
タレントのデヴィ夫人が、マネージャーへの暴行容疑で書類送検された。愛犬の死をきっかけとしたトラブルとされるが、過去にも数々の問題行動が指摘されてきた人物である。なぜ彼女は批判を受けにくく、メディアに起用され続けるのか。その活動歴と人物像を振り返る。
デヴィ夫人が書類送検 動物病院で起きた暴行疑惑の概要
タレントの「デヴィ夫人」ことデヴィ・スカルノ(85歳)が、マネージャーの女性に暴行を加えたとして書類送検されたことが分かった。捜査関係者によると、事件が起きたのは2025年10月、東京都渋谷区内の動物病院だった。
当時、デヴィ夫人の飼い犬が体調を崩し、マネージャーの女性が病院に連れて行ったものの、犬はそのまま死亡したという。後から病院に駆け付けたデヴィ夫人が、治療内容などを巡って病院側に強く抗議し、場を収めようとしたマネージャーの女性に対し、殴る蹴るなどの暴行を加えた疑いが持たれている。
マネージャーの女性は全治2週間のけがを負い、その後退社したとされる。関係者の証言では、当時のデヴィ夫人は酒に酔った状態だったとも伝えられている。一方で、警視庁の任意の調べに対し、デヴィ夫人は「けがをさせていない」と容疑を否認しているという。
元大統領夫人から日本のタレントへ 異色の経歴
デヴィ夫人は1940年2月6日、東京生まれ。若くしてインドネシアに渡り、同国初代大統領スカルノ氏の第3夫人となったことで国際的な注目を集めた人物である。政治の中枢に身を置き、華やかな社交界を渡り歩いた経験は、のちに彼女自身の強烈なキャラクター形成につながった。
スカルノ政権崩壊後、日本に拠点を移し、次第にテレビ番組やバラエティーへの出演を増やしていく。歯に衣着せぬ発言、強烈な自己主張、時に攻撃的とも取れる態度は、賛否を呼びながらも「デヴィ夫人」という唯一無二のタレント像を確立した。
単なる元大統領夫人という肩書きにとどまらず、国際感覚や社交術、毒舌キャラを武器に、日本のテレビ文化の中で長年生き残ってきた点は特筆すべきだろう。
繰り返されてきた問題行動とそれでも消えない存在感
デヴィ夫人はこれまでにも、暴言やトラブル、他者との衝突がたびたび報じられてきた。
テレビ番組内での過激な発言や、共演者との激しい言い争いは珍しいものではなかった。それでも、多くの場合は「デヴィ夫人らしい」「キャラの一部」として消費され、大きな制裁に発展することは少なかった。
今回の暴行疑惑も、内容だけを見れば、他のタレントであれば致命的になりかねない事案である。特に、立場の弱いマネージャーに対する暴行という構図は、現代のコンプライアンス意識からすれば厳しい批判を招くのが通常だ。
それでも、世間の反応は比較的静かで、「元からこういう人だった」「今さら驚かない」といった受け止めが目立つ。問題行動が「想定内」として処理されてしまう点こそ、彼女の特異性を示している。
若い女性タレントなら一発アウト 不均衡な評価基準
今回の件を巡っては、「同じことを若い女性タレントがやれば即座に干される」という声も少なくない。実際、芸能界では不祥事の内容以上に、年齢、立場、イメージによって処遇が大きく左右される現実がある。
デヴィ夫人の場合、高齢であること、長年築いてきたキャラクター、そして「破天荒な人物」という固定イメージが、批判の矛先を鈍らせている面は否定できない。「人間力」「大御所だから」という言葉で片付けられがちだが、それは同時に、評価基準の曖昧さを露呈している。
メディアの世界では、同じ行為でも叩かれる人と叩かれない人が存在する。起用されるか、干されるかの線引きは、必ずしも一貫しておらず、視聴率や話題性が優先されるケースも多い。
問われるのは年齢ではなく構造 メディアと視聴者の責任
年齢を理由に擁護する声もあるが、今回の件に関しては「元からこういう人だった」という見方が本質に近いのかもしれない。長年、問題行動が許容され、笑い話やキャラクターとして処理されてきた結果、歯止めが利かなくなっていた可能性もある。
重要なのは、個人の資質だけでなく、それを許容し続けてきたメディアと視聴者の関係性だ。刺激的な言動を面白がり、数字を取れるからと起用し続けてきた構造が、今回のような事案を下支えしてきたとも言える。
書類送検という事実は重い。今後、法的な判断がどう下されるかとは別に、芸能界全体が「誰が何をしたらアウトなのか」という基準を改めて問い直す必要があるだろう。



