
ウォーターサーバー事業を展開するプレミアムウォーター株式会社で、著名アーティスト名を用いた虚偽の営業活動が発覚した。イベント会場において、週末ヒロインももいろクローバーZとの公式コラボレーションが行われているかのように説明し、契約を促進していたことが判明。
企業は関係各所に謝罪し、返金や契約解除にも応じる姿勢を示したが、営業管理体制と企業統治の在り方が厳しく問われている。
不適切な営業活動が判明した経緯
プレミアムウォーターは、グループ営業販売会社による不適切な営業活動が確認されたとして、公式サイト上に謝罪文を掲出した。問題となったのは、イベント会場で行われた対面販売において、事実と異なる説明を用い、来場者に対して契約を促進していた点である。
同社の説明によると、当該営業販売会社は「たまアリ△タウンクリスマスマーケット2025」に出展した際、プレミアムウォーターと、ももいろクローバーZ、さらに所属事務所であるスターダストプロモーションとの間で、公式なコラボレーションが実施されていると説明していたという。しかし、こうした事実は存在せず、同社は虚偽の説明であったことを認めた。
架空コラボが契約判断に与えた影響
著名アーティストとのコラボレーションをうたった営業手法について、SNS上では批判的な反応が広がった。イベント来場者やファンとみられる利用者からは、「公式コラボだと思えば信じてしまう」「名前を使って契約を取るのは一線を越えている」といった声が目立った。
特に多かったのが、ファン心理を利用する営業姿勢への違和感を指摘する意見だ。「応援しているアーティストが関わっているなら安心してしまう」「ファンの気持ちを利用するやり方は許されない」といった反応が見られ、企業と消費者の問題にとどまらず、アーティストやファンコミュニティへの影響を懸念する声も少なくなかった。
一方で、「本当に公式なら事前に告知があるはず」「その場で初めて聞くコラボ話はおかしい」と冷静に疑問を呈する投稿がある一方、「説明が巧妙で疑う余地がなかった」「その場では信じてしまった」と、自身の判断の難しさを振り返る声も確認されている。
企業が示した公式見解と謝罪内容
プレミアムウォーターは、「当社グループ営業販売会社による不適切な営業活動についてのお詫び」と題した文書で、虚偽のコラボレーションを用いた営業行為について、「お客様に誤認を与えるような営業トークを容認していない」と明確に否定した。その上で、「今回の事態を極めて重く受け止めている」との認識を示し、影響の大きさを強調している。
また、契約者やイベント来場者に加え、アーティスト本人、所属事務所、関係者に対しても謝罪の意を示した。形式としては丁寧な謝罪だが、一方で「容認していない」との表現は、現場と本体企業との責任分界を示す意味合いも持つ。
営業活動をグループ会社や外部販売会社に委ねる体制を採っている以上、現場でどのような説明が行われているかを把握し、是正する責任は最終的に本体企業に帰結する。謝罪文では、監督体制のどこに問題があったのか、虚偽説明をいつ把握したのかといった具体点には踏み込んでおらず、再発防止策の実効性については今後の説明が求められる。
契約者への対応と実務的措置
同社は、当該イベントブースで契約を結んだ利用者に対し、個別に連絡と説明を行う方針を示した。
対象期間は12月12日から21日までとし、返金や契約解除を希望する場合には「誠意をもって対応する」としている。問い合わせ窓口も明記し、利用者が直接確認できる体制を整えた。
ウォーターサーバーは長期契約が前提となる商品であり、解約時には違約金や手続きの煩雑さが心理的な障壁となりやすい。そうした中で、企業側が能動的に対象者へ連絡し、返金や解約を選択肢として明示した点は一定の評価に値する。
ただし、重要なのは実際の運用だ。問い合わせ対応の丁寧さや、解約手続きの簡便さが担保されなければ、形式的な救済措置に終わる可能性もある。また、誤った情報に接したものの契約に至らなかった来場者への影響については触れられておらず、説明責任の範囲がどこまで及ぶのかも課題として残る。
プレミアムウォーターの企業体質と販売構造
プレミアムウォーターは、天然水の宅配を主力とするウォーターサーバー事業会社で、本社を東京都渋谷区神宮前に置く。全国の採水地から直送される天然水と、デザイン性を重視したサーバー展開で契約数を伸ばしてきた。
一方、販売現場は自社社員だけでなく、グループ会社や外部の営業販売会社が担うケースも多い。この構造は事業拡大に有効である反面、現場統制が不十分な場合、説明逸脱が起きやすいというリスクを内包している。今回の問題は、そうした構造的弱点が顕在化した事例とも言える。
ウォーターサーバー業界全体では、契約条件の分かりにくさや解約金を巡るトラブルが長年指摘されてきた。プレミアムウォーターについても、過去に説明不足を指摘する声が消費者から上がったことはある。これらは今回の虚偽説明とは性質が異なるものの、営業現場と消費者の認識に乖離が生じやすい業界構造を浮き彫りにしている。
信頼回復に向けて問われるもの
今回の不適切営業問題は、一営業会社の逸脱にとどまらず、企業全体の管理体制とガバナンスを問うものとなった。著名アーティスト名を用いた虚偽営業は、関係者やファンに深い不信感を残す。
成長を続けてきた企業であるからこそ、今後は売上拡大と同時に、営業管理とコンプライアンスの実効性が厳しく求められる局面に入った。今回の対応が、単なる火消しで終わるのか、企業体質の改善につながるのか。その評価は、今後の運用と説明に委ねられている。



