
みずほ銀行の貸金庫から資産が盗まれたことが発覚。この事件は2019年に当時の行員が貸金庫から2人の顧客の現金数千万円を盗んでいたというものだ。三菱UFJ銀行に続く大手銀行の不祥事に、業界全体で管理体制の再点検が進んでいる。
みずほ銀行で貸金庫盗難 2019年発覚も非公表
みずほフィナンシャルグループ傘下のみずほ銀行は18日、2019年に当時の行員が貸金庫から2人の顧客の現金数千万円を盗んでいたことを公表した。金融庁にも報告済みで、元行員は即時懲戒解雇されている。銀行は「顧客との関係を考慮し公表しなかった」と説明し、1月16日から貸金庫の新規受付を原則停止している。
三菱UFJ銀行に続く業界不祥事 貸金庫管理体制の課題浮き彫りに
みずほ銀行の疑惑は、昨年11月に発覚した三菱UFJ銀行の貸金庫盗難事件に続くものだ。三菱UFJ銀行では、元行員が予備鍵を不正使用し、複数の支店で顧客資産を繰り返し盗んでいたとして懲戒免職処分を受けた。同銀行の半沢淳一頭取は、「銀行ビジネスの根幹を揺るがす事態」として謝罪し、自らも減給処分を受けている。
全国銀行協会は、三菱UFJ銀行の事件を受け、昨年12月に会員行へ貸金庫管理体制の徹底を要請した。これを受け、三井住友銀行や福岡銀行、常陽銀行などが予備鍵の本部一括保管や複数行員による貸金庫解錠手続きの強化を相次いで発表した。
地方銀行にも広がる管理強化と新規受付停止の動き
地方銀行でも管理体制の強化や貸金庫サービスの見直しが広がっている。沖縄銀行は、管理体制の再検討のため、2月12日から貸金庫の新規受付を一時停止した。横浜銀行も3月10日から5月末まで新規受付を停止し、管理体制を再整備する方針を示している。
みずほ銀行は、今年1月半ばから無期限で貸金庫の新規受付を停止した。同行は今回の疑惑について具体的な説明を避けているが、業界全体で再発防止策が進められる中、影響はさらに広がるとみられる。
貸金庫ビジネスの行方と課題
貸金庫は長年、富裕層を中心に重要書類や貴重品の保管手段として利用されてきたが、近年は利用者の高齢化や権利書などの電子化により需要が減少している。また、銀行にとっては利用料が年数万円程度と収益性が低いうえ、マネーロンダリングなど犯罪リスクの温床になる可能性も指摘されている。
一方で、災害や盗難リスクに備えた貸金庫のニーズは依然として高い。そのため、金融庁は貸金庫業務に対する管理負担の増加やマネロン対策の強化を求めている。今後、管理負担が高まれば貸金庫サービスの撤退を検討する銀行も出てくることも考えられるだろう。
まとめ:信頼回復への道のりは険しく
みずほ銀行の貸金庫盗難疑惑は、三菱UFJ銀行に続く不祥事として銀行業界に深刻な影響を与えている。相次ぐ事件を受け、全国の銀行が管理体制の強化や再発防止策を進めているが、貸金庫ビジネス自体の存続意義を問う声も広がっている。銀行業界が信頼を回復するには、徹底した管理強化とともに、顧客ニーズと安全性を両立させるバランスの取れた対策が求められる。
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