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富士通とヤマトHD、ブロックチェーン活用の共同輸配送システム始動

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ヤマトHD HPより

慢性的な人手不足や環境負荷の低減が求められる物流業界において、新たな輸配送の形が始動する。富士通とヤマトホールディングス傘下のSSTは、ブロックチェーン技術を活用した共同輸配送システムを2月1日から本格稼働させる。

共同輸配送システムの概要

富士通とヤマトホールディングスの子会社であるSustainable Shared Transport(SST)は、ブロックチェーン技術を活用した共同輸配送システムの運用を2月1日より開始する。これと同時に、SSTはオープンプラットフォームを活用した「SST便」の提供を開始する。

SST便は、標準パレット輸送を基盤とした共同輸配送サービスであり、リアル(物理的な輸送)とデジタル(商流・物流情報の連携)を組み合わせた新たな輸送モデルである。富士通のデータ基盤「Fujitsu Unified Logistics」を活用し、荷主企業の出荷計画と物流事業者の運行計画を統合、最適な輸配送ルートを作成する。

背景にある要因と影響

物流業界では、ドライバー不足やCO2排出量削減の必要性が増しており、効率化が喫緊の課題となっている。これまで、荷主は個別に輸送手段を確保する必要があり、トラックの積載率が低下し、空車走行が発生することが課題であった。

SST便は、こうした問題に対処するために、複数の荷主の荷物をまとめて輸送する共同輸配送モデルを採用している。これにより、荷主企業は輸送手配の負担を軽減し、物流事業者は復路の空車走行を削減できる。

現在の物流業界の課題

物流業界では人手不足が深刻化しており、特にトラックドライバーの確保が難しくなっている。2024年問題として指摘される時間外労働の規制強化により、ドライバーの労働時間が短縮される一方で、輸送需要は依然として高い水準にある。これに伴い、輸送能力の不足や納期の遅延が懸念されている。

また、積載効率の低下が課題となっており、多くのトラックが十分な荷物を積まずに運行するケースが多い。これにより、燃料費や運行コストが増加し、物流コストの上昇につながっている。加えて、CO2排出量の削減が求められる中で、物流業界の環境負荷低減の取り組みが急務となっている。

長時間の荷待ち時間や荷役作業の負担も問題視されており、特に配送先での待機時間の増加がドライバーの負担を大きくしている。さらに、再配達の増加や多頻度化する小口配送が物流ネットワークに負担をかけている状況にある。

メリットとデメリット

このシステムの導入によるメリットとしては、物流コストの削減、効率的な輸送計画の実現、環境負荷の低減が挙げられる。荷主企業は共同輸配送を活用することで、単独で輸送するよりもコストを抑えることが可能となる。デジタル技術を活用し、最適な輸送ルートが自動で作成されるため、無駄な運行が減少する。また、積載率が向上することでトラックの運行台数を削減し、CO2排出量の抑制にもつながる。

一方で、柔軟性の低下やシステム導入のハードルといったデメリットもある。共同輸配送のため、特定の荷主の要望に応じた即時輸送が難しくなる可能性があるほか、データの標準化が求められ、荷主企業や物流事業者にとって初期導入の負担がかかることが懸念される。

この先の流れ

SST便は、宮城県から福岡県間で1日16便の定期運行を開始し、2026年3月末までに80線便への拡大を目指している。また、今後は鉄道や船舶を活用したマルチモーダル輸送の導入も視野に入れている。政府も物流効率化のための規制改革を進めており、2025年4月には新たな法改正が施行される予定で、共同輸配送の活用がさらに加速する可能性がある。

考察

この共同輸配送システムの導入は、物流業界の変革を促す重要なステップとなる。特に、人手不足やCO2削減という課題への対応として、今後さらに広がる可能性がある。企業としては、自社の物流戦略を見直し、共同輸配送を活用することでコスト削減や効率化を図るべきだ。特に、中小企業にとっては、これまで物流コストの負担が大きかったが、こうしたオープンプラットフォームを活用することで、より柔軟な物流戦略が可能になる。

一方で、導入にはデータ連携やシステム導入のハードルがあるため、業界全体での標準化と教育が求められる。物流の効率化を進めるためには、荷主企業と物流事業者の双方が新たな輸送モデルを積極的に取り入れることが重要になるだろう。

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ライター:

サステナブル情報を紹介するWEBメディアcokiの編集部です。主にニュースや解説記事などを担当するチームです。

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