
文部科学省が2026年2月13日に公表した2025年度(令和7年度)の「学校保健統計調査」で、むし歯(う歯)のある子どもの割合が幼稚園から高等学校まで全ての学校種で過去最少となった。一方で、裸眼視力1.0未満の割合は学年が上がるほど高く、高校では7割を超えた。歯の健康は改善しつつあるが、視力低下は進行している。子どもの健康を巡る「二極化」が、数字の上でも鮮明になった。
この内容はFNNプライムオンライン(フジテレビ系)も報じている。
※文科省は、令和2年度〜令和5年度は測定時期の影響があるため、他年度との単純比較はできないとしている。
むし歯は全校種で過去最少 幼稚園は19.44%
2025年度のむし歯(う歯)のある者の割合は、幼稚園19.44%、小学校30.83%、中学校25.23%、高等学校32.77%となり、いずれも過去最少を更新した。
文科省は、学校での歯みがき指導の効果や家庭での歯の健康意識の向上が背景にあるとみている。長年にわたる生活習慣改善の積み重ねが、統計として明確な成果を示した形だ。
現場で定着した歯みがき指導
むし歯減少の背景には、学校現場での具体的な取り組みがある。
多くの幼稚園や小学校では、給食後に歯みがきの時間を設け、集団で取り組むことで習慣化を図っている。幼稚園では歯みがきを日常生活の流れに組み込み、楽しい行動として位置づける工夫も見られる。
小学校では歯科校医や歯科衛生士が関わり、歯ブラシの持ち方や磨き残しやすい部位の確認、染め出しによるチェックなどを通じて、具体的な磨き方を身につけさせている。歯科検診結果の通知や保健だよりを通じた家庭との連携も、継続を支えている。
さらに実践したい虫歯予防の要点
統計上は改善しているが、むし歯予防は日々の積み重ねが前提となる。
就寝前の丁寧な歯みがきは特に重要である。睡眠中は唾液が減り、口内環境が悪化しやすい。歯ブラシだけでなく、デンタルフロスや歯間清掃具を併用することで歯間部の清掃効果が高まる。
フッ素入り歯みがき粉の活用や、歯科医院での定期的なフッ素塗布は歯質強化につながる。むし歯は砂糖の総量よりも摂取回数の影響を受けやすいため、だらだら食べや甘い飲料の常飲を避け、間食時間を決めることも重要となる。
3〜6か月ごとの歯科検診は、初期むし歯の早期発見と生活習慣の見直しに有効である。
裸眼視力1.0未満は高校で71.51%
一方、裸眼視力1.0未満の割合は、小学校36.07%、中学校59.35%、高等学校71.51%となった。学年が上がるにつれて高くなる傾向が続いている。
文科省は、勉強や読書、動画など近くを見る作業時間の増加といった環境変化が要因として考えられるとしている。
視力低下の最大要因は長時間の近距離作業
現在の子どもの視力低下で最も影響が大きいと考えられているのは、スマートフォンやタブレットを含む長時間の近距離作業である。
端末は20〜30cm程度の距離で使用されることが多く、目は常に近くへピントを合わせ続ける。屋外活動時間の減少や休憩不足も重なり、近視が進行しやすい環境が形成されている。
視力は回復より進行抑制が現実的
一度進行した近視は自然回復が難しいとされる。現実的な対策は進行抑制である。
1日2時間程度の屋外活動は近視進行抑制に有効とされる。画面や本は30cm以上離し、一定時間ごとに遠くを見る習慣を持つことが重要である。十分な睡眠の確保も目の回復を助ける。
食事面では、ビタミンA、ルテイン、DHA・EPA、ビタミンC・Eなどを含むバランスの良い食事が目の機能維持を支える。ただし、特定の食品だけで視力が回復するわけではない。
健康は生活環境の反映である
むし歯は生活習慣の改善により減少した。一方で、視力低下はデジタル社会の進展とともに拡大している。
両者に共通するのは、日常行動が結果を左右するという点である。子どもの健康は偶然ではない。家庭と学校、そして社会全体の環境設計が、次の統計を形づくることになる。



