がある。これにより、同ホールディングスは追徴税額として約2億円を支払ったとみられる。

SBI側は「当局との見解の相違があったが、指摘に従い修正申告し、納税を済ませた」と説明している。

中国関連会社への人件費の過大計上が焦点

申告漏れが指摘されたのは、SBIホールディングスの子会社「SBI BITS」(東京都)である。SBI BITSはシステム開発などを担い、中国の関連会社に対して業務委託費用として代金を支払っていた。

問題となったのは、その代金の一部が「人件費」として計上されていた点だ。東京国税局の調査によると、実際の水準と比較して3倍以上高い金額が人件費として計上されており、その結果、SBI BITSの利益が国内ではなく中国の関連会社側に移される形となった。

こうした行為は「移転価格税制」に抵触する可能性があるとして、国税局は同制度を適用し、SBIホールディングスに対して追徴課税を行った。

移転価格税制とは?企業が留意すべき点

「移転価格税制」は、企業が国際取引を通じて利益を意図的に海外へ移転し、国内での課税を回避するのを防ぐための制度だ。国税庁の指針によると、親会社と海外子会社などの関連企業間の取引において、通常の市場価格とは異なる不自然な価格が設定され、利益が意図的に移転される場合に適用される。

今回のSBI BITSの事例では、通常の市場水準を大幅に上回る人件費が中国の関連会社に計上されていた点が問題視された。国税局は「利益を人為的に国外に移転した」と判断し、移転価格税制を適用したとみられる。

SBIホールディングスの対応と今後の影響

SBIホールディングスは今回の指摘を受け、速やかに修正申告を行い、追徴課税約2億円を納付した。SBI側は「当局との見解の相違があった」としつつ、今後の対応については「税務当局と引き続き協議していく」としている。

SBIは、インターネット金融のリーディングカンパニーとして幅広い事業を展開しており、投資家からの信頼も厚い。今回の申告漏れが今後の企業評価にどの程度影響を与えるかは注目される。

企業の税務管理に求められるリスク回避策

今回のSBI BITSの事例は、多国籍企業にとって重要な教訓となる。特に、海外関連会社との取引においては、以下の点に留意する必要がある。

  1. 適正な取引価格の設定
    移転価格税制に対応するため、関連会社間の取引においては市場価格に基づいた適正な金額設定が重要となる。特に人件費や役務提供費などの曖昧な費目は厳格な管理が求められる。
  2. 文書の整備と管理
    国税当局は「移転価格文書」の提出を求めることがあり、適正な取引であることを示すための資料作成が欠かせない。これには、価格設定の根拠や契約書の整備が含まれる。
  3. 定期的な監査の実施
    税務リスクの軽減のためには、取引内容を第三者に監査させることで、問題の早期発見と是正が可能となる。

まとめ:企業の信頼性維持のために

SBIホールディングスの申告漏れ事例は、企業の国際取引に潜む税務リスクの重大性を示す事例となった。ビジネスパーソンにとって、海外取引の適正な価格設定や税務管理の重要性は今後さらに高まるだろう。特に、グローバルに事業展開する企業にとって、透明性と信頼性の確保は欠かせない経営課題だ。

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ライター:

金融機関と不動産会社での勤務経験を経て2014年より金融関係や不動産関係を中心としたフリーライターとして活動。金融関係をはじめ不動産やビジネスのジャンルを中心に執筆しています。

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