
東京2025世界陸上で女子5000m予選が行われ、日本記録保持者・田中希実(New Balance)が14分47秒14で5着に入り決勝進出を果たした。1500mでは予選敗退の悔しさを味わったが、持ち味の持久力と冷静なレース運びでリベンジ。日本勢として初めて、ドーハ大会から4大会連続の決勝進出を決めた。
序盤から積極的な走り
女子5000m予選1組に登場した田中は、スタート直後から積極的に前へ出た。序盤は山本有真と並んで日本勢がレースをリード。2000m通過時点では山本がトップ、田中が2番手を走り、会場を沸かせた。背後には世界記録保持者ベアトリス・チェベト(ケニア)、10000m銀メダリストのナディア・バットクレッティ(イタリア)ら有力選手が迫る展開となった。
勝負どころで主導権を握る
残り6周、田中は一気にスパートをかけて先頭に立ち、ペースを引き上げた。山本は後退したが、田中は冷静にリズムを刻み、チェベトやバットクレッティを従える形で主導権を握る。3400m通過時点でもトップをキープ。ラスト1周に入るまで堂々の走りを見せた。
粘りの走りで決勝へ
終盤に強豪勢にかわされたものの、田中は必死に食らいつき5着でフィニッシュ。上位8人に与えられる決勝進出権を確保し、日本勢初となる4大会連続ファイナル進出を達成した。会場は大歓声に包まれ、1500mでの悔しさを晴らす快走に観客も沸き立った。
「ワクワク感を持って走れた」
レース後、田中は「自分の走りに集中することを大事にした」と振り返り、「シーズン序盤は焦りが多く、結果につながらなかった。今は白紙に戻して、自分らしさを取り戻したい」と語った。
さらに「たくさんの方から応援メッセージをもらい、それが力になった。ワクワク感を持ってスタートラインに立てた」と、周囲の支えへの感謝も口にした。
父と先輩への感謝
インタビューゾーンでは、日本女子中距離の大先輩・小林祐梨子さんと抱き合い、涙を見せた。「祐梨子さんのおかげです」と田中が言うと、小林さんが「なんでやねん」と応じる場面も。
また、コーチを務める父・健智さんについて「予選落ちしたら辞めるって言っていたけれど、練習ごとに握手をしてくれて、それが力になった。もう一度握手したいと思って頑張れた」と胸の内を明かした。
日本女子史上初の快挙へ
田中は2023年ブダペスト大会で26年ぶりに女子5000mで8位入賞を果たしている。20日に行われる決勝で7位以上に入れば、日本女子史上初の快挙。田中は「もう一度自分らしい走りを」と誓い、歴史を塗り替える挑戦に挑む。
歴史を変える挑戦へ 決勝は20日
田中はすでに日本勢初の4大会連続決勝進出を果たした。次なる舞台は9月20日の決勝。勝負のカギは、自らレースを動かす積極性と持ち味のハイスピード持続力にある。7位以上に入れば、日本女子初の快挙。国立競技場の大歓声を背に、歴史を塗り替える挑戦が始まる。

  

            
                
                
                
                
                
                
                
                
                
                