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吉野ヶ里町長が謝罪 パワハラ認定受け給与減額と防止条例制定へ

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パワハラ
PhotoACより

佐賀県吉野ヶ里町の男性職員が町長のパワハラを訴え死亡した問題で、第三者委員会は伊東健吾町長(78)の発言を「報復的」と認定した。18日、伊東町長は会見を開き謝罪するとともに、給与減額やハラスメント防止条例の制定など再発防止策を発表した。死亡との因果関係については「遺族と話し調査すべき事項が出てくれば調査する」と述べた。

 

 

第三者委員会が「報復的」と認定

問題は2024年4月に始まった。防衛省の補助事業をめぐり、当時財政協働課長だった男性職員が「高額な財政負担はできない」と説明したところ、伊東町長は「俺が代えてやる」「7月代われ」「建設課に変わればいい」と発言した。

町は当初「パワハラには当たらない」と判断したが、男性職員は同年4月に被害を訴え、その後11月に死亡した。町が設置した第三者委員会は2025年9月16日に報告書を公表し、町長の発言を「報復的」とし、パワーハラスメントに該当すると認定した。ただし、死亡との因果関係は調査対象外とした。

 

町長が会見で謝罪

認定を受けて18日、伊東町長は記者会見を開き、冒頭で「亡くなられた職員のご冥福を心からお祈り申し上げます。ご遺族に多大なご心痛をおかけしたことを心よりおわび申し上げます」と謝罪した。

続けて「第三者委員会の調査結果を真摯に受け止め、二度と同じことが起きないようお誓い申し上げます。町民をはじめ、多くの方々にご心配、ご迷惑をおかけしたことを深くおわびします」と述べた。

一方で、発言の意図については「突発的なものだった」と釈明し、死亡との因果関係については「遺族と話し、調査すべき事項が出てくれば調査したい」とした。この姿勢に対して「自ら率先して調査すべきだ」との批判が相次いでいる。

 

給与減額と防止条例制定へ

会見では、町長と副町長の給与減額を盛り込んだ条例案を提出する方針も示した。具体的には町長が給与の20%を3か月間、副町長が10%を1か月間減額するという内容だ。

また、ハラスメントのない職場づくりを目的に、今年度中に「ハラスメント防止条例」を制定する方針も明らかにした。すでに8月には相談窓口を設置しており、11月には職員を対象とした研修も予定している。

伊東町長は「今回の件により町政への信頼を大きく損なうことになった。極めて重く受け止めている。今後は町議会や町民の意見を伺いながら冷静かつ誠実に判断していきたい」と語った。

 

批判の声と残る課題

町長の謝罪と給与減額の発表を受け、町民やインターネット上ではさまざまな声が上がっている。
「謝っても命は戻らない」「調査を遺族に委ねる姿勢は責任逃れだ」との批判が多く、パワハラ防止に対する意識の欠如を指摘する意見が目立つ。

また、第三者委員会が死亡との因果関係を調査対象外としたことから「警察が介入すべきではないか」との意見も出ている。職員の死が町政の不適切な対応と結びついているのか、真相解明を求める声は強いままだ。

さらに、伊東町長が当初「パワハラには当たらない」と主張していた経緯もあり、町政全体への不信感が払拭されていない。再発防止策をどこまで実効性ある形で実施できるかが問われている。

 

今後の焦点

吉野ヶ里町は、今回の問題をきっかけに職場環境改善に取り組む姿勢を示した。しかし、職員が命を落としたという事実は極めて重い。単なる給与減額や条例制定だけでは町民や遺族の納得を得ることは難しいだろう。

死亡の背景に何があったのか、責任の所在はどこにあるのか。町長自身が積極的に調査を進め、結果を町民に公表できるかどうかが、町政への信頼回復の大きな鍵となる。

 

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ライター:

広島県在住。福岡教育大学卒。広告代理店在職中に、経営者や移住者など様々なバックグラウンドを持つ方々への取材を経験し、「人」の魅力が地域の魅力につながることを実感する。現在「伝える舎」の屋号で独立、「人の生きる姿」を言葉で綴るインタビューライターとして活動中。​​https://tsutaerusha.com

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