
全国のガソリンスタンドで駆け込み給油殺到 行列と渋滞の実態
11日夕方から夜にかけて、各地のガソリンスタンドが給油待ち車両で埋め尽くされた。沖縄本島南部ではスタンド前から約1.2キロの渋滞が発生。店員は「12日から1リットル28円、約30円上がる」と説明し、車社会の沖縄で大きな影響が出ている。
札幌市では給油口がすべて埋まり、スタンド外まで行列が伸び、通勤ラッシュ前にさらに混雑が予想された。明日からレギュラー187円になる見込みで、会社から「車全部に満タンにしろ」と指示が出た人も多い。高知市では午後2時すぎから車が吸い込まれるように並び、道路にはみ出して渋滞。スタッフが外で誘導する事態となった。
長野県や香川県では値上げ前日に普段の3倍近い利用者が訪れ、600人規模のラッシュが発生。新潟市、佐賀県、神埼市など広範囲で同様の報告が相次ぐ。
コストコ併設や国道沿いの安いスタンドが特に狙われ、数キロ級の渋滞や在庫切れも出ている。SNSでは「職場総出で来た」「並ぶ時間が損」「震災時の行列を思い出す」といった声が飛び交い、パニック買い的な雰囲気が広がっている。
中東情勢の緊迫化が原油高騰の引き金 ホルムズ海峡事実上封鎖
原油価格急騰の原因はアメリカ・イスラエルによるイラン攻撃とイランの報復で、中東情勢が急激に悪化したことにある。ホルムズ海峡が事実上の封鎖状態となり、世界原油輸送の約2割が影響を受けている。
日本は原油輸入の8〜9割をこの海峡経由に依存するため、供給不安が直撃した。原油先物(WTI)は一時119ドルを超え、ブレントも高値を更新。カタールエネルギー相は数週間続けば150ドル台の可能性を警告した。イラン革命防衛隊は「攻撃が続けば1リットルたりとも原油輸出を認めない」と声明。
アメリカメディアによると、イランがホルムズ海峡に機雷を敷設し始めた情報もあり、イギリス軍は貨物船への飛翔体直撃と火災を報告。事態鎮静化の兆しはなく、原油相場は不安定な乱高下を続けている。G7は備蓄放出の協調を議論したが、日本の中東依存度が高いため国内影響が特に大きい。紛争長期化でガソリンだけでなく軽油・灯油、物流コスト上昇による食品価格高騰も懸念される。
政府が緊急対策を発表 170円抑制と備蓄放出で対応
高市早苗首相は11日夜、首相公邸で記者団に対し、ガソリン小売価格を全国平均170円程度に抑える方針を表明。燃料価格激変緩和対策基金の残高を活用し、軽油・重油・灯油も同様の措置を取る。
暫定税率は2025年末に廃止済みで、補助金も一旦終了していたが、今回の高騰で実質復活の形となった。首相は「200円超えの可能性も否めない」「中東情勢の長期化を見据え柔軟に対応」と強調。予備費や基金で迅速実行を指示した。
資源エネルギー庁からの詳細(支給額・開始時期)は19日頃反映の見込み。さらに16日にも日本単独で石油備蓄放出を開始。まずは民間備蓄15日分を放出、国家備蓄1か月分を追加。産油国との共同備蓄も視野に入れる。国際エネルギー機関(IEA)との協調を待たず先行するのは異例で、ホルムズ海峡封鎖による今月下旬以降の輸入大幅減少に対応するものだ。
これで駆け込み需要の沈静化が期待されるが、原油相場や円安次第で追加対策が必要になる可能性もある。
駆け込み給油の背景と今後の価格動向
今回の駆け込みは、卸売価格の急騰報道と「200円超え」危機感が重なった結果だ。
資源エネルギー庁の3月9日調査では全国平均161.8円だが、明日以降の値上げ幅が25〜30円に達するスタンドが多く、在庫切れによる供給不安も加わっている。過去の震災時のようなパニックを連想させる声がSNSで相次ぎ、並ぶ時間が無駄になるという指摘もあるが、列はまだ続いている。
政府の170円抑制策と備蓄放出が実行されれば価格上昇は抑えられる公算が高いが、中東情勢の先行き次第で変動は避けられない。現場の混雑は今夜以降も続きそうだ。



