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大阪・関西万博、レジ袋廃止の波紋環境危機と旅行者利便性の狭間で揺れる現場

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関西万博でエコバッグが使われる様子
DALL-Eで生成

大阪・関西万博の開幕が待たれる中、万博協会は1月31日、会場内のパビリオンや物販店舗でレジ袋の配布を原則禁止する方針を発表した。

持続可能な社会の実現を目指す環境施策として、来場者にはマイバッグの持参が強く呼びかけられる。しかし、掲げられた崇高な理念は、旅行者の実情に即していないために、利便性の低下や、急な対応への不安といった問題点が浮かび上がっている。

環境への大胆な挑戦 - レジ袋廃止の背景と意義

万博協会は、今回の施策を「廃棄物削減への一歩」と位置付け、会場内には最大80カ所の給水スポットを設置し、マイボトルの利用を促すなど、環境意識の向上に努める方針を示した。エコバッグや紙袋の提供も認められるものの、基本は来場者が自ら環境保護に参加するという新たなスタイルを打ち出している。

この取り組みは、SDGsの実現に向けた国際的な試みとして、今後のイベント運営の指標となる可能性が高い。

一方で、環境省や各種研究機関のデータによれば、日本国内では年間に約40万トンのレジ袋が使用され、その廃棄処理が大きな課題となっている。こうした背景から、環境負荷軽減のためのレジ袋廃止は一見、理にかなった措置であるが、実際の運用面での課題は決して軽視できない。

マイバッグ持参の壁と対策の行方

万博という大規模な国際イベントにおいて、国内外から多くの旅行者が訪れることが予想される。だが、旅行中にマイバッグを常に携帯する習慣は根付いておらず、現実問題として「忘れがち」「持ち運びが煩わしい」という声が上がっている。

SNS上では、「旅行先でマイバッグを忘れてしまうのは仕方ない」とする意見や、「エコバッグを急遽買う余裕がない」という実体験が多く投稿され、運営側の情報発信の重要性が浮き彫りとなっている。

「環境対策か利便性か」で対立する声

万博におけるレジ袋廃止の施策について、SNS上では多様な意見が飛び交っている。支持派は、「国際イベントだからこそ、環境意識を徹底すべき」という立場をとり、特に若い世代からは「未来のために自分たちができること」として賛同する声が目立つ。

一方で、反対派は「旅行者にとっては現実的な負担となる」として、具体的な不便さを指摘する。Xでは、「レジ袋が有料ならともかく、無料だったものを急に使えなくなるのは不便」といった声が上がり、さらには「エコバッグを購入することでかえって環境負荷が増えるのでは?」という批判的な意見も散見される。

また、「万博に来る前に、もっとチケット購入方法やパビリオン情報の発信を充実させるべき」という指摘もあり、今回の施策が単なる環境アピールに終わるのではという懸念も根強い。

過去事例から学ぶ成功と失敗の境界線

2020年に開催されたドバイ万博では、給水スポットの設置が来場者に高く評価されたが、レジ袋の扱いについては、完全な廃止には至らなかったという事例がある。また、2012年のロンドンオリンピックでは、環境対策としてリサイクル可能な容器の使用が推奨されたものの、来場者の利便性を考慮し、一定のプラスチック製品の提供が続けられた。これらの事例は、大阪万博においても「代替策の明確化」と「徹底した周知」が不可欠であることを示している。

現場でのエコバッグ販売の価格帯や、どの販売ポイントで確実に入手できるかを事前に明示することが、旅行者の混乱を防ぐための具体策となる。

環境施策と「おもてなし」の両立に挑む未来

大阪・関西万博は、世界中から来場者を迎える国際的なイベントである。環境保護という高い理念の下、レジ袋廃止という挑戦は、単なる一過性の施策に留まらず、来場者一人ひとりに持続可能な未来への意識を呼びかける試みである。しかし、その理念が真に実現するためには、環境への取り組みと共に来場者の利便性や安心感をどう確保するかが問われる。

大阪・関西万博のレジ袋廃止は、環境意識の高まりと国際イベントの運営が交錯する場面での新たな試金石となる。今後の展開と、現場での対応がどのように実を結ぶのか、国内外の注目が集まる中、運営側の動向から目が離せない状況だ。

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寒天 かんたろう

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ライター歴25年。月刊誌記者を経て独立。伝統的な日本型企業の経営や大学、高校、通信教育分野などの取材経験が豊富。

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