
インターネット上で絶大な人気を誇るクリエイター「バーバパパ」氏の名前を騙る人物が、長期間にわたり業界関係者や有名YouTuberと接触していた問題が発覚し、ネット上で大きな物議を醸している。
タレントのやしろあずき氏らが「本物」と信じて接していたこのなりすまし犯・通称「KG」氏を巡り、バーバパパ氏本人が告発。一時公開された当事者間の通話記録や、著名人たちの被害報告から、事態の深刻さが浮き彫りとなっている。
そもそも「バーバパパ」とは? 謎に包まれた奇才クリエイター
騒動の被害者である「バーバパパ」氏は、YouTubeを中心に活動する正体不明のクリエイターだ。 不気味さと可愛らしさが同居した独創的な3DCGアニメーションと、中毒性の高いエレクトロサウンドを組み合わせた動画スタイルで知られ、国内外に熱狂的なファンを持つ。
顔出しを一切行わず、ヘルメットやマスク姿でDJイベント等に登場することもあるが、その素性は謎に包まれている。今回の事件は、こうした「覆面クリエイター」としての匿名性が悪用され、周囲が「本人の素顔を知らない」という状況につけ込まれた形といえる。
削除された「3者通話」動画の衝撃
強烈なのがバーバパパ氏がSNSで一時公開していた一本の動画だ(12月4日時点では既に削除)。動画には、バーバパパ氏本人、仲介役のやしろあずき氏、そしてなりすまし犯であるKG氏の3者による通話の様子が収められていた。
この通話の中でバーバパパ氏は、KG氏に対し、なぜなりすまし行為に及んだのか追及。さらに、クリエイターとしての活動に致命的な影響を与えかねない「企業側への虚偽の接触」や「なりすましによる業務の獲得」がなかったか、再三にわたり問い質す場面が記録されていた。
「純粋なファン」がKG氏になるまで
通話の中でKG氏が語ったとされる動機は、ネット社会特有の歪んだ承認欲求を映し出していた。当初は「純粋なファンの一人」として、バーバパパ氏の作品を周囲に広めていただけだったという。しかし、その過程で次第に虚言がエスカレートし、いつしか自分自身が「関係者」や「本人」を名乗るようになったと説明した。
動画内でKG氏は自身の非を認め、これまで関係を偽って接触してきた相手に対し、自ら真実を告げて謝罪して回ることを約束していた。どちらかというと動画自体も最後は反省を促しもうやるなよといった苦言を指す程度のものとなっていた。
果たされなかった謝罪と再燃する怒り
しかし、動画公開後の展開を見る限り、その約束が誠実に実行されたとは言い難い状況のようだ。バーバパパ氏はその後、KG氏に対して強い失望と怒りを滲ませる投稿を行っている。「データを全て提示しろ」「紛失した等の逃げは許さない」といった追及は、通話での謝罪が口先だけで終わり、具体的な解決行動が伴わなかったことを示唆している。
バーバパパ氏は現在、証拠としていた通話記録を一旦非公開とし、「今後は専門家に任せ、私は創作に戻ります」と宣言。企業とも連携し、法的措置を含めた対応を進めている。
仲介役・やしろあずき氏の釈明と著名人への被害拡大
この騒動で特に議論を呼んでいるのが、タレントのやしろあずき氏の存在だ。やしろ氏はKG氏と2年以上にわたり友人関係にあり、YouTuberの飲み会などで「本物のバーバパパ」として彼を紹介する役割を果たしてしまっていた。
通話記録でやしろ氏がKG氏を擁護するような発言をしていたことに対し、ネット上では批判の声も上がった。これに対し、バーバパパ、やしろ氏は「KG氏には逃げ癖があり、味方であるように見せかけて逃がさないようにするための演技だった」と釈明。自身も長期間騙されていた被害者であるとし、関係各所への謝罪を行っている。
広がる波紋、有名YouTuberらも被害告白
被害は広範囲に及んでいる。YouTuberのかっつー氏は、飲み会で紹介された際に「初対面なのに無礼な態度」を取られたと回顧し、ピアニストのよみぃ氏は「中の人」と信じて写真をSNSに投稿してしまう(後に削除)など、著名なクリエイターたちが次々と被害を告白している。
VTuberの従井ノラ氏も、ファンとして接点を持ってしまったことにショックを受けていることを明かした。
バーバパパ氏は現在、証拠としていた通話記録を非公開とし、今後は企業や専門家に一任して解決を図る方針を示している。「資産であるデータを完全に破棄する作曲家は存在しない」とし、徹底して真実を追求する構えだ。



