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エターナルホスピタリティグループ「鳥貴族」中国本土進出 景気低迷下で均一価格の勝算

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エターナルホスピタリティグループ「鳥貴族」中国本土進出 景気低迷下で均一価格の勝算
DALL-Eで作成

外食産業の海外展開が加速する中、焼き鳥チェーン「鳥貴族」を運営するエターナルホスピタリティグループが中国本土に初出店した。上海に開業した1号店では、日本と同様の均一価格を維持。景気低迷の続く中国市場で、低価格路線がどのように受け入れられるのかが注目される。

 

鳥貴族が上海1号店をオープン、均一価格を維持

エターナルホスピタリティグループ(旧鳥貴族ホールディングス、大阪市)は2月25日、中国本土初となる1号店を上海市内の商業施設「五角場万達広場」に開業した。同社はこれまで韓国、香港、台湾、米国と海外展開を進めており、今回の出店もその一環となる。

上海1号店では、日本と同様に全品均一価格を採用。価格は18元(約370円)に設定され、現地の飲食店と比べても競争力のある価格帯となっている。大倉忠司社長は「中国でも景気が低迷しデフレ傾向が進んでいる。『デフレの勝ち組』としての強みを活かし、貢献できるのではないか」と語った。

鳥貴族の中国進出の背景と市場の動向

エターナルホスピタリティグループは、2024年5月に米国で現地焼鳥店を買収し、海外展開を本格化。その後、韓国、台湾、香港へと進出を広げた。中国は世界最大の消費市場の一つでありながら、近年は景気減速が顕著となっており、外食産業も消費者の節約志向が強まっている。

特に上海は外食産業が盛んな都市であり、競争も激しい。現地の飲食店の多くは中高価格帯の店舗が主流で、低価格ながら品質の高い日本式焼き鳥店がどこまで受け入れられるかがカギとなる。

また、中国の飲食業界では、店舗の新陳代謝が非常に活発である。特に上海などの大都市では、数カ月で店舗が入れ替わることも珍しくない。この背景には、消費者の嗜好の変化や競争の激化、そして家賃の高騰などが影響している。例えば、大手スーパーのカルフールは、家賃の上昇やオンラインショッピングの台頭により、多くの店舗を閉鎖し、中国市場からの撤退を余儀なくされた。このような環境下で、飲食店の開業と閉業のサイクルは非常に短く、常に新しい店舗が登場し、古い店舗が姿を消す状況が続いている。

さらに、上海の商業エリアにおける賃料は依然として高水準であり、特に中心部の人気エリアでは家賃が大きな負担となる。近年、一部のエリアではオフィス賃料が下落する傾向も見られるが、飲食店向けの物件は依然として需要が高く、競争が激しいため、テナントにとっては厳しい環境が続いている。

鳥貴族の強みと課題

 

鳥貴族の最大の強みは、高いコストパフォーマンスと均一価格の分かりやすさだ。日本では「安価で質の高い焼き鳥」として人気を博しており、中国市場でも同様の戦略が通用する可能性がある。加えて、焼き鳥というシンプルな料理は、現地の嗜好に適応しやすいという利点もある。

一方で、課題も少なくない。まず、飲酒文化の違いがある。日本では焼き鳥は居酒屋文化と密接に結びついているが、中国では若者を中心に「酒離れ」が進んでいる。このため、アルコールを主体としたメニュー展開が難しく、ソフトドリンクや食事メニューの充実が求められる。また、店舗賃料の高騰や競争激化の中で利益を確保し続けることも課題となる。

SNS上の反応と中国市場での評価

オープン初日から店の前には長蛇の列ができ、SNS上でも多くの反響が見られた。中国の消費者からは、「日本の味をそのまま再現してほしい」「手頃な価格で質の高い焼き鳥が食べられるのはうれしい」といった声が上がる一方で、「この価格でどこまで続けられるのか」「中国の焼き鳥文化とどのように融合するのか」といった懸念の声も見られた。

エターナルホスピタリティグループの今後の展開

 

エターナルホスピタリティグループは、中国国内での出店を今後も積極的に進める考えだ。大倉社長は「将来的に日本国内の既存店舗数(約650店)を超える規模にしたい」と意欲を示している。

同グループは、現在世界で1,139店舗を展開しており、海外では米国、台湾、韓国、香港に進出している。特に2024年以降、海外展開が加速しており、2024年9月には台湾と韓国にそれぞれ1号店を開業、12月には香港にも出店した。2030年度までに海外300店舗の展開を目指している。

今後の課題は、現地の消費者の嗜好に適応しつつ、鳥貴族独自の価値を維持できるかにある。中国市場は外食産業の競争が激しく、他の低価格飲食チェーンとの競争も避けられない。今後の成長のカギは、価格戦略だけでなく、現地のニーズを的確に捉えたメニューやサービスの提供にあるだろう。

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サステナブル情報を紹介するWEBメディアcokiの編集部です。主にニュースや解説記事などを担当するチームです。

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