
俳優・豊川悦司(63歳)が体調不良により、Netflixの大ヒットドラマ『地面師たち』続編の撮影が延期されたことが明らかになった。昨年配信された前作で冷酷な詐欺師“ハリソン山中”を怪演し、大きな反響を呼んだ豊川だが、腰痛を発端とする闘病を続ける中で、今秋には長年のトレードマークであった髪を剃り上げるという変化を見せた。ファンの間には復帰を信じる声と、不安の入り混じった声が広がっている。
ヒット作『地面師たち』が残した衝撃
『地面師たち』は、土地の所有者になりすまして巨額の金をだまし取る詐欺師集団を描いた社会派ドラマだ。昨年7月にNetflixで配信されるや否や口コミが広がり、国内外で高評価を獲得した。豊川が演じた“ハリソン山中”は冷酷さとカリスマ性を併せ持ち、「まさにトヨエツにしかできない役」と評され、ドラマ全体の象徴的存在となった。
SNS上では「トヨエツの眼差しだけで震える」「悪役なのに魅力的すぎる」「世界水準のサスペンス」といった投稿が相次ぎ、X(旧Twitter)では「#地面師たち」がトレンド入り。海外ユーザーからも「日本ドラマの新しい基準だ」と絶賛され、配信ランキングでも長期にわたり上位を維持した。こうした社会的な高評ぶりは、続編への期待を一層高めていた。
続編延期の舞台裏
しかし今年4月、続編の撮影が異例の早さで「延期」と決まった。詐欺グループの前日譚を描く物語で、綾野剛、小池栄子、ピエール瀧ら実力派が揃う予定だっただけに、制作陣にも衝撃が走った。大手配信会社関係者はこう語る。
「来年以降の再始動を目指してはいますが、現段階で撮影スケジュールはまったくの白紙です。最大の理由は豊川さんの体調であり、制作側も無理を強いることはできない状況です」
制作現場では“トヨエツ待ち”と揶揄されつつも、スタッフや共演者は復帰を信じて準備を続けている。異例の早期延期はリスク回避の判断であると同時に、主演俳優への配慮を示すものでもあった。
闘病の実態と“髪剃り”の意味
豊川は長年、腰痛に苦しんできた。撮影現場でも激痛に耐え、昨年11月には手術に踏み切った。しかし術後も症状は残り、痛みは背中や首筋にまで広がったとされる。鎮痛剤では抑えきれない時期もあり、検査を重ねる中で別の病の可能性も浮上している。
所属事務所は「腰の治療を続けながら検査を受けている」と説明し、明確な診断はまだ出ていない。長期にわたる闘病を覚悟していると見られる。
そうした状況下で、この秋、彼は大きな変化を見せた。長くウェーブのかかった髪をばっさり剃り上げたのだ。周囲には「次回作の役作り」と説明しているが、知人は「治療の過程で髪が抜けることもあり、病と向き合う決意の表れ」と語る。SNS上では「潔さに胸を打たれた」「覚悟を感じる」と共感が広がり、単なる外見の変化以上の意味を持って受け止められている。
ファンと業界の交錯する声
ファンの間では「復帰を信じたい」「続編を待ち続ける」という声が多く寄せられる一方、「このまま俳優人生にブレーキがかかってしまうのでは」と不安をにじませる投稿も目立つ。海外の視聴者からも「ハリソン山中の過去が描かれるのを楽しみにしていたのに」という落胆の声が聞かれた。
業界の受け止めも複雑だ。主演級俳優の体調は制作全体に直結し、数億円規模のプロジェクトを停滞させるリスクは大きい。しかし多くのスタッフは「豊川さんあっての『地面師たち』。彼なしでは成立しない」と断言する。俳優の存在感が作品そのものの価値を決めていることを改めて示している。
今後の行方
豊川の体調回復が最優先であることは言うまでもない。その上で、続編がいつ再始動するのか、彼がどのような作品で復帰を果たすのか、そして“髪剃り”という決断が俳優として新たな表現の扉を開くのかに注目が集まっている。
SNSでは「復帰作は伝説になる」「再び怪演を見せてほしい」といった期待の声が絶えない。豊川悦司という俳優が、この試練をどう乗り越え、どんな姿で戻ってくるのか。その一挙手一投足が、ファンだけでなく業界全体の視線を釘付けにしている。