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ダイソーがカスハラ対策を強化 顧客対応の新方針と業界の動向

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ダイソーがカスハラ対策を強化 顧客対応の新方針と業界の動向
DALL-Eで作成

大創産業が3月3日、カスタマーハラスメント(カスハラ)対策の基本方針を発表した。従業員の就業環境を守るための具体策を示し、悪質な行為には厳格に対応する方針を明確にした。

 

ダイソーのカスハラ対策 新方針の詳細

100円ショップ「ダイソー」を運営する大創産業は、カスハラへの対応を強化するため、新たな基本方針を制定した。企業側は、従業員の精神的・身体的負担を軽減し、安全な職場環境を維持することが目的だとしている。

大創産業は、カスハラを「お客様からのご指摘・クレーム・言動のうち、要求の内容に妥当性を欠くもの、またはその実現手段・態様が社会通念上不相当であり、それによって従業員の就業環境が害されるもの」と定義した。具体的には、商品やサービスに関係のない要求、身体的な攻撃や威圧的な言動、誹謗中傷や差別的発言、執拗な問い合わせや過剰なクレームなどが該当するとしている。

このような行為が確認された場合、同社は警察や弁護士などの関係機関と連携し、厳正に対処するとしている。また、悪質な顧客には入店禁止措置を講じる場合があると明言した。

小売業界で進むカスハラ対策 他社の動きは?

小売業界では、従業員を守るためのカスハラ対策が広がりつつある。2024年にはしまむらや青山商事がカスハラ対策方針を公表し、2025年1月には丸井グループも対応方針を発表した。今回の大創産業の方針も、こうした流れを受けたものとみられる。

厚生労働省は2022年に「カスタマーハラスメント対策の指針」を公表し、企業に対し、従業員を保護するための具体策を講じるよう求めている。特に、小売・飲食・サービス業界では、悪質な顧客対応に関する問題が年々深刻化しており、業界全体での対応強化が急務となっている。

カスハラの加害者はどの層? 年齢や業種の傾向

 

カスハラの加害者には一定の傾向が見られる。エス・ピー・ネットワークの調査によれば、カスハラの加害者は男性が約8割を占め、年代別では40代から60代が約8割を占めている。また、パーソル総合研究所の調査でも、カスハラ加害者は高齢層ほど多い傾向が示されている。

業種別では、小売業、飲食業、医療・介護業界が特に影響を受けやすい。これらの業界は顧客対応が多く、従業員が直接クレームを受ける機会が多いため、カスハラの発生頻度が高いとされる。

企業の対応と今後の課題 従業員をどう守るか

大創産業は、従業員のカスハラ対策意識を高めるための研修や教育を強化する方針を示した。従業員向けに具体的な対応マニュアルを作成し、現場で適切に対応できるよう支援する。

しかし、カスハラと正当なクレームの線引きが難しいケースも多く、対応の在り方には慎重な判断が求められる。顧客の不満を適切に受け止めながら、従業員の保護をどのように実現するかが、今後の大きな課題となる。

企業がカスハラ対策を推進する上で、顧客への理解を促す取り組みも不可欠だ。消費者にも「正当なクレーム」と「ハラスメント」との違いを認識してもらうための広報活動を進めることが、双方の信頼関係を維持する鍵となる。

大企業だからできる? 中小企業の課題と対策

 

カスハラ対策は、大企業だからこそ実施しやすい側面がある一方で、中小企業にとっても必要な取り組みといえる。

大創産業のような大企業は、全国規模の店舗展開をしており、従業員の保護を徹底するために、研修やマニュアル作成、弁護士との連携といったリソースを確保しやすい。また、組織全体として方針を統一し、現場の従業員に周知できる体制を持っている。加えて、社会的な影響力も大きく、カスハラ対策を公表することで、他の企業や業界全体にも波及効果をもたらす可能性がある。

一方で、中小企業にとっては、カスハラ対策の実施がより難しいケースもある。リソースの制約があるため、専属の法務部門を持たない企業では、顧客対応を個々の店長や従業員の判断に委ねざるを得ないことが多い。また、「顧客との関係を悪化させたくない」との懸念から、毅然とした対応をとることがためらわれる場合もある。

しかし、中小企業でも、業界団体のガイドラインを活用したり、外部の研修を取り入れたりすることで、現実的なカスハラ対策を講じることは可能だ。また、SNSや口コミの影響が大きい時代において、企業の姿勢を明確にし、従業員の安全を守ることは、長期的なブランド価値の向上にもつながる。こうした観点から、大企業のみならず、中小企業にもカスハラ対策の重要性が増しているといえる。

今後の展望 業界全体で広がるカスハラ対策

大創産業のカスハラ対策の基本方針発表は、業界全体に影響を与える可能性がある。今後、他の小売企業も同様の方針を打ち出し、労働環境の改善を図る動きが加速するとみられる。

一方で、カスハラ問題の根本的な解決には、社会全体での意識改革が不可欠だ。企業は従業員の保護だけでなく、顧客との適切なコミュニケーションを促進し、トラブルを未然に防ぐための努力を続けることが求められる。

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ライター:

サステナブル情報を紹介するWEBメディアcokiの編集部です。主にニュースや解説記事などを担当するチームです。

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