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TBS日曜劇場「リブート」はなぜ視聴率独走なのか 視聴者が抜け出せない“誰が誰?”サスペンスの正体

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リブート
TBS日曜劇場『リブート』公式Instagramより

日曜夜、テレビの前に座った視聴者は、いつの間にか“答えのない迷路”に足を踏み入れている。TBS日曜劇場「リブート」は、初回視聴率13.3%、第2話11.7%と今期ドラマの中で頭ひとつ抜けた数字を記録している。だが、この作品の本当の強さは数字そのものではない。視聴者が「分かった」と思えないまま、次の回を待たされる。その抗えない構造にある。

 

 

数字が示す「独走」の実態

今期、民放ドラマは総じて苦戦している。配信サービスが日常に溶け込み、リアルタイム視聴の価値が揺らぐ中で、二桁を維持する作品は限られる。そのなかで「リブート」は、初回から連続して高視聴率を叩き出した。

主演を務めるのは鈴木亮平。日曜劇場という看板枠にふさわしい存在感を放ちながら、視聴者を安心させるどころか、むしろ不安定な世界へと引きずり込む。その数字の裏には、「見なければ置いていかれる」という切迫感が確かに存在している。

 

物語はなぜ「分からなく」設計されているのか

妻殺しの濡れ衣を着せられたパティシエ・早瀬陸。彼は真犯人を探すため、死亡した悪徳刑事・儀堂の顔で生きる道を選ぶ。この時点で物語は非現実の領域に踏み込むが、「リブート」は説明過多に陥らない。

さらに視聴者の予想を裏切ったのが、早瀬陸を演じていたのが松山ケンイチだったという事実だ。多くの視聴者は、鈴木亮平が二役を担うと信じて疑わなかった。その思い込みが裏切られた瞬間、視聴者の足元は一気に不安定になる。

「誰が犯人か」以前に、「目の前の人物は本当にその人物なのか」。推理の出発点が崩されることで、視聴者は考察よりも没入を選ばざるを得なくなる。

 

演技が“設定の無茶”を現実に変える

この大胆な設定を成立させているのが、俳優陣の演技力だ。鈴木亮平は、刑事として振る舞いながら、その奥に別人の焦りと恐怖を滲ませる。一方、松山ケンイチが残した“早瀬という人格”は、物語の随所で亡霊のように立ち上がる。

会計士・一香を演じる戸田恵梨香、監察官役の伊藤英明らも、それぞれが「信用できそうで、できない」表情を積み重ねる。結果、画面全体が常に薄暗い緊張感に包まれ、視聴者は登場人物の誰にも寄りかかれなくなる。

 

日曜劇場が持つ“視聴習慣”という装置

「リブート」の成功は、日曜劇場という枠の力とも無縁ではない。日曜夜9時は、平日の疲れを抱えた視聴者が、唯一腰を落ち着けてテレビと向き合える時間帯だ。そこに“分かりやすさ”ではなく、“分からなさ”を投げ込む。

見終えた後に残るのは爽快感ではなく、疑問と違和感。その違和感が、次週への強力なフックとなる。テレビの価値が問われる時代に、「無料でここまで考えさせるのか」という驚きが、日曜劇場の存在感を再確認させている。

 

なぜ視聴者は離脱できないのか

「リブート」の世界では、確かなものが一つもない。犯人も、味方も、そして主人公の“正体”さえ揺らいでいる。唯一確かなのは、主人公が被害者であるという感覚だけだ。

だからこそ視聴者は、途中で降りることができない。理解できないから見る。分からないから見続ける。その逆説的な構造こそが、本作最大の武器である。

 

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ライター:

広告代理店在職中に、経営者や移住者など多様なバックグラウンドを持つ人々を取材。「人の魅力が地域の魅力につながる」ことを実感する。現在、人の“生き様“を言葉で綴るインタビューライターとして活動中。

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