
NHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』で、ひときわ視聴者の視線を集めているのが、主人公・豊臣秀長の幼なじみ「直」を演じる白石聖だ。
永野芽郁の降板を受け、急きょ“代役”として抜てきされた形だったが、放送が始まると状況は一変。背中だけで感情を伝える初回の芝居、第2話で見せた静かな決断の表現に称賛が集まり、SNSでは「直ちゃん」がトレンド入りした。
なぜ白石聖は、短期間で視聴者の心を掴んだのか。その背景には、積み重ねてきたキャリアと、いまだからこそ噛み合った条件があった。
初回から漂った「ただ者ではない」空気
NHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』。放送開始直後から、物語の芯とは別のところで静かな熱を帯びていたのが、「直」という一人の女性の存在だった。
演じているのは白石聖。主人公・木下小一郎(仲野太賀)の幼なじみであり、史実には登場しないオリジナルキャラクターだ。
第1話、背を向けたまま言葉を発する場面。表情は見えない。それでも、画面越しに伝わってくるのは、抑えきれない想いと、どうにもならない現実への諦念だった。
SNSでは放送直後から「後ろ姿だけで泣ける」「感情の出し方がうますぎる」といった声が相次ぎ、早くも“直ロス”を予感する視聴者まで現れた。
第2話で確信に変わった「この女優を見続けたい」
第2話「願いの鐘」。小一郎と直が想いを通わせ、故郷を捨てる覚悟を決める場面は、本作前半の大きな山場となった。
ここで白石は、声を荒らげることも、涙を大げさに見せることもない。ただ、目線と呼吸のわずかな揺れで、人生を賭ける決断の重さを表現した。
放送中、「直ちゃん」がXのトレンド上位に浮上。
「豊臣兄弟を見ているはずなのに、気づくと白石聖を追っている」
そんなコメントが象徴するように、視聴者の視線は確実に彼女へと引き寄せられていった。
永野芽郁降板で巡ってきた“順番” だが偶然ではない抜擢
今回の大河出演は、もともと直役を務める予定だった永野芽郁の降板を受けて決まったものだ。
いわゆる「代役」という立場。しかし、画面を見れば、その言葉がいかに的外れかは一目瞭然だろう。
過去にも、大河ドラマでの代役出演をきっかけにブレイクした例はある。『麒麟がくる』で川口春奈がそうだった。
白石の場合も同様に、「たまたま空いた席に座った」のではなく、「準備が整っていたから座れた」という印象が強い。
「奇跡の世代」最後の大物という現在地
白石は1998年生まれ。広瀬すず、福原遥らと同学年で、「奇跡の世代」と呼ばれてきた。
2018年のドラマ『I”s』でヒロインを射止め、「絶対的美少女」と称された実績もある。
ゼクシィCMガール、話題作への出演。経歴だけを見れば順調に見える一方で、同世代が次々と主演作をヒットさせる中、「もう一歩届かない」時間が続いていたのも事実だ。
だからこそ今回の反響は、単なる“再評価”ではない。
「この女優は、ここから始まる」
そんな空気が、作品内外に生まれている。
事務所移籍とNHKの信頼 注目度が跳ね上がった背景
2025年、白石は長年在籍した芸映プロダクションからフラームへ移籍した。フラームは戸田恵梨香、有村架純、吉岡里帆らを擁し、女優の育成とキャリア設計に定評のある事務所だ。
テレビ局関係者によれば、代役キャスティングで重視されるのは「スキャンダル耐性」と「事務所への信頼」。
NHKとの関係性が深いフラームへの移籍直後というタイミングも重なり、白石は“安心して任せられる存在”として強く推されたとみられている。
「直」という視点が、物語に奥行きを与える
白石自身はインタビューで、直について「男勝りで、強がってしまう女性」と語っている。
ただ耐えて待つだけではない。嫌なものには「嫌だ」と行動で示す。その姿勢は、戦国という男性中心の物語に、確かな現代性をもたらしている。
今後、浜辺美波演じる寧々との関係性も描かれていくとされ、女性たちの視点から見た「豊臣兄弟」の物語は、さらに深みを増していきそうだ。代役という言葉は、もはや過去のものになりつつある。
2026年、白石聖は「奇跡の世代」最後の大物として、確かな足取りでスター街道を歩み始めている。



