高市“潔癖”政権が招く夜の街・完全浄化へのカウントダウン?

前回、森下グループが資産を守るために店舗を切り捨てた“冷徹な逃走劇”を「歓楽街の帝王・森下グループマリン全店閉店の怪……」として報じた。
だが、主が去ったあとの焼け跡には、突然仕事がなくなったことを嘆く女性たちと、再起不能に陥った中年男性スタッフたちの姿があった。
さらに取材を進めると、この閉店劇の裏には、同時期に起きた東大教授逮捕と、それを奇貨とする高市早苗政権による風俗壊滅作戦の影が見え隠れする。

前回、森下グループが資産を守るために店舗を切り捨てた“冷徹な逃走劇”を「歓楽街の帝王・森下グループマリン全店閉店の怪……」として報じた。
だが、主が去ったあとの焼け跡には、突然仕事がなくなったことを嘆く女性たちと、再起不能に陥った中年男性スタッフたちの姿があった。
さらに取材を進めると、この閉店劇の裏には、同時期に起きた東大教授逮捕と、それを奇貨とする高市早苗政権による風俗壊滅作戦の影が見え隠れする。
1月30日夜、列島を縦断するソープランドチェーン「マリングループ」が突如消滅した。森下グループ経営陣にとっては損切りでも、そこで働くキャストにとっては生活のすべてが奪われた瞬間だった。
その混乱の様子を、SNSで赤裸々に発信した一人の女性がいる。歌舞伎町の人気店「バルボラ」に在籍し、天然Gカップの抜群のプロポーションで多くのファンを魅了してきた日向菜緒さんだ。彼女は自身のXで、あまりに乱暴な幕引きへの怒りを露わにしている。
「せめて店が無くなるなら1週間前とかに連絡して欲しいよね。店無くなる30分前に言うなって!」
彼女たちをさらに追い詰めたのは、グループが課していた「専属」の掟だった。 「『掛け持ち禁止!!』ってずっと言われてたから、日向はそれを守ってました。(中略)それが出来ないなら掛け持ち禁止とか言うなよって」
他の店への逃げ道(掛け持ち)を塞がれ、飼い殺しにされた挙句の即日解雇。彼女は後日、私物を取りに店を訪れ、「バルボラは大好きでした!!ありがとう!!」と気丈に振る舞ったが、その言葉の裏には、組織に翻弄された個人の無力感が滲む。
現場の混乱はこれだけではない。同じく都内の店舗に在籍していた別の女性キャスト(24)は、取材に対しこう吐き捨てた。
「SNSで人気のある子はまだいい。すぐ次の店が決まるから。でも、私みたいに借金返済のために働いてて、やっと常連がついた矢先にこれだよ? 明日の寮費どうすんのって話。グループの偉い人たちは雲隠れだし、マジで人間扱いされてない」
混乱の渦中にいるのは、女性キャストだけではない。むしろ、年齢的にも再起が難しい店舗運営スタッフ(黒服)たちこそ、真の地獄を見ている。
都内のマリングループ店舗で役職に就いていた40代の男性スタッフ、A氏は力の抜けた声でこう語った。
「女の子はまだいいですよ。若ければ引く手あまただし、すぐに次の店が見つかる。一番キツイのは、僕らみたいな40代、50代の裏方です」
A氏はタバコの煙を吐き出しながら、諦め混じりに続ける。「店長クラスの一部の人間は、どうやら池袋の他のお店や、まだ息のある店舗に異動できる手はずが整っているようです。でも、僕みたいな中途半端な役職の人間はどうすればいいんでしょ。『来るか』と誘ってもらってはいますが、今回のことで自分はもういいかな、と。映った先でもこういったことがあったら……多分、この業界自体に未来がないような気がします」
ずっと水商売一本で生きてきた自分に、今さらカタギの世界で何ができるのか……。A氏の背中は、夜の街の黄昏を体現しているようだった。
マリングループの灯が次々と消える中、2月6日現在、唯一“生存”が噂されている店舗がある。横浜駅西口にある「ジャパンクラブ富士」だ。
この動きについて解説するのは、歌舞伎町ガイド人で『月刊裏モノJAPAN』編集部員の仙頭正教氏だ。仙頭氏は自身のYouTubeチャンネル「仙頭正教【裏モノJAPANマー君】チャンネル」の中で、独自の分析を展開している。
仙頭氏によれば、同店は在籍女性の発信により事実上の生き残り店舗と見られているが、その先行きには暗雲が立ち込めているという。
