
テレビ朝日は15日、スーパー戦隊シリーズ「ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー」(日曜午前9時30分)で、一河角乃/ゴジュウユニコーン役を志田こはく(21)が務めると発表した。
先に未成年飲酒問題で契約を解除された今森茉耶(19)の降板が報じられたことを受けたものだ。急な交代劇の背景には、作品を守るための制作陣の判断と、現場の混乱、そして新キャストに懸けられた期待が交錯している。
志田こはく、戦隊シリーズに帰還する確かな実力
志田こはく(2004年4月25日生まれ、21歳)は、戦隊ファンからすでに信頼を得ている若手女優だ。2022〜23年放送の「暴太郎戦隊ドンブラザーズ」で鬼頭はるか/オニシスター役として抜群の存在感を示した。コミカルな表情と真剣な演技を自在に切り替える器用さ、テンポの良いアクション、キャラクターへの理解度の高さは、多くの視聴者と製作陣に強い印象を残した。
特撮作品は一年間の長期撮影に加え、激しいアクションや変身シーンなど身体と精神の両面で負荷が大きい。その中で志田は撮影スケジュールを守り抜き、共演者との関係を築きながら作品世界を支えた。
「経験者が持つ現場対応力はとてつもなく大きい」とテレビ朝日関係者は語る。突然のキャスト交代という困難な局面でも安心して任せられる点が、今回の抜擢につながった。
また、近年はテレ朝系ドラマ「伝説の頭 翔」(2024年)などで役の幅を拡大しつつあり、若手の中では“即戦力”として数少ない存在と言える。
今森茉耶の契約解除と降板 その背景にあった“ふたつの問題”
今回の交代劇の発端となったのは、所属事務所による今森茉耶(19)の未成年飲酒発表だった。事務所は8日、「20歳未満でありながら飲酒行為が確認された」と公表し、「重大な契約違反」と判断した上でマネジメント契約を同日付で解除した。
さらに懸念を深めたのが、関係者の間で取り沙汰されていた“ラウンジ勤務”の存在だ。事務所の発表には明記されなかったものの、ドラマ制作スタッフは次のように語る。
「ラウンジは18歳から働ける店もありますが、アルコールを扱う店が大半です。未成年飲酒との線引きが非常に難しく、ブランドを背負うタレントとしてはリスクが大きい。事務所が“黒”と判断したのはその環境も影響したのでは」
未成年飲酒は、一般の芸能活動でも重い処分が下されるが、特に子ども向け番組を担う戦隊シリーズではなおのこと厳格だ。
東映は事務所からの通達後すぐにテレビ朝日と協議し、コンプライアンス順守の観点から出演契約の解除を決定。「作品への出演を降板といたします」と発表した。
テレ朝側も番組サイトで「重大さを鑑み降板の申し入れに同意しました」と明言しており、作品を守るための措置であったことが分かる。
現場が直面した混乱と、脚本の“再構築”作業
主役級キャラクターの急な降板は、脚本や撮影スケジュールに大きな影響を及ぼす。すでに収録済みのシーンをどこまで使うのか、物語のつながりをどう補完するのか、現場には迅速な判断が求められた。
戦隊シリーズは一年を通して物語が連続するため、キャラクターの行動や心情変化が綿密に設計されている。ユニコーンはチームに欠かせない存在で、終盤に向けた重要な局面に絡む役どころだ。
脚本スタッフの一人は「ユニコーンはドラマの後半戦で物語の鍵を握る。降板は避けられなかったが、穴埋めには相当な調整が必要だった」と語る。
志田の参加が発表されたのは、こうした“再構築作業”が進む最中だった。戦隊経験者の起用は、現場の混乱を最小限に抑えるための最善策だったといえる。
志田が担う新ユニコーン像 キャラクターの継承と再定義
志田は30日放送の第40話から登場し、ユニコーンとしての物語を引き継ぐ。だが、それは単に役を“代わりに演じる”というより、キャラクターを新たに再定義する作業でもある。
「既存のユニコーン像を損なわずに、志田さんらしい解釈を自然に織り交ぜていくことがポイントになる」と演出スタッフは話す。
戦隊シリーズは役者の個性がキャラクターに深く影響する作品でもあるため、志田の表情づくりや強弱のつけ方がどうユニコーンに重なるのか、視聴者の注目は高い。
また、志田が持つ明るさと芯の強さはユニコーンの設定とも親和性が高く、遅れて加入したとしても物語に溶け込みやすいと見られている。
作品を支える姿勢と、視聴者の期待
今回の交代劇は制作側にとって決して望まれたものではない。しかし、コンプライアンスを最優先しつつ、作品の質を落とさずに放送を継続するためには不可避の決断だった。
SNSには「突然で驚いた」「志田こはくの起用は信頼できる」など様々な声が寄せられている。歓迎ムードが広がる一方、今森の降板を惜しむ意見も多い。それだけに、新ユニコーンとしての志田の演技が作品の空気をどう刷新するのか、視聴者の期待は大きい。
制作陣は「志田さんの参加で現場の空気が前向きになった」と話し、改めて“作品を守るための交代”であったと強調する。
後半戦に向かう「ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー」にとって、志田こはくの加入は新たな活力をもたらす存在となりそうだ。



