
令和のスポーツ界に、温かな吉報が届いた。プロ野球・オリックス・バファローズの来田涼斗外野手(23歳)と、女子プロゴルフ界で着実に存在感を高める鶴岡果恋(25歳、日本女子プロゴルフ協会所属、明治安田)が結婚していたことが分かった。約2年の交際を経ての入籍で、現在は関西圏で新婚生活を送っている。
港町の夜に交わした一生の約束
一生に一度の願いを口にしたのは、港町の夜だった。漆黒の海に浮かぶ無数の光を背に、静かに用意されたホテルの一室。純白のシーツに敷き詰められた真っ赤な薔薇の中央で、来田が差し出した言葉は「結婚してください」。ダイヤの指輪を前に、鶴岡は深くうなずいた。頬を伝った涙は、互いの肩でそっと拭われた。
すれ違いを越えた約2年
プロ野球選手とプロゴルファー。競技特性の違いは、そのまま生活リズムの違いでもある。両競技のオフが重なる月曜日だけが、確実に顔を合わせられる日。当初は大阪と横浜を行き来する遠距離恋愛で、「休みがあれば、どちらかが会いに行く」日々が続いたという。
転機は、来田が球団寮を退寮したタイミングだった。同棲生活を始め、日常は一変する。鶴岡は「普段から早起きで、家事を進めてから球場へ向かってくれます。洗濯物をたたんで、ゴミ出しまで。本当に頼りになります」と笑う。デートの段取りも来田が一手に引き受け、「男らしくて、一緒に居て本当に楽しい」と頬を緩めた。来田の大好物は、鶴岡特製の「クリームオムライス」だ。白ワインを絡めたソースが決め手で、「マジで美味しい。最近も『作って』とお願いしています」と照れ笑い。競技で酷使する身体を支える家庭の味は、精神面の安定にも直結する。
互いのフィールドを尊敬する
競技は違えど、勝負の本質は同じだ。来田と鶴岡の関係を語るうえで欠かせないのが、互いのフィールドへの深いリスペクトである。
鶴岡は当初、野球の細かなルールを把握していたわけではなかった。それでも球場に足を運び、スタンドから夫の姿を見つめ続けるうちに、野球という競技の厳しさを肌で感じ取っていったという。
「同じ人なのに、ユニホームを着てグラウンドに立つと、まったく別の人を見ている感覚になります。球場でプレーしている彼は、良い意味で“知らない人”。そのギャップに毎回ドキドキします」と語る言葉には、単なる配偶者以上の敬意が滲む。
一方の来田も、ゴルフ観戦を重ねる中で競技の奥深さを知った。静寂の中で行われる一打一打は、外から見れば穏やかに映る。しかし実際は、極度の集中力と精神力が要求される孤独な戦いだ。
「試合中の彼女は本当にかっこいい。普段は優しくて、どこか可愛らしい雰囲気なのに、ティーイングエリアに立った瞬間、空気が変わる。集中力が別人のようで、心から尊敬しています」と目を細める。
互いの競技に口出しはしない。技術論を語り合うこともほとんどないという。ただし、結果が出なかった日には、無理に励まさず、そっと距離を保つ。調子が良い時には、言葉より先に空気で察する。その距離感こそが、アスリート同士だからこそ築けた信頼関係だ。
同じ「プロ」という世界に身を置くからこそ分かる、勝負の怖さ、結果がすべての世界の厳しさ。その共通理解が、互いを縛るのではなく、自由にしている。競技が違っても、歩んできた覚悟の質は同じだ。だからこそ2人は、相手の背中を静かに尊重し続けることができる。
来田涼斗のプロフィールと成績
来田涼斗は2002年10月16日生まれ、兵庫県神戸市出身。23歳。右投げ左打ちの外野手。俊足とパンチ力を兼ね備えた左の好打者として、アマチュア時代から注目を集めてきた。
明石商業高校では1年夏からベンチ入り。甲子園では切れ味鋭い打撃と積極的な走塁で存在感を示し、2019年のセンバツ大会では主力としてチームを牽引した。高校通算本塁打は40本を超え、スカウトからは「完成度の高い高校生野手」と高評価を受けた。
2019年のプロ野球ドラフト会議で、オリックス・バファローズから3位指名を受け入団。将来のレギュラー候補として育成されてきた。プロ入り後は、1軍と2軍を行き来しながら着実に経験を積んできた。最大の武器は、スイングスピードと打球の強さ。インサイドをさばく技術に定評があり、左投手にも対応できる柔軟性を持つ。
外野守備では、主に右翼と中堅を守り、俊敏な動きと安定した捕球で首脳陣の信頼を獲得。走塁面でも積極性があり、代走や守備固めとしての起用も多い。
近年はコンタクト率の向上に取り組み、三振数を抑えながら出塁率を高める打撃改良を継続。チーム内では「将来のレギュラー候補」「雰囲気を明るくするムードメーカー」として評価されており、飛躍が期待される若手外野手の一人である。
鶴岡果恋のプロフィールと成績
鶴岡果恋は1999年12月27日生まれ、神奈川県出身。25歳。女子プロゴルファーで、日本女子プロゴルフ協会所属。
幼少期からゴルフに親しみ、ジュニア時代から全国大会で実績を重ねてきた。高校、大学を通じて競技経験を積み、アマチュアとしての完成度を高めた後、プロテストに合格。安定感のあるプレースタイルが特徴で、派手さよりも堅実さを武器とする。プロ転向後は、ステップアップツアーとレギュラーツアーを主戦場に経験を積み重ねてきた。最大の強みはショットの正確性で、フェアウェイキープ率とパーオン率の高さが際立つ。
飛距離ではツアー屈指というタイプではないが、コースマネジメント能力に優れ、スコアを大崩れさせないゴルフが持ち味。特にアイアンショットの精度と、グリーン周りのアプローチに定評がある。
精神面の成長も著しく、予選通過率は年々上昇。安定して週末に残る試合が増え、賞金ランキングでも着実に順位を伸ばしてきた。関係者からは「地に足のついた努力型」「継続力が武器の選手」と評され、今後の上位進出が期待されている。
夫婦として、アスリートとして
「お互いにプロとしての仕事がある。何事もカバーし合える生活を送りたい」。来田はそう語り、「この人となら一生一緒に過ごせると思ってプロポーズした」と続ける。鶴岡も「夫婦としても、アスリート同士としても良い関係でいたい」と応じた。
共に戦い、共に喜ぶ。支え合う覚悟が、競技人生をさらに強くする。令和の時代に生まれた“アスリート婚”は、華やかさだけでなく、日常の積み重ねが紡ぐ確かな幸福を映している。