「店があるのは横浜駅西口の一等地ですが、その目の前に2024年6月、超高級タワーマンション『THE YOKOHAMA FRONT』が開業しました。数億円の部屋に住む富裕層からすれば、自宅の目の前に大衆ソープがあるのは面白くないはずです」
19,000円の大衆ソープと、億ションの住人。都市開発という名の浄化が、最後の砦をも押し潰そうとしている。
なぜ今、これほど急激に業界が縮小しているのか。その答えは、くしくもマリングループ閉店と同時期に世間を騒がせている「東大教授ソープ接待事件」にある。
東京大学大学院教授・佐藤伸一容疑者(62)が、共同研究の便宜を図る見返りに、吉原の高級ソープなどで約180万円相当の接待を受けていたこの事件。「接待」として利用された事実は、ソープランドが「個室での自由恋愛」という建前を超え、社会的な“社交の場”として機能していたことを皮肉にも証明した。
しかし、これが高市早苗政権にとっては格好の攻撃材料となるのではないかと見る向きがある。永田町関係者が声を潜める。
「高市総理は、この事件を奇貨として、売春防止法の大改正に踏み切るつもりだ。狙いは北欧モデル、つまり『買う側(客)』の処罰だ。これまでは店や女性が対象だったが、客が逮捕されるとなれば、ソープだけでなくデリヘルもパパ活も一網打尽になる」
実際に、法務省はこの3月にも、高市早苗首相の肝いりで、売春防止法における「買う側(客)」への処罰の是非を議論する有識者検討会を設置する方針を固めたという。東大教授による接待汚職事件を追い風に、客を厳罰化して需要を断つ北欧モデルの導入が現実味を帯びているのか。業界関係者は「昭和のグレーゾーンが終わる日」として戦々恐々としている。
だが、こうした強硬な浄化作戦には、現場からだけでなく、経済的な視点からも強い懸念の声が上がっている。
池袋の古参の風俗店オーナーは、怒りを隠さない。
「高市さんは保守本流で、最初は期待していたよ。でも、ここにきて風俗業界に手を突っ込むなら話は別だ。完全に失望したね」
彼は、日本の観光産業における「夜の街」の重要性を説く。
「日本の今後の方向性として、インバウンドで外貨を稼ぐって言ってるけど、外国人観光客、特に男性が行先の国を選ぶ大きな動機の一つが何かわかってるのか?風俗だろう!そして、日本の良さはアニメや食だけじゃない、日本には安全で高品質な風俗文化があるんだよ。それが選ばれているからこれだけ観光客が来るんじゃないか。
考えても見てほしいが、男が旅をする時、その行先を選ぶ理由なんて、大抵は『いい夜遊びができるか』だろう。日本人でタイに行ったり、韓国に行ったり、ドイツに行ったり、そういった国をなぜ選ぶか、考えたら思い当たる人はたくさんいるだろうに……」
確かに、伝統的な水商売は、日本の裏観光資源として大きな役割を果たしてきた。それを「倫理」という名目で一掃すれば、将来にわたって日本の観光競争力に少なからぬ打撃を与えることは想像に難くない。前出の永田町関係者も嘆く。
「男のサガ、旅の恥はかき捨てという文化……そういう機微がわからないのかな。もし、本当に総理の意向を汲んだ上での有識者検討会なのならば、彼女は人間をわかっていないんだろうな。性風俗産業がどれだけ女性の社会包摂になってきたか、男性の犯罪率を軽減させてきたか、日本にインバウンドに来る外国人の少なくない割合が風俗目的できているということも含めて、顕在化しない数値というものがあるのを理解できないのかな。パブコメ(パブリックコメント)でそういった現場の切実な声を伝えていかないとだね。
でも、テーマがテーマなだけに、殆どの人が声をあげないだろうから、施行されてしまうのかな。まぁ、その場合は数年後に、思い知ることになると思うよ。そして、後世にとって『女性を総理にしてしまった悲劇』として、日本の大きなソフトパワーの一部を破壊した汚点となるだろうね」
巨大グループの崩壊は、単なる一企業の倒産ではない。
昭和から続き、男たちの欲望と哀愁を受け止めてきた日本の夜が、潔癖すぎる令和の光によって消滅させられようとしている、その序章に過ぎないのかもしれない。
ライター:
ライター歴26年。月刊誌記者を経て独立。企業経営者取材や大学、高校、通信教育分野などの取材経験が豊富。