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フジテレビ「やり直し会見」は深夜まで続く異例の展開に長時間の質疑応答、依然多くの疑問残る

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記者会見 フジテレビ

ジャニーズ事務所問題など芸能界における性加害やハラスメントが大きく取り沙汰されているなか、フジテレビが再度行った「やり直し会見」が1月27日夕方から28日未明にかけ、延べ9時間以上続く異例の展開となって現在も続いている。

フジテレビは先に行われた会見で批判が相次いだことを受け、改めて役員らが登壇し質疑応答に応じたが、長時間にもかかわらず、一連の経緯や具体的事実関係は必ずしも明確になっていない。

会見の内容は、フジテレビ所属の女性(質問者側からは「当該女性」と呼ばれる)が被害を受けた可能性があるとされる「人権侵害的な事案」について、さらに同局プロデューサーA氏(仮名)やタレントの中井氏(仮名)との関わりがあったのかなど、繰り返し追及を受けるかたちで進行した。役員側はプライバシー保護を理由に「詳細は第三者委員会の調査を待ちたい」と述べたほか、当該女性の体調を考慮するあまり、結果としてガバナンスやコンプライアンス体制が後手に回った点を認める場面もあった。

会見では、フジテレビの企業風土が「タレントや編成幹部の優越的立場」によって歪められてきた可能性があるという指摘が繰り返し投げかけられた。しかし、経営側は「すべてを内部調査するのは第三者委員会の独立性を損なう恐れがある」として、英氏や中井氏に関する追加の社内聴取などを控えていることも明かした。質問が及ぶたびに「当事者間のプライベートに深く踏み込むことは避けたい」などと回答を制限する一方、「(女性が)自ら公にすることを望まなかったため、情報共有を狭い範囲にとどめた。結果として業務や番組継続にも影響した」(港社長)と述べ、事態の深刻さをうかがわせる応答があった。

「なぜここまでこじれたか」繰り返される疑問

質疑応答は27日夕方から始まり、28日午前1時を回っても続行中だ。登壇したフジテレビ側の主な出席者は、港社長、加納会長(両名とも辞任を表明)、遠藤副会長、フジ・メディアHDの金光修社長、フジテレビの新社長、清水氏の5名だ。彼らは冒頭、自社が抱える問題点として「人権の軽視やコンプライアンスの不全」「企業風土にある自由さがかえって上位下達を曖昧にしてきた」などを挙げ、今後は第三者委員会の報告を踏まえ「暫定的に退任や社内体制刷新を進めていく」と強調した。

しかし、その後の質疑では「再発防止策を具体的にどうするのか」「被害が訴えられてから対応が遅れたのはなぜか」といった根本的な疑問への回答が曖昧にとどまる場面が多く、会見はたびたび紛糾した。特にA氏と呼ばれる編成幹部プロデューサーが「女性を飲食に誘い続けた背景は何か」「仕事上の立場を利用していたのか」という追及に対し、「該当の日の通信履歴を調べた結果、関与は確認されなかった」「ただしその他の日程を含む広い範囲は第三者委員会の調査に委ねる」と話すにとどめ、「被害女性への再聞き取りはなされていないのか」といった質問にも、明示的な回答はなかった。

また会見中盤で焦点となったのが、中井氏(仮名)と女性の間に意思の齟齬があったかどうかという点である。会見の途中、経営側の一部発言から「女性の同意がなかった可能性」が示唆されるような言及が飛び出したが、直後に「会社として訂正する」と説明が入り、場内からは「当事者女性のプライバシーを盾に、一番重要な核心部分が曖昧にされているのではないか」という厳しい声が相次いだ。

広がるCM差し替えとスポンサー離れ

質疑ではスポンサー各社の対応にも触れられ「2024年に向けたCM出稿に影響が生じている」「差し替えによる広告返金やブランド保護の動きが想定以上に拡大している」旨が語られた。フジテレビ関係者によると、Aプロデューサーの問題を含むイメージ悪化が影響し、スポンサーからは「真相が分からないままでは広告を続けづらい」といった声が寄せられているという。番組制作への下請け会社や地方系列局にも負の影響が拡大しかねないため、役員らは「信頼回復に向けた改革を急ぐ」としたが、広告部門などとの具体的な交渉はなお精査中であることがうかがえた。

