
スタジオの椅子が、ぽつんと空いていた。
そこに座るはずの人の不在は、画面越しにも伝わる。代わりに鳴った電話の着信音。受話器の向こうから聞こえてきたのは、マツコ・デラックスの声だった。
首の脊髄が圧迫され、緊急手術。すでに入院中だという。
「はっきりとは分からない。まだ手術して3日くらいしか経っていないから」
復帰時期を問われ、そう語った。軽口を交えながらも、その言葉は重い。
首の脊髄圧迫で緊急手術 手足のしびれから始まった異変
異変は、手足のしびれだった。
違和感を覚え、受診。医師から「急いで手術を」と告げられ、決断は早かった。首の脊髄が圧迫される状態は、放置すれば麻痺や歩行困難につながる可能性もある。
手術は無事終了。電話出演では「カッスカスよ」とスタジオをいじる余裕も見せた。しかし、脊髄の手術は術後の経過観察とリハビリが重要になる。神経の回復には時間がかかることも多い。
復帰が未定となるのは、その慎重さゆえだ。
『月曜から夜ふかし』約1カ月放送間隔 広がる動揺
マツコがMCを務める『月曜から夜ふかし』では「次回は3月2日」と告知され、約1カ月の空白が生まれた。
SNSには戸惑いの声が並ぶ。さらに『マツコの知らない世界』『マツコ&有吉 かりそめ天国』など複数の番組を抱えるだけに、影響は大きい。
それでも事務所は「回復するまでは休養」と明言。復帰は医師の判断を踏まえ、番組側と相談しながら決めるという。
空席が語るのは、代えのきかない存在感だ。
首の脊髄圧迫とは何か 症状・原因・回復までの流れ
今回のケースで注目される「首の脊髄圧迫」とは何か。
脊髄は脳から続く中枢神経で、首の部分は頸髄と呼ばれる。ここが椎間板の突出や骨の変形などによって圧迫されると、手足のしびれ、脱力、歩行障害などが起こることがある。
原因としては頸椎ヘルニア、脊柱管狭窄症、後縦靱帯骨化症などが知られる。進行性の場合、手術によって圧迫を解除する。
ただし、神経は一度ダメージを受けると回復に時間がかかる。症状がどこまで改善するかは個人差が大きく、数週間から数カ月単位のリハビリが必要になるケースもある。
「はっきり分からない」という言葉は、医学的にも妥当な説明といえる。
過去の体調不良報道と比較 “異変”はあったのか
近年、SNSでは「顔周りが痩せた」「目の充血が気になる」といった声も上がっていた。
これまでにも長時間収録やハードスケジュールが取り沙汰されたことはあるが、今回のような明確な手術・入院の公表は重みが違う。
“激やせ”と神経症状の因果関係は不明だが、脊髄圧迫によって筋力が低下し、見た目が細くなることも医学的にはあり得る。外見の変化だけで断定はできないが、身体が発していたサインはあった可能性もある。
テレビ業界の長期休養事例と復帰までの道のり
テレビ界では、過労や病気による長期休養は珍しくない。
MCクラスのタレントが休む場合、番組は代役を立てるか、放送間隔を空けるかの判断を迫られる。だが、長寿番組ほど“顔”の存在感は大きい。
マツコの場合、番組の構造そのものが彼女の視点と言葉を前提に組み立てられている。単なる代役では成立しにくい。
過去の事例を見ると、十分な休養を経て復帰したケースほど、支持はむしろ強まる傾向にある。無理な早期復帰は逆効果になりかねない。
Netflix新番組を控えるなかでの転機
1月にはNetflix新番組『ブラックオークション〜禁断の入札〜』への出演が発表されていた。
活動の場を広げるタイミングでの入院。だが、この休養は単なる中断ではなく、転機になる可能性もある。
身体と向き合い、働き方を再設計する機会。キャラクターと健康、その両立をどう描くのか。次のフェーズに入る予兆とも読める。
復帰はいつ? 焦らず待つという選択
復帰時期は未定。
だが、それは悲観的な言葉ではない。神経の回復は時間との対話だ。焦らないことこそが最短距離になる。
画面の向こうに再びあの姿が戻る日を、多くの人が待っている。しかし今は、空席を責めるのではなく、静かに見守ることが必要だ。
あの椅子が再び埋まる瞬間まで。



