ログイン
ログイン
会員登録
会員登録
お問合せ
お問合せ
MENU

法人のサステナビリティ情報を紹介するWEBメディア coki

ミス・フィンランド「つり目」ポーズが政界に飛び火 首相が日中韓へ異例の謝罪

コラム&ニュース コラム
リンクをコピー
つり目
DALLーEで作成

一枚の写真が、国家の信用を揺るがした。
ミス・フィンランドに選ばれた女性がSNSに投稿した「つり目」ポーズの写真が、東アジアで人種差別だとして激しい批判を浴び、称号剥奪に発展。さらに、これを擁護する与党議員らが同様の写真を投稿したことで騒動は政界に飛び火し、ペッテリ・オルポ首相が日本・中国・韓国に謝罪する異例の事態となった。
「人権国家」として知られるフィンランドで、なぜ差別問題がここまで拡大したのか。その経緯と背景を追う。

 

 

「中国人と食事中」投稿が引火点に ミス・フィンランド称号は剥奪

問題視されたのは、2025年のミス・フィンランドに選ばれたサラ・ザフチェ氏がSNSに投稿したとされる写真だ。目尻を引っ張る仕草に「中国人と食事中」といった趣旨の文言が添えられ、東アジアを中心に「アジア人を揶揄する差別的ジェスチャーだ」と批判が拡大した。この仕草が人種差別的だとして受け止められ、騒動がフィンランド国内外へ広がった。

当人側は「誤解だ」「本人の同意なく投稿・文言が付いた」などと説明し、頭痛でこめかみ付近を触っていたとの趣旨の釈明も報じられた。一方、主催側は「模範となる立場」などを理由に称号の剥奪を決定。準優勝者が新しいミス・フィンランドに選ばれた。

ここまでなら、よくある“炎上→謝罪→処分”の線で収束しても不思議はなかった。だが今回は、次の一手が最悪だった。

 

与党議員が同じ「つり目」写真で“連帯” 火に油を注ぎ、政界問題へ

称号剥奪を「厳しすぎる」と受け止めた一部の政治家が、ザフチェ氏を擁護する形で、同様の「つり目」ポーズ写真をSNSに投稿した。これが国際的反発をさらに強め、騒動は“個人の不適切投稿”から、“政治家の差別的表現”へと性質を変えた。

オルポ首相は、「個々の議員による侮辱的な投稿」について謝罪し、投稿は「平等と差別のない社会」というフィンランドの価値を反映しない、と明確に線引きした。
与党内の右派政党(フィン人党)の議員らによる投稿が批判を招き、首相が火消しに動いたのだ。

「表現の自由」を盾にした軽い冗談のつもりだったのか。あるいは、内向きの政治的アピールだったのか。いずれにせよ、国外の人々に届いたのは「侮辱」のメッセージだった。

 

オルポ首相が日中韓へ異例の謝罪 「人種差別は許されない」

オルポ首相の謝罪は、在中国・在日本・在韓国のフィンランド大使館のSNSを通じて公表された。文言は国ごとに微妙な違いはあるものの、「心からの謝罪」「平等と非差別という価値観」「人種差別や差別は社会にあってはならない」といった骨格は共通していた。

この騒動が外交面だけでなく、国際的な評判にも影を落とし、航空会社などにも逆風が及んでいる。

 

フィン人党は処分協議へ 「人権国家」ブランドの傷は浅くない

焦点は次に移る。問題の投稿を行った議員に、実際にどの程度の処分が科されるのかだ。現地の報道は、与党各党の議員団幹部らが行為を強く非難した一方、制裁の判断は当該政党側が行う段取りであることも伝えている。
さらに、フィン人党が当該議員への対応として「警告」を出したと報じており、党内調整が続く構図がうかがえる。 

「差別は許されない」という建前は、どの国も掲げる。問われるのは、その言葉が実際のコストを伴うかどうかだ。処分が軽ければ「結局は身内に甘い」と受け止められ、重ければ「党内反発」が噴き出す。国内政治の計算と、国際社会の視線が真正面からぶつかっている。

 

Tags

ライター:

広告代理店在職中に、経営者や移住者など多様なバックグラウンドを持つ人々を取材。「人の魅力が地域の魅力につながる」ことを実感する。現在、人の“生き様“を言葉で綴るインタビューライターとして活動中。

関連記事

タグ

To Top