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パブリックビューイングの注意点 「商用利用」の壁と法的境界線とは WBC2026はパブリックビューイング営業NG

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パブリックビューイングの注意点

国際的なスポーツ大会といえば、飲食店にファンが集まり、大型スクリーンを囲んで乾杯するのが風物詩だった。しかし、「パブリックビューイング営業」には気をつけなければいけない点がある。それはスポーツ視聴環境の激変と、複雑に絡み合う法律のルールだ。

本記事では、そもそも「パブリックビューイング」とは何なのかという基本から、飲食店が直面している著作権や営業許可のハードル、そして今大会の特殊な視聴形態について、一般消費者の視点で分かりやすく紐解いていく。

 

「パブリックビューイング」とは何か?その魅力と定義

パブリックビューイング(Public Viewing)とは、スポーツ中継やコンサート、映画などのコンテンツを、スタジアムや広場、映画館、あるいは飲食店などの公共の場で、多人数が集まって鑑賞・観戦することを指す。

1. パブリックビューイングの3つの魅力

なぜ私たちは、わざわざ外に集まって映像を観るのだろうか。それには主に3つの大きな魅力がある。

  • 共感と一体感の体験
    大勢で同じ瞬間に一喜一憂し、興奮を共有することで、一人での観戦では得られない深い感動が生まれる。
    見知らぬ人同士がハイタッチを交わすような一体感は、最大の醍醐味といえる。

  • 社交と交流の場
    共通の関心事を持つ人々が集まるため、新しい出会いやコミュニティの形成に繋がる。
    地域のバーなどは、ファン同士の再会の場としても機能している。

  • 臨場感あふれる演出
    家庭用テレビでは味わえない大画面や高性能な音響システムにより、現場にいるかのような迫力ある体験が可能となる。

2. 「プライベート」との境界線

対照的な言葉として「プライベートビューイング」がある。これは、家族や見知った友人同士が自宅などでホームパーティ形式で楽しむものを指す。家庭内で楽しむ範囲であれば、基本的に法的な制限は受けない。

しかし、不特定多数が集まる場所で上映を行うパブリックビューイングには、厳格な法的ルールが適用される。

EX:Netflix独占配信 WBC2026は「営業NG」

今大会がこれまでのスポーツイベントと決定的に違うのは、放映権の所在だ。
2023年大会では地上波中継が中心だったが、2026年大会の放映権は米大手動画配信サービスの『Netflix(ネットフリックス)』が保有している。

商業利用の壁に阻まれる飲食店

多くの野球居酒屋やスポーツバーは、DAZNやスカパー!などの有料放送を店内で流す際、個人契約よりも高額な「商業用ライセンス契約」を締結している。しかし、Netflixに関しては事情が異なる。

週刊女性PRIMEの報道によると、老舗野球居酒屋『ベースボール居酒屋リリーズ神田スタジアム』がNetflix社へ商用利用の可否を問い合わせたところ、最終的に「個人利用のみを想定したサービスであり、商用利用できる環境はない」との明確な回答があったという。

Netflixの利用規約には、以下のような文言が明記されている。

【Netflixサービスおよび当該サービスを通じてアクセスされるコンテンツは、お客様の個人的な非商業的用途に限るものとし、(中略)お客様は公の場での上映のために当サービスを利用しないことに同意します。】

つまり、たとえお店がNetflixと契約していても、それを店内のモニターで客に見せることは「規約違反」となるのだ。

侍ジャパンの公式イベントは別格

ただし、全てのパブリックビューイングが禁止されているわけではない。Netflixは、侍ジャパン選手の出身地やゆかりの地の自治体、学校と連携した『「2026 ワールドベースボールクラシック」ホームタウンヒーロー・パブリックビューイング』を企画している。これは公式が共催する無料のイベントであり、非営利・教育目的という位置づけだ。

一方、一般の飲食店が「WBC観戦できます」と謳って集客することは、営利目的とみなされるため、今大会では極めて困難な状況となっている。

飲食店でスポーツ上映を行うための「著作権法」の基本知識

 

WBCの事例に限らず、飲食店でテレビや動画を流す際には「著作権法」が深く関わってくる。
何も知らずに上映することは、法律違反のリスクを孕んでいる。

1. スポーツ中継は「映画」と同じ扱い

著作権法第2条3項によると、テレビ番組やスポーツ中継は「映画の著作物」として保護されている。カメラアングル、エフェクト、実況などが組み合わさった一つの表現物として認められているからだ。

