
2月23日未明。
ロックバンドLUNA SEAの公式サイトに掲載された一報は、深夜の列島に静かな衝撃を広げた。
ドラマーの真矢(本名・山田真矢)さんが、2月17日午後6時16分に死去。56歳だった。2020年にステージ4の大腸がん、さらに昨夏には脳腫瘍と診断され、闘病を続けていたという。
それでも、真矢さんは諦めなかった。
目指していたのは、3月12日、東京・有明アリーナのステージ復帰。その日のために、スティックを握る力を取り戻すべく、懸命なリハビリを続けていた。
しかし、容体は急変した。
「また必ず5人で」 最後まで消えなかった復帰への意志
公式発表では、こう綴られている。
「懸命なリハビリを続け、3月のライヴではドラムを叩くことを目指していた中、あまりにも早い旅立ちでした」
メンバーは連名でコメントを発表。「彼が35年以上にわたって刻み続けた魂のビートは、決して鳴り止むことはありません」と、その存在の大きさを語った。
思えば、真矢さんは常に“前”を向く人だった。
昨年9月、脳腫瘍を公表。だが同月、地元・神奈川県秦野市の祭りに姿を見せ、「必ず復帰してドラムのスティックを持てる日が来る」とファンに語りかけた。
その言葉に、どれだけの人が救われただろうか。
大腸がんステージ4からの闘い
2020年に発覚した大腸がんはステージ4。
手術、抗がん剤治療、放射線療法。公表当時、多くのファンは衝撃を受けた。しかし、真矢さんは治療と並行しながらステージに立ち続けた。
昨年11月の「LUNATIC FEST.」では、サプライズで登場。
ステージの照明が落ち、歓声が沸き上がる中、ゆっくりと姿を見せた。その瞬間、会場の空気は震えた。力強いビートが鳴り響くと、観客は涙を流しながら拳を掲げた。
それが最後の公の場となった。
太陽のような笑顔と圧倒的な重低音
1992年、アルバム『IMAGE』でメジャーデビュー。
2000年の“終幕”、2010年の再始動。幾多の転機を経ても、LUNA SEAの鼓動は止まらなかった。その中心にあったのが、真矢さんのドラムだ。
テレビでは愛嬌ある笑顔を見せる。
しかし、ひとたびステージに立てば、地鳴りのような重低音で観客を圧倒する。そのギャップこそが、多くの人を惹きつけた理由だった。
ネット上では、
「言葉が出ない」
「青春そのものだった」
「信じられない」
といった声が相次いだ。バンドブームを駆け抜けた世代にとって、LUNA SEAは“時代”そのものだった。
家族に見守られて
葬儀・告別式は近親者のみで執り行われた。
妻で元「モーニング娘。」の石黒彩さんが喪主を務めた。2000年に結婚し、1男2女をもうけた。闘病を献身的に支え続けた家族の悲しみは、計り知れない。
先月13日の誕生日、真矢さんはSNSにこう記していた。
「おかげさまで、一つ年を重ねることができました。頑張って元気になります」
その言葉から、わずか1カ月あまりだった。
鳴り止まないビート
音は消える。
しかし、記憶の中のリズムは消えない。
ライブ会場で響いたあの一打。
CDプレーヤーから流れた重低音。
青春の帰り道に聴いたイントロ。真矢さんのビートは、これからも鳴り続ける。
それは、LUNA SEAの物語であり、多くの人の人生のサウンドトラックでもある。



