
3月3日、ひな祭りの夜。夕暮れの東の空に昇った満月が、ゆっくりと欠けていく。
それは約3年ぶりに日本全国で観測できる「皆既月食」だ。しかも、欠け始めから終わりまでを見届けられる好条件。だが一方で、当日は広い範囲で雨予報も出ている。
果たして“赤銅色の月”は見られるのか。観測時刻、最新の天気傾向、そしてブラッドムーンが赤く染まる理由まで、順を追って整理する。
3月3日(火)皆既月食は何時から?【観測時間まとめ】
国立天文台の発表によると、今回の皆既月食は次のスケジュールで進行する。
- 18時50分ごろ 部分食開始(東の空で月が欠け始める)
- 20時04分ごろ 皆既食開始
- 21時03分ごろ 皆既食終了
- 22時18分ごろ 部分食終了(満月に戻る)
つまり、最も注目される皆既食は約1時間続く。
前回、2025年9月8日の皆既月食は午前3時台。多くの人にとって観測は難しかった。しかし今回は夕食後の時間帯。家族でベランダに出るだけでも観測できる、まさに“ゴールデンタイム”だ。
次に日本全国で皆既月食が見られるのは2029年1月1日とされる。今回を逃すと、しばらくお預けになる。
当日の天気は?広範囲で雨や雪の予想
では、気になる空模様はどうか。
3月3日は本州南岸を低気圧が進む予想で、東北から近畿、中国地方にかけて雨や雪の可能性が高いという。
- 東北~近畿:雨または雪の予想
- 関東:雲が広がりやすい
- 九州:雨は午前中心、夜は回復傾向の可能性
ただし、予報はまだ変動幅がある段階だ。月食は数時間続くため、一瞬の雲の切れ間が観測チャンスになることもある。特に西日本では“回復のタイミング”が鍵となりそうだ。
観測を狙うなら、直前の最新予報と雨雲レーダーの確認が不可欠だ。
なぜ赤くなる?ブラッドムーンの正体
皆既月食の最中、月は消えるわけではない。むしろ、ゆっくりと赤黒く染まっていく。
これは、地球の大気を通過した太陽光が屈折し、波長の長い赤い光だけが月面を照らすためだ。夕焼けが赤いのと同じ原理である。
世界中の夕焼けの光が、地球を縁取るように回り込み、月を照らす。
その幻想的な姿から、皆既月食は「ブラッドムーン」とも呼ばれる。
今回の皆既食は約58分間。双眼鏡があれば、地球の影の輪郭が月面を横切る様子まで観察できる。
観測のコツとおすすめの見方
- 東~南東の空が開けた場所を選ぶ
- 街灯の少ない場所が理想
- 双眼鏡があればより鮮明に観測可能
- 三脚とスマートフォンでも撮影可能
月食は肉眼で安全に観測できる。日食と違い、特別な保護フィルターは不要だ。
ひな祭りの夜、空を見上げられるか
桃の節句の夜。雛人形のそばで、あるいは仕事帰りの駅前で。
東の空に昇った満月が、少しずつ影に包まれていく。赤銅色に変わる瞬間は、静かで、しかし確かに胸を打つ。
天気が味方するかどうかは、まだ分からない。それでも、空を見上げる理由は十分にある。
約3年ぶりの全国皆既月食。見られた人にとっては、きっと忘れられない一夜になる。



