
インドネシア・バリ島の土産物店で、日本人高校生とみられる生徒らが商品をバッグに入れる様子を捉えた防犯カメラ映像がSNS上で拡散した。映像では複数の生徒が店員の視線をうかがいながら衣類を持ち去る姿が記録され、国内外で大きな波紋を広げている。
名指しされた京都市東山区の大谷中学・高校は、生徒複数による窃盗行為を認め謝罪した。海外での不祥事という背景も重なり、学校教育や日本人のイメージにまで影響が及ぶ事態へと発展している。
バリ島で拡散した“集団万引き”映像の衝撃
インドネシア・バリ島の土産店で、日本人高校生とみられる生徒らが商品をバッグやポケットに入れる様子を捉えた防犯カメラ映像がSNS上で急速に広がった。投稿は削除されたものの、映像はXなどを通じて拡散し、「バリ島 集団万引き」「大谷中学高校 万引き」といった検索ワードが急上昇した。
ウブド中心街「カジェン通り」にある土産物店では、観光客が行き交う中、胸に黄色いリボンを付けた生徒らが店内を歩き回っていた。カラフルなTシャツが揺れる売り場の奥で、少年たちは番号がプリントされたシャツを見せ合いながら笑い合っていたが、店主はその動きの端々に不自然な気配を感じ取っていた。
防犯カメラが捉えた“約7分間”の動き
映像では、店員が背を向けた瞬間、右側にいた生徒がTシャツを手に取り、いったん戻した後、肩掛けバッグへ素早く押し込む様子が映っていた。別の生徒は、ペットボトルを口にくわえたまま別のシャツをポケットに滑り込ませ、周囲を忙しなく見回していた。
店員が戻ると、態度は一変する。「ハウマッチ?」と声を上げ、値引きを懇願するような仕草を繰り返す姿も記録されていた。現地メディアの報道によると、この店では在庫確認の際、約10点の衣類がなくなっていることが判明したという。
名指しされた大谷中学・高校が窃盗行為を認め謝罪
映像の拡散後、SNSでは学校名を含む推測情報が飛び交い、京都市東山区の大谷中学・高校が名指しされる状況となった。同校は8日夕、公式サイトで「12月4日、本校の研修旅行に参加していた複数の生徒が窃盗行為に及んだことが確認されました」と公表した。
学校側は「海外における邦人の皆さまにも影響を及ぼしかねない重大な行為」と述べ、被害店舗および現地の関係者に謝罪した。また、9日に全校生徒へ説明を行うとし、不安を抱える生徒には当面の登校自粛を認める措置を取った。
インドネシアで万引きした場合の“属地主義”と法的扱い
海外で犯罪が発生した場合、その国の法律で裁かれる「属地主義」が適用される。法律専門家の解説によると、「日本人であっても、外国で犯罪を起こした場合は当該国の法律が適用される」のが原則だという。
ただし、今回の生徒らはすでに帰国しており、現地当局が身柄引き渡しを求める可能性は低いとの見方が多い。法的処分よりも、学校側と生徒側がどのような責任を明確化し、どのような対応策を講じるかが注目される。
過去の海外不祥事にみる“誠意”の必要性
今回の事態は、2008年に岐阜市立女子短大の学生がイタリア大聖堂に落書きをした事件を想起させる。当時、学生は学長に伴われ、自費で現地を再訪し謝罪した。大聖堂側はその誠意を受け入れ、問題は収束した。
バリ島の集団万引き問題でも、現地への丁寧な謝罪や、学校側の再発防止策の明示が欠かせないとみられる。
国内で広がる批判と“日本人イメージ”の揺らぎ
国内のSNSでは、行為に対する厳しい声が相次いだ。「日本の恥」「修学旅行でこれはあり得ない」といった投稿が溢れ、手慣れたように見える動きへの嫌悪感を示す声も多い。防犯カメラの映像が鮮明だったことも炎上を加速させた。
海外での不祥事は、日本人全体のイメージ低下につながりやすい。今回の問題は、生徒の行動だけでなく、学校教育や監督体制にも疑問を投げかけている。
学校の対応と社会への影響
学校側は事実関係の確認を続けているが、どのような処分を行い、どこまで情報を公開するのかが注目される。
生徒自身がどのように償い、現地への誠意を示すのかも焦点の一つだ。
今回の事件は、修学旅行の在り方、海外での日本人の振る舞い、そして教育現場が担うべき指導の姿勢を問い直す出来事となった。影響は教育現場のみならず、国際的な日本人のイメージにも波及している。



