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北千住ベーグル新店と老舗お好み焼き店が衝突!看板騒動が突いた「商店街の共存」の難しさ

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伊藤慎之介@FCチャンネル取締役 X公式アカウントより

北千住で開業したベーグル店と、同じ場所で長く営業してきたお好み焼き店のあいだで起きた看板をめぐる対立が、近隣トラブルの域を超えて注目を集めている。だが、この件を単純に「どちらがが悪い」という話にしてしまうと、本質は見えにくくなる。問われているのは、同じ通りで商売を営む者同士が、視認性や導線、感情の行き違いをどう収めるかであり、さらに言えば、街のルールと店の品位をどう守るかである。

 

発端は看板の位置をめぐる問題提起だった

表面化のきっかけになったのは、AREUM BAGEL北千住のオーナー・伊藤慎之介氏によるXの投稿である。店舗前の写真とともに、隣接する店舗の看板が毎日のように出ているという趣旨の問題提起がなされ、その後、看板をどかしたことをきっかけに相手側オーナーが激高したという説明も発信された。この主張を素直に読めば、論点はまず店頭の見え方と営業導線にある。新規開業直後の飲食店にとって、店がどう見えるかは売上に直結する問題であり、一方で隣接店舗にとっても、看板は単なる板ではない。

看板側は「暴言を受けた」と訴えている

一方で、お好み焼き店のモグランポも黙っていたわけではない。店主のブログでは、ベーグル店側から電話口で「殺すぞ」と言われた、さらに「ジジイ」「老害」などの言葉を浴びせられ、看板をどかさないと警察に電話すると一方的に言われたという趣旨の記述をしている。もちろん、外部から双方の会話の全容を確認することはできない。だが少なくとも現時点で分かるのは、ベーグル店側は看板の存在や位置を問題視し、モグランポ側はその対応過程での言葉と態度を問題視しているということである。つまり、この件は看板の問題であると同時に、トラブル時の振る舞いの問題でもある。

 

店の属性の違いが対立をより先鋭化させた

今回名前が挙がっているAREUM BAGEL北千住は、韓国発ベーグル専門店の新店として紹介されている。一方のモグランポは当地で長く営業してきたお好み焼き店で、食べログ上では1997年創業とされている。勢いのある新店と、長年地域で営業してきた老舗。この対照的な構図が、事実関係以上に感情を刺激しやすくしている面は否定できない。新店から見れば、オープン直後の導線を妨げる行為は死活問題に映る。老舗から見れば、長年の営業のなかで築いてきた店前の感覚ややり方に、突然異議を唱えられたように感じるかもしれない。だが、そのどちらにも一理があり得るからこそ、なおさらルールによる整理が必要になる。

法的な争点は感情よりもはっきりしている

この件で最も重要なのは、看板の適法性である。足立区は、看板などを道路上空へはみ出して設置する場合には道路占用許可が必要だと案内しており、置き看板や立て看板については原則として許可が受けられない物件に挙げている。さらに、のぼり旗や商品などを道路上に置くことも道路法違反になり得るとしている。したがって、問題の看板が公道部分にはみ出していたのであれば、好き嫌いではなくルールの問題として整理されるべきである。逆に、敷地内で適法に置かれていたのであれば、受け止め方は大きく変わる。今回の本丸は、相手の感じが悪いかどうかではなく、その看板がどこに、どんな根拠で置かれていたのかという一点にある。

 

ただし、ルールの正しさと振る舞いの正しさは別の話

仮に看板の位置に問題があったとしても、それを指摘する側の言動が荒れてよい理由にはならない。逆に、言い方が不快だったからといって、看板の扱いに問題がある可能性まで消えるわけでもない。この二つを混同すると、話はすぐに「どちらがより嫌な人物か」という不毛な品評会になってしまう。必要なのは、ルールの問題と態度の問題を切り分けることだ。看板の位置は行政ルールや敷地の扱いで判断されるべきであり、暴言や威圧の有無はそれとは別に評価されるべきである。その意味で、この騒動は片方だけが全面的に白、もう片方だけが全面的に黒といえるほど単純ではない。

ネットの声も、片側断罪ではなく論点の分裂を映している

ネット上の反応を見ても、意見は一方向にはまとまっていない。道路上の置き看板であれば問題だという声は少なくなく、ルールの面からベーグル店側の指摘に理解を示す反応がある一方で、SNSで相手方を可視化したことに違和感を示し、モグランポ側に同情する声も出ている。また、どちらにも事情があるのではないか、看板だけでなく行列整理や店前の運用を含めて調整すべきではないかという見方も目立つ。つまり世論もまた、単純な勧善懲悪ではなく、この件の複雑さをそのまま映しているのである。

商店街に必要なのは「勝つこと」ではなく「収めること」

北千住の今回の騒動は、看板一枚から始まったように見えて、実際にはもっと広い問題を突いている。新しい店が入ってくることも街の活気であり、長く続く店が残ることもまた街の厚みである。本来なら両立できるはずのものが、視認性や導線、感情の衝突で公開対立にまで進んでしまった。そのこと自体が、商店街の共存の難しさを物語っている。必要なのは、SNSでどちらが勝つかではない。敷地境界を確認し、道路上の扱いを整理し、必要なら管理側や行政を交えて、明日も同じ通りで営業できる形に戻すことである。街の商売にとって本当に大事なのは、相手を言い負かすことではなく、同じ場所で続けていける秩序をつくることだからである。

 

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ライター:

東京都出身の音楽家。こちらはライターとしての世を忍ぶ仮のペンネーム。平易な言葉で情緒的な文章を書く。対象の思いを汲み取り、寄り添うことを重視。少年期より難病を持ち、弱者への眼差しが裏テーマ。自分の頭や心を使って、形のない美しさや優しさを世の中にひとつずつ増やしたい。書きもののほか、BGM、テーマソング、賑やかし、癒やしなど、音楽全般も承り〼。

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