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安倍昭恵さん、初めて法廷へ。山上徹也被告と“対峙した瞬間”を追う 安倍元首相銃撃裁判が終盤に

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安倍昭恵
安倍昭恵さん 公式インスタグラムより

静まり返った奈良地裁の法廷に、黒いスーツ姿の女性がそっと足を踏み入れた。
その姿を確認した瞬間、空気がわずかに揺れ、記者席にも緊張が走る。

安倍晋三元首相の妻・安倍昭恵さん。
銃撃事件から約2年、彼女がついに法廷に姿を見せた。

被害者参加制度を使っての“初出廷”。いま、事件は終盤を迎える中で新たな局面を迎えている。

 

 

午後1時、緊張をまとって現れた昭恵さん

関西テレビによると、昭恵さんが奈良地裁の法廷に入ったのは午後1時すぎだった。

扉が開くと、黒いスーツに身を包んだ彼女が、少し硬い表情で静かに一礼した。
その動作ひとつで、場の空気が一段と引き締まる。
ゆっくりと歩みを進める足取りは、迷いや覚悟を抱えつつも、確かに法廷へ向かっていた。

席に着いたあとも、昭恵さんは視線を法廷内に巡らせ、深く息を吸い込んだ。
一方で、山上徹也被告は横にいる弁護士と小声で話すばかりで、表情をほとんど動かさない。
しかし、昭恵さんが姿を見せた瞬間、ほんの数秒だけ顔を上げ、彼女の方を見たという。

互いの視線がぶつかることはなかった。
だが、二人が同じ空間で向き合った瞬間、その場にいる誰もが「事件の重さ」を改めて思い知らされた。

 

なぜ“このタイミング”で出廷したのか

毎日新聞によると、昭恵さんは被害者参加制度を利用し、初めて公判へ参加した。
遺族が被告に意見を述べたり質問できる制度で、これまでは代理人弁護士のみが姿を見せていた。

なぜ終盤のこの時期に、昭恵さんは法廷に現れたのか。

理由は明かされていないが、
「事件の核心が語られつつあるからではないか」
と裁判関係者は指摘する。

旧統一教会(世界平和統一家庭連合)と政治の関係、
山上被告が抱えてきた家庭崩壊、
そして標的に安倍元首相を選んだ理由。

裁判ではいま、事件の背景にあった宗教と政治の問題が、証言によって次々と明かされている。
昭恵さんは、その証言ひとつひとつを見逃すまいとするように、モニターをじっと見つめていた。

 

上申書が示した“妻としての最期の記憶”

これまで昭恵さんは、法廷に姿を見せる代わりに「上申書」で心情を伝えてきた。
関西テレビが報じた内容は、胸を締めつけるようなものだった。

病院に駆けつけ、倒れた夫の手を握りながら
「晋ちゃん、晋ちゃん」
と呼び続けたこと。

その手はまだ温かく、
「握り返してくれたような気がした」
と綴っている。

蘇生処置が続く中で、現実感は遠のき、涙さえ出なかったという。

また、安倍元首相がどれほど真面目で努力家であったか、
母を散歩に連れ出す姿など、家族としての素顔も書かれていた。

その文章には、
「ただ、生きていてほしかった」
という静かな叫びが染み込んでいた。

 

裁判が映し出した“宗教と政治”の深い影

朝日新聞によれば、この日の公判には宗教社会学者の桜井義秀氏が証言台に立った。
旧統一教会の構造や信者家庭が抱える問題が語られると、昭恵さんは資料の映るモニターへ視線を上げ、言葉を噛みしめるように聞き入っていた。

山上被告は
「安倍元首相が教団と政治の関係の中心にいた。他の政治家では意味が弱い」
と述べている。

その発言の意味をどう受け止めているのか、昭恵さんの表情からは読み取れない。
ただ、彼女がこうして法廷に立ち会ったことによって、
「事件の背景を見届ける」という明確な意志だけは確かに伝わってきた。

 

量刑を左右する“動機”と“計画性”

裁判は終盤に入り、間もなく量刑判断が行われる。
焦点は次の3点だ。

  1. 犯行の計画性と準備の周到さ(手製銃の製造、下調べなど)
  2. 動機にどれほど情状の余地があるか(家庭崩壊と旧統一教会への恨み)
  3. 社会への影響の大きさ(首相経験者を標的にしたこと)

山上被告の過去には、母親の高額献金による深刻な家庭崩壊がある。
その背景は社会問題としても注目されており、SNSやコメント欄では
「同情する」「厳罰を」と賛否が大きく割れている。

そして今、昭恵さんが法廷で見せる表情や、語る可能性のある言葉が、裁判員の心にどのような影響を与えるのか。
事件は、司法だけではなく、日本社会そのものに問いを投げかけている。

 

この事件が日本社会に残した宿題

宗教と政治の癒着、家族の崩壊、個人の絶望、そして凶行。
事件は単なる「政治事件」でも「宗教問題」でもなく、日本社会が直面している構造的な問題を一点に凝縮していた。

昭恵さんが初めて裁判に参加したことは、
この事件の「答えの出ない問い」に、遺族として真正面から向き合う姿勢を示したものだと言える。

裁判はまもなく大詰めを迎える。
量刑はどう判断され、社会は何を教訓とするのか。
判決の日は、事件の終わりではなく、新たな議論の始まりとなるだろう。

 

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ライター:

広告代理店在職中に、経営者や移住者など多様なバックグラウンドを持つ人々を取材。「人の魅力が地域の魅力につながる」ことを実感する。現在、人の“生き様“を言葉で綴るインタビューライターとして活動中。

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