
高速道路の休日割引が変わる──3連休も適用除外へ
2025年度、高速道路の「休日割引」が大きく変わる。NEXCO3社(東日本・中日本・西日本)および本州四国連絡高速道路株式会社、宮城県道路公社は、これまでゴールデンウィークやお盆、年末年始などに限定されていた適用除外日をさらに拡大し、新たに3連休すべてを適用除外とする方針を発表した。
この決定により、これまで休日割引を利用していたドライバーにとっては影響が大きい。一方で、長期休暇の渋滞緩和や観光地の混雑対策が期待される。
また、2025年4月からは「通勤パス」の社会実験が全国6道県で本格的に拡大されることも発表されており、高速道路の利用スタイルそのものが変わる可能性がある。
休日割引の適用除外拡大、その背景とは
高速道路の休日割引は、土休日に地方部の通行料金を終日3割引とする制度である。しかし、観光需要が特定の日に集中し、渋滞を引き起こす要因にもなっていた。2024年度からはすでにシルバーウィーク(9月の3連休)も適用除外となっていたが、さらに適用範囲を広げることとなった。
背景には、2023年10月に閣僚会議で決定された「オーバーツーリズムの未然防止・抑制に向けた対策パッケージ」がある。同パッケージでは、観光需要の分散と平準化を進めるために、休日割引の適用条件を見直すことが示されていた。
すでに休日割引を適用除外とした大型連休では、渋滞が緩和される傾向が見られた。3連休も同様の対策を講じることで、さらなる交通の分散と混雑の軽減が期待される。
通勤パスの社会実験が拡大、2025年4月より申し込み受付開始
2025年4月から、新たな社会実験として「通勤パス」の申し込みが開始される。この実験は、2024年4月から北海道、新潟県、石川県、山梨県、香川県、長崎県の6道県で実施されているものを拡大する形となる。
この社会実験の目的は、一般道路の通勤ラッシュを緩和し、交通容量に余裕のある高速道路の利用を促進することにある。社会資本整備審議会 道路分科会 国土幹線道路部会の「中間答申(2021年8月)」では、「適用時間帯に関する条件を見直すなど、多様化する勤務体系に対応する必要がある」と指摘されており、今回の通勤パス拡大もその方針に沿ったものとなる。
通勤パスの利用には事前申し込みが必要であり、2025年4月~9月分の申し込みは2025年3月17日から受け付けられる。
2025年度も継続される高速道路の割引制度
休日割引の適用範囲が縮小される一方で、今後も継続される割引制度がある。
大口・多頻度割引は、運送業者などの頻繁な利用者向けのETC割引制度で、月間利用額が5万円を超えると5%、10万円を超えると10%、30万円を超えると15%の割引が適用される。
障がい者割引は、事前申請を行い、登録済みのETC車載器を使用することで、障がい者が運転する場合や同乗する場合に通行料金が50%割引となる。
平日朝夕割引は、通勤時間帯(6時~9時および17時~20時)にETCを利用した場合、1か月の利用回数に応じて割引が適用される。月5回以上10回未満の利用で30%、10回以上の利用で50%の割引が受けられる。
休日割引適用除外で負担額はどう変わる?
休日割引が適用除外されることで、ドライバーの負担額はどの程度変わるのか。 例えば、東京都内から軽井沢までの往復料金を試算すると、休日割引適用時は約4,500円で済んでいたものが、適用除外後は6,500円程度となる。東名高速を利用し、東京から名古屋まで移動する場合も、休日割引なしでは往復で約3,000円の追加負担となる。
また、観光地にとっても影響は避けられない。宿泊業界関係者によれば、「休日割引がなくなることで、特に家族連れやシニア層の観光需要が減少する可能性がある」と懸念する声も上がっている。
今後の展望と読者が考えるべきこと──SNSの声とともに
休日割引の適用除外拡大により、観光地の混雑緩和や移動需要の平準化が期待される。しかし、「家族旅行の楽しみが減る」「コストが上がるのは困る」といったSNSの声も多く見られる。自家用車を利用した旅行の負担増加は、特に家族連れや地方観光地への影響が大きくなりそうだ。
一方で、「渋滞が減るならありがたい」「道路の流れがスムーズになるのでは?」といった意見もあり、交通状況の改善に期待を寄せる声もある。通勤パスの拡大は、通勤時間帯の混雑を緩和し、高速道路の利用を促進することが期待されるが、「申請が面倒では?」といった懸念の声も上がっている。
ビジネスパーソンにとっては、今後の制度変更を注視しながら、自身の移動計画を最適化することが求められる。また、通勤パスの社会実験の拡大が、今後の高速道路料金体系の見直しにつながる可能性もある。試行の結果次第では、適用エリアの拡大や、より柔軟な制度の導入が検討されることも考えられる。