ログイン
ログイン
会員登録
会員登録
お問合せ
お問合せ
MENU

法人のサステナビリティ情報を紹介するWEBメディア coki

織田裕二「世界陸上」卒業宣言の余韻――安住アナ炎上との対比に見る“熱さ”の価値

コラム&ニュース コラム ニュース
リンクをコピー
織田裕二
東京2025世界陸上 公式Instagramより

9月20日放送のTBS『情報7daysニュースキャスター』で、俳優・織田裕二(57)が「世界陸上」からの卒業を宣言した。1997年のアテネ大会以来28年間、時に暑苦しいと揶揄されながらも大会を熱く盛り上げてきた存在の退場は、惜しむ声とともにテレビのひとつの時代の終わりを告げた。一方で、同じTBSの看板アナ・安住紳一郎が発言をきっかけに炎上している現状は、好意的に見送られる織田との対比を鮮やかに浮かび上がらせる。愛される熱さと、嫌われる言葉――その境界はどこにあるのか。

 

世界陸上とともに走り抜けた28年

織田裕二は1997年のアテネ大会から「世界陸上」の顔として知られる。競技解説以上に感情を込めた実況は当初「やかましい」「暑苦しい」と批判を浴びたが、いつしか「真摯さ」と「人間味」に昇華していった。
「人類はどこまで遠く、速く、跳べるのか」という名フレーズや、選手と同じように全身で喜怒哀楽を表す姿は、2025年東京大会ではむしろ「織田さんの熱さが心地いい」と好意的に受け止められた。SNSには「卒業しないで」「あと2年で30年になるのに」と惜しむ声が相次ぎ、彼の存在が視聴者にとっていかに特別であったかを物語る。

絶対的スターから静かな時代へ

一方で、俳優としての織田は停滞を余儀なくされている。最後の映画主演は2016年、地上波ドラマ主演も2023年で止まっている。だが忘れてはならないのは、2003年公開の『踊る大捜査線 THE MOVIE 2』で興収173.5億円を記録し、邦画実写の歴代1位を22年間守り続けてきた「絶対王者」だという事実だ。
今、その記録に吉沢亮主演『国宝』が迫りつつあり、時代の転換期を迎えている。織田自身が「老兵は去ります」と語った背景には、自身の時代が確かに一区切りを迎えたという自覚があるのだろう。

しかし視聴者の多くは「まだもう一花咲かせてほしい」と願っている。2026年放送予定のWOWOW『水滸伝』では梁山泊の頭領・宋江を演じることが決まっており、俳優・織田の再生の舞台は整いつつある。

 

織田裕二のスター性を物語る逸話

彼のスター性を象徴するエピソードは少なくない。2010年のインタビューでは、撮影スタッフと握手を交わした後、わざわざ部屋を出て戻り、若いカメラアシスタントにも手を差し伸べた。「だって、してほしい顔をしていたから」と白い歯を見せて笑ったという。
その場の空気を読み、相手を喜ばせる自然な振る舞いこそが、織田裕二を単なる人気俳優ではなく「国民的スター」に押し上げた。『東京ラブストーリー』のカンチ、『踊る大捜査線』の青島といった“親近感ある役柄”は、こうした人間的魅力と相まって時代のアイコンとなったのだ。

 

SNSに映る「惜しまれる人」と「叩かれる人」

同じTBSの顔でも、安住紳一郎アナは正反対の立場に立たされている。最近の生放送でゲストに対して冗談交じりの発言をしたところ「配慮に欠ける」「見ていて不快」と批判が殺到。さらにニュース解説でも上から目線に感じられる口調が反感を買い、SNSでは「もう見たくない」「勘違いしているのでは」と炎上が拡散している。
織田が熱さで最後に好意的評価を勝ち取ったのに対し、安住は言葉の軽さで信頼を失いつつある。両者の対比は、視聴者が何を求め、何に敏感かを浮き彫りにしている。

 

「汗をかく役」にこそ光る存在感

ドラマ批評家・木俣冬氏は「織田には庶民的で現場主義の役柄が似合う」と指摘する。NHKドラマ『ガラパゴス』(22年)で演じたベテラン刑事は、老眼鏡をかけ、型崩れしたスーツを着ながら真相を追う人物。そこには青島刑事に通じる誠実さと粘り強さが滲んでいた。
ゆくゆくは『踊る~』の和久刑事を演じたいかりや長介のように、現場で汗をかく名優の道を歩むのではないか。スターから名優へ、その転身の入り口に立っているように見える。

 

炎上時代に問われる「熱の誠実さ」

SNS時代、視聴者はタレントやアナウンサーの発言を即座に評価し、批判も一気に拡散する。安住アナの炎上は、言葉の選び方ひとつで長年積み上げた信頼が揺らぐことを示している。
その一方で、織田の情熱は長年「やかましい」と言われながらも、結局は「誠実に全力で走り続けた人」として評価された。熱さが愛されるか嫌われるかの分かれ目は、そこに真摯さがあるかどうかだろう。

 

終わりに――人生100年時代のヒーローへ

織田裕二は還暦を前にしてなお、瞳に強い炎を宿している。『世界陸上』で「選手の数だけ人間ドラマがある」と語ったように、彼自身の俳優人生もこれから新たな章を迎える。
単なる“熱いおじさん”ではなく、冷静な技術と集中力、そして不屈の情熱を持つ稀有な存在。人生100年時代のヒーローとして、彼が再び大舞台で輝く瞬間を待ち望む声は多い。惜しまれて去る人こそ、次のステージでも強く求められるのだ。

Tags

ライター:

千葉県生まれ。青果卸売の現場で働いたのち、フリーライターへ。 野菜や果物のようにみずみずしい旬な話題を届けたいと思っています。 料理と漫画・アニメが大好きです。

関連記事

タグ

To Top