一方、新入社員の親らが「本当に安心して働けるのか」と懸念しているとの声も出され、清水新社長(暫定)は「最大限の改革策を打ち出し、4月以降の新入社員をしっかり迎えたい」と語った。ただ、会見で示された改革策は「第三者委員会の報告待ち」「今後の体制刷新を模索する」という抽象的表現が多く、抜本的な改善が果たしてどこまで実行されるのかは依然不透明である。

企業風土「刷新」を掲げるも明確な道筋示せず

会見のなかで、役員の一人は「これまでの自由闊達な文化が逆に法令遵守や人権保護の意識を軽んじる方向へ働いていたのかもしれない。反省している」と口にした。だが、その「自由な風土」と呼ばれるものが具体的に何を意味し、誰がどのように責任を負うのかという点では明言を避け、なおも多くの疑問が取り残されている。

フジテレビの前身を含め、長年同社グループの最高幹部として君臨してきた相談役のヒエダ氏(仮名)が会見に姿を見せなかったことも「ガバナンスの中枢にある人物がなぜ出てこないのか」と社内外で批判がくすぶる原因となっている。説明に立った経営陣は「直接的関与はなかったと把握している」と強調するものの、労働組合からは「ヒエダ氏も含め責任を明確にしてほしい」という意見書が出されており、今後も収束は見通せない状況だ。

また、当初17日に行った会見が「閉鎖的すぎる」と批判を浴び、やり直し会見となった経緯もあいまって、報道機関としての姿勢が改めて問われる格好となっている。質疑の中では「取材先や企業の不正を厳しく追及するのに、自分たちはプライバシーを理由に逃げているのではないか」という痛烈な意見が投げかけられ、フジテレビ側は反論や釈明を試みたが、最終的に8時間に及ぶやり取りを続けても、核心部分の解明には至らなかった。

「第三者委員会」に依拠、長引く混迷の先行き

今回のやり直し会見でフジテレビ側は、一連の騒動がもたらした影響の大きさを改めて謝罪しつつ、今後は第三者委員会が調査を進めると強調。時期としては3月末を目処に報告を受け、それに沿って役員体制の刷新や企業風土の見直しを進める方針だという。
しかし、質疑応答からは「被害女性の意思をどこまで尊重しつつ、事実解明を図るのか」「番組や出演者の選定が本来どのような基準で行われるべきだったのか」「いつ、誰が、どのようにコンプライアンス部署などを機能させなかったのか」などの要点は必ずしも明確にならなかった。長時間にわたる記者会見は、時に「社側への問い」が過熱し、沈黙が流れるなど混乱が続いた末、日付が変わった28日深夜1時を回っても継続する状態が続いている。

役員の一人は「報道機関としての責務と、被害者への配慮を両立するのは容易でない。だが、判断を先送りにしたことは多くの混乱と誤解を生み、スポンサーや視聴者を失望させた」と認めた。とはいえ、スポンサー離れや社内の動揺など損害は既に拡大傾向にあり、また当該女性をめぐる情報の扱いを誤れば二次被害をもたらしかねないなど、同社が抱える課題の深刻度は増すばかりだ。

フジテレビの「やり直し会見」は深夜を迎えてもなお続いている。これだけの時間を費やしても肝心な事実関係は依然霧の中にあり、理解を得るには程遠いというのが大方の見方だ。

その多くの理由が日枝氏が会見に出てこなかったこと、経営陣が擁護し続けていることにあると思える。

第三者委員会の調査を受けて再び会見が行われる公算は高いが、いまのところ“企業風土”の本質的刷新は具体策が示されておらず、同社が「報道機関」としてどのように信頼を回復するのか、その道筋は依然はっきりしないままである。

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サステナブル情報を紹介するWEBメディアcokiの編集部です。主にニュースや解説記事などを担当するチームです。

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