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【金福商店】着物アップサイクルスニーカーの成功戦略 伝統文化が拓くサステナブルビジネスの新潮流

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【金福商店】着物アップサイクルスニーカーの成功戦略 伝統文化が拓くサステナブルビジネスの新潮流
提供:株式会社金福商店

「着物は着る人の物語も受け継ぐ」—株式会社金福商店のフットウェアは、日本の伝統的なサステナブルな美意識を現代に再構築し、浅草の職人技と融合させた。

 

伝統「着物」を再構築 金福商店の新フットウェア販売開始の衝撃

株式会社金福商店は、日本の伝統衣装である着物の正絹生地(反物)をアップサイクルしたパーツをアッパー側面に用いた本革スニーカー「The Kimono Footwear|和魂 WA soul」の販売を開始する。このスニーカーは、日本の靴作りを担ってきた浅草の老舗メーカーの靴職人によるMade in Japanの上質な本革スニーカーをベースとし、着物生地の柄(20柄を予定)、本革(20種類)、ソール(2種類)を顧客が選択できるセミオーダー形式を採用しているのが特徴だ。

伝統的な吉祥文様や四季の意匠が描かれた正絹生地を再利用することで、廃棄されるはずだった着物や反物に新たな命を吹き込んでいる。世界に誇る日本のクラフトマンシップと伝統が融合した「唯一無二の一足」として、国内はもとより海外への発送にも対応し、2026年1月中旬のECサイトオープンを目指し、販売を開始する予定だ。価格は72,000円(税込79,200円)。

なぜ高価格でも売れるのか 廃棄ゼロを目指す「高付加価値アップサイクル」の独自性

株式会社金福商店の取り組みの独自性は、「日本の伝統的なサステナビリティの再定義」と「高付加価値なアップサイクルモデル」にある。

他社のサステナブルなフットウェアが、リサイクル素材や植物由来素材の使用といった「現代的な環境負荷の低減」に主眼を置くのに対し、「和魂 WA soul」は、もともと着物に根付いていた日本人の「美意識」そのものをアップサイクルの根拠としている。着物は、長く着る、ほどいて縫い直す、体型に合わせて作り変える、といった形で、モノを大切にし、次世代に継承する循環型の文化そのものであった。同社は、この日本の文化に内在する「サステナブルな精神」を、現代の日常品であるスニーカーに移植した。

さらに、多くのアップサイクル製品が素材コストの削減や大量生産を志向する中で、同社のスニーカーは、伝統的な正絹生地という「芸術性の高い素材」と、浅草の靴職人という「卓越した職人技」を融合させている。これにより、アップサイクル製品でありながら、価格帯は高級レザーシューズ並み、かつセミオーダーによる一点物としての希少性を高めることに成功している。単なるエコ製品ではなく、「伝統工芸品×現代フットウェア」という新たな市場を切り開く戦略だと言える。

事業の背景にある「継承の文化」 日本の美意識を再興する哲学

 

「和魂 WA soul」の根底にあるのは、「古き良き日本の『美』と『技』を現代の日常にそっと添える」という哲学である。これは、単に古いものを再利用するというレベルを超え、日本の「魂」に宿る持続可能な美意識を、現代人のライフスタイルに再接続させようという強い意志から来ている。

株式会社金福商店は、着物を「ただ着るための衣装」ではなく、「着物をまとい楽しんだ人々の物語も受け継がれていくもの」と捉えている。この考え方に基づけば、スニーカーの側面に配される一反の正絹生地は、色柄が美しいだけでなく、その生地が辿ってきた歴史や、かつてその着物を愛した人々の思いを内包していることになる。

同社の代表は、「着物の反物は長さ約12m。そのシンプルな構造だからこそ、作り変え、引き継ぐことが可能でした。この、日本人が無意識に培ってきた『継承の文化』こそが、世界に誇るべきサステナブルな知恵です」と語る。この哲学があるからこそ、単なる反物の再利用ではなく、伝統的な職人技を駆使した「上質なスニーカー」として成立させ、高付加価値化が可能になっている。彼らにとってアップサイクルとは、環境問題への対応というよりも、「日本の美意識の再興と継承」なのである。

金福商店から学べる2つの教訓 サステナブル事業成功のヒント

株式会社金福商店の事例は、サステナビリティを事業戦略の核とする上で、特に二つの重要な教訓を提供する。

第一に、「伝統的な知恵の再評価」である。サステナビリティを追求する際、最新技術や欧米発の概念に頼るのではなく、自国の歴史や文化に根ざした「循環の思想」や「もったいない」精神を現代のビジネスモデルに組み込むことで、他社には真似できない独自のブランドアイデンティティを確立できる。

第二に、「アップサイクルの高付加価値化」戦略の成功例である。アップサイクルを単なるコスト削減や廃棄物処理と捉えるのではなく、希少性、物語性、芸術性といった「情緒的価値」を高めるための手段として用いている。最高級の素材と熟練の職人技を組み合わせ、パーソナライズ可能なセミオーダー形式をとることで、サステナブルでありながら、ファッション性の高いラグジュアリー市場を射程に入れている。

モノの生産・消費が飽和する現代において、株式会社金福商店は、製品に「物語」と「魂」を込め、モノを使い捨てるのではなく、「大切に使い、次へ繋げる」という日本古来の美意識を消費行動の主軸に据えるよう、市場に問いかけている。これは、単なる製品開発を超えた、持続可能な未来への文化的な提案だと言えるだろう。

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ライター:

サステナブル情報を紹介するWEBメディアcokiの編集部です。主にニュースや解説記事などを担当するチームです。

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