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「孤独のグルメ」松重豊が大みそかに届ける“年越しの食欲” 愛され続ける理由と井之頭五郎の恒例スペシャル、9年連続放送へ

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孤独のグルメ
孤独のグルメ Instagramより

俳優・松重豊(62)が主人公・井之頭五郎を演じるテレビ東京の人気ドラマシリーズ「孤独のグルメ」が、今年も大みそかにスペシャル版として帰ってくる。同局は20日、タイトルを「孤独のグルメ2025大晦日スペシャル(仮)」と発表した。

9年連続の大みそか放送に加え、5年ぶりとなる“一部生放送”が復活する。年末恒例の風景として定着した同作はなぜこれほど視聴者を惹きつけてきたのか。その人気の背景を探る。

 

“食べるだけ”で物語を成立させた稀有なドラマ

「孤独のグルメ」の魅力は、物語の核に大仰な事件も人間ドラマの衝突も置かない点にある。輸入雑貨商である五郎が、営業の合間にふと立ち寄った店で、静かに食事を楽しむ。

それだけの構造でありながら、視聴者はいつの間にか五郎の食体験に寄り添い、同じ湯気を感じるかのような没入感を覚える。

この“静けさ”が、近年の刺激過多な映像作品のなかでかえって際立つ。料理の音、店の匂いを想起させる描写、そして松重の抑えた佇まい。派手な演出を排したからこそ、視聴者は「ただ食べる」という行為の尊さを思い出す。
五郎が目の前の皿一つに向き合う姿は、日常のなかで置き去りにしがちな“自分のための時間”を象徴してもいる。

 

静かな深夜ドラマから“国民的年越し番組”へ

同作はテレビ東京の深夜枠で13年欠かさず放送され、いまや同局を代表するシリーズとなった。視聴率こそ派手ではないが、視聴者の忠誠度は極めて高い。過去のスペシャル放送ではSNSが毎年盛り上がり、リアルタイム視聴を楽しむファンも多い。

人気は国内だけにとどまらない。今年1月に公開された松重による監督・脚本・主演作「劇映画 孤独のグルメ」は、国内で興行収入10億円を突破。韓国や台湾などアジア各国でも公開され、現地でも“五郎スタイル”の食べ歩きが話題となった。
どの国であれ、おいしいものを前にした人間の素朴な幸福は共通する。この普遍性が、作品を国境の外にまで押し広げた。

 

今年の大晦日は“相棒と東日本を奔走”

今回のスペシャルでは、五郎が大みそかイベント用の「ある食材集め」を任され、あるいは“無茶ぶりされ”、小さな相棒とともに東日本を走り回る。昨年は横浜から長野、石川能登まで旅したが、今年はいったいどんな土地でどんな店に出会うのか。五郎が各地の人々と交わす短い言葉や、目を細めて料理を味わう瞬間が、視聴者にとっての“年末の儀式”となりつつある。

年内最後の仕事に追われながらも、五郎は必ずどこかで“至福のひと皿”に巡り合う。そして視聴者はその姿を見て、新年へ向かう背中をそっと押されたような気持ちになる。

 

待望の“一部生放送”が5年ぶり復活

今年の注目点は、2017年の成田山、2018年の柴又、2020年の横須賀以来となる“一部生放送”の復活である。過去の生中継はいずれも話題を呼び、臨場感と五郎の“生の息遣い”に多くの視聴者が引き込まれた。
2025年を締めくくる五郎の「食べ納め」がどこで行われるのか。画面の向こうで湯気が立つのを待つ時間すら、特別な体験となるだろう。

 

なぜ「孤独のグルメ」はここまで支持されるのか

人気の理由は単純ではないが、いくつかの要素が積み重なっている。

まず、作品が食欲を刺激するだけでなく、視聴者に“ひとりで食べることの肯定”を与えてくれる点が大きい。ひとり飯の文化が当たり前になった現代でも、「誰かと食べないと寂しい」といった空気は確かに存在する。そのなかで五郎は、誰に遠慮することもなく自分の欲望に従う。一皿に向き合う姿は、孤独ではなく“自由”の象徴だ。

次に、松重豊の存在である。彼は大げさな演技を避けつつも、食べ物の前ではわずかな声の震えや表情の変化を見せる。これが視聴者を強く惹きつける。年齢を重ねるほど深まる落ち着きが、作品の世界観と見事に混ざり合っている。

さらに、大みそかにこのドラマを観るという“儀式化”も人気を後押ししてきた。紅白や格闘技など華やかな番組が並ぶなかで、静かに食を見つめる番組が一つ用意されている。その対比こそ、現代の視聴者が求める“逃げ場”なのかもしれない。

 

年越しの食卓とともに

五郎の旅は毎年、視聴者の心と胃袋にささやかな余白を残す。豪華でなくていい。特別でなくていい。自分の食べたいものを食べること、その時間を自分に許すこと。
「孤独のグルメ」は、大みそかの喧騒のなかで、そんな当たり前の幸せをそっと差し出す番組である。

今年も、五郎がどんな一皿で2025年を締めくくるのか。視聴者の期待は例年以上にふくらんでいる。

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ライター:

千葉県生まれ。青果卸売の現場で働いたのち、フリーライターへ。 野菜や果物のようにみずみずしい旬な話題を届けたいと思っています。 料理と漫画・アニメが大好きです。

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