
カワラボ新曲MVが全編AIアニメで公開されファンが騒然。「本人を見せて」「AIに違和感」などの批判が噴出し、生成AIとアイドル文化の衝突が浮き彫りに。
カワラボ新曲MVが“全面AIアニメ化”で波紋 ファンから賛否、クリエイターも声明
アソビシステムのアイドルプロジェクト「KAWAII LAB(カワラボ)」のFRUITS ZIPPER・CANDY TUNE・SWEET STEADY・CUTIE STREETの4グループからなるユニット、TEAM KAWAII LAB.が公開した新曲『カワラボとばびゅーん!』のミュージックビデオ(MV)が、思わぬ波紋を広げている。
約3分半にわたる映像は、メンバーをモチーフにしたアニメ風のAI生成動画で構成。ポップで可愛らしい世界観が展開される一方、SNS上ではファンから拒否反応に近い批判も噴出している。
「MVでは本人を見たい」アイドルの“実在性”を求める声
批判の声にはいくつかのパターンがある。
今回のMVは実写を用いず、全編がAIによるアニメーション。各メンバーの髪型や衣装、キャラクター性を反映したデザインが施されているものの、画面に「本人」は登場しない。
これに対し、ファンからは次のような声が上がった。
「MVではアイドル本人を見たい」
「レコーディングしてる最中の映像並べるだけでもうちらは満足だよ😭😭」
アイドル文化において、パフォーマンスやビジュアルそのものが商品価値であることは言うまでもない。ステージ上の汗、視線、細かな表情の変化……それらを含めて応援してきたファンにとって、「本人不在」のMVは受け入れがたいものだったようだ。
「クリエイター軽視では?」制作現場を巡る倫理的議論
さらに大きな論点となっているのが、MV制作における生成AIの活用だ。
本来、アニメーションMVはイラストレーターやアニメーター、ディレクターら多くのクリエイターが関わる創造的な仕事である。今回のAI活用については、
「クリエイターを大切にしない企業は滅びるよ」
「アイドルは見た目も命なんだから、AIに読み込ませるのはタレントに失礼すぎる」
といった厳しい意見も見られた。
単なる映像の出来不出来にとどまらず、エンタメ産業における雇用や倫理、タレントの肖像の扱いといった構造的問題に波及している点が、今回の騒動の特徴だ。
「AIが過ぎる」生成物そのものへの拒否反応
また、技術以前に「AI生成」という言葉自体への心理的抵抗も根強い。
「AIに対する人間の嫌悪感を舐めない方がいい」
「さすがにAIが過ぎる」
生成AIをめぐっては、著作権や学習データの透明性を巡る議論が続いており、特にクリエイティブ分野では敏感なテーマとなっている。今回のMVは、そうした社会的空気を背景に“象徴的な事例”として受け止められている側面もある。
細部の違和感も指摘「顔や瞳の造形がバラバラ」
さらに、AI特有の描写の揺らぎも指摘された。
「丸指と5本指バラバラで途中同じ人物も顔や大事な瞳が変わったりしてる」
「場面変わるたびに等身もモデルも変わりすぎ」
キャラクターの指の本数が安定しない、同一人物の顔立ちが場面ごとに変化するなど、生成AI特有の“ゆらぎ”が没入感を削いでいるとの声もある。可愛らしい世界観であるがゆえに、細部の違和感がより目立った可能性は否定できない。
カワラボに関わるデザイナー中村トウコ氏が声明「私は生成AIを一切使用しない」
こうした中、カワラボのデザインを担当することがあるデザイナーの中村トウコ氏がXで声明を発表した。
「いちクリエイターの立場としては全ての著作物に対する生成AI使用に対しては断固として抗議しています。私が製作に関わる全ての作品には生成AIを一切使用していませんし、今後も一切使用しないことを誓って表明します」
声明は、AI活用の是非を巡る議論が制作サイド内部にも及んでいることを示唆するものとして注目を集めている。
カワイイとテクノロジーの共存は可能か
カワラボの掲げるコンセプトは、その名の通り「カワイイ」。
しかし今回の騒動は、「可愛さ」を誰が、どのように生み出すのかという根源的な問いを突きつけた。
テクノロジーを取り入れる挑戦なのか、コスト削減なのか、それとも表現の新境地なのか。
生成AIとアイドル文化の交差点で生まれた今回の波紋は、エンタメ業界全体の未来像を占う試金石となりそうだ。
今後、公式からの説明や続報が出るのか。ファンとクリエイター双方の視線が注がれている。