2. 「家庭用テレビ」か「拡大装置」かが分かれ目

法律には、条件付きで上映を認める例外規定があるが、ここで重要になるのが「モニターのサイズ」だ。

  • 通常の家庭用受信装置(55インチ以下目安)
    著作権法第38条3項に基づき、一般的な家庭用テレビで流すだけであれば、原則として著作権侵害には当たらない。
    たとえ飲食店であっても、追加の視聴料を取らなければ上映可能とされるのが一般的な解釈だ。

  • 影像を拡大する特別の装置(プロジェクター、大型スクリーン):
    著作権法第100条により、放送事業者は「映像を拡大して公に伝える権利」を専有している。
    プロジェクターを使って壁に投影したり、100インチを超えるような超大型モニターやマルチディスプレイで上映したりする場合は、たとえ非営利であっても放送事業者の許諾とライセンス料の支払いが必要になる可能性が高い。

3. 「営利目的」かどうかの判断

「無料で見せているから大丈夫」と考えるのは早計だ。「パブリックビューイングが可能です」とSNSやチラシで告知して集客を行う行為自体が、店舗の利益に繋がる「営利目的」とみなされるケースがある。

過去のFIFAワールドカップの事例では、500人未満の小規模な会場でも、営利目的のライセンス料として数十万円の設定がなされていた。これに加えて、放送同時公開の申請なども必要になる。

スポーツバー経営者が直面する「風営法」の境界線

 

著作権の問題をクリアしたとしても、次に立ちはだかるのが「風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)」だ。特に深夜のスポーツ観戦においては、「適法」と「違法」の間に明確な線引きがある。

1. 「遊興」をさせているかどうかが鍵

深夜0時以降にお酒を提供しながら営業する飲食店は、通常「深夜酒類提供飲食店営業」の届出を出している。この営業形態で禁止されているのが、客に「遊興(ゆうきょう)」をさせることだ。

風営法では、深夜に客に遊興をさせながらお酒を提供する営業を「特定遊興飲食店営業」として、より厳しい許可制にしている。

2. 「遊興」とみなされるNG行為の具体例

警察庁の通達では、単にモニターで試合を流しているだけなら問題ないが、以下のような演出を加えると「遊興」とみなされ、特定遊興の許可がない店舗では違法となるリスクがあるとのこと。

  • スタッフが応援を先導する: マイクを使って「ニッポン!」とコールを促す。
  • 照明や音響の演出: ゴール時や得点時に照明を点滅させる、BGMを大音量にする。
  • スタッフの積極的な関与: 特定のチームのユニフォームを着て客と一緒にハイタッチを繰り返す、盛り上げ役を演じる。

3. 適法とされる運営方法

「店側が煽る」のは違法だが、「客が勝手に盛り上がる」のは適法という原則があるようだ。

  • モニターで淡々と試合を流す(通常音量)。
  • 客が自発的に歓声を上げたり、客同士でハイタッチをしたりするのを静かに見守る。
  • スタッフはドリンクの提供など、通常の接客に専念する。

このように、深夜にパブリックビューイングを開催するお店側には、細心の注意が求められている。

まとめ:パブリックビューイングを楽しむために

 

パブリックビューイングは、私たちに感動と繋がりを与えてくれる素晴らしい文化だ。
しかし、その実施には権利関係や営業ルールが複雑に絡み合っている。

ファンとしては、ひっそりと個人契約の動画を流している店を見つけても、それが権利違反である可能性を認識しておく必要がある。正しくパブリックビューイングを楽しみたい場合は、自治体が主催する公式イベントや、正式なライセンスを得て開催されている映画館等での上映を選択するのが賢明だ。

昨今、スポーツ視聴のあり方は「無料の地上波」から「有料のサブスク」へと完全にシフトしたといえる。今後、サッカーやオリンピックなど他のビッグイベントでも、同様の制限がかかることは容易に想像できる。私たちは、こうした変化を受け入れつつ、ルールを守った上で新しい時代のスポーツ観戦を楽しんでいく姿勢が求められている。

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ライター:

女性向け雑誌にて取材・執筆及び編集に従事。独立後は、ライフスタイルやファッションを中心に、実体験や取材をもとにリアルな視点でトレンドを発信。読者が日々の生活をより豊かに楽しめるような記事を提供し続けていることがモットー。

